外国籍の方の国民健康保険料の未納が、在留の手続きに影響するようになります。国は、2027年6月から、在留期間の更新や在留資格の変更の審査で、市町村の国民健康保険料の納付状況をデータで確認する仕組みを始める予定です。
会社の健康保険に入っている間は、保険料が給料から差し引かれるため、未納は起きにくいものです。注意が必要なのは、留学生だった時期や、派遣の仕事の切れ目、退職後など、国民健康保険に入っていた期間です。この記事では、仕組みの概要と、未納が起きやすい場面、支援担当者ができることを解説します。
結論:過去の未納も確認される。国民健康保険に入る期間の手続きと支払いを見守る
新しい仕組みでは、直近の数年分の保険料の納付状況が、転入する前の市町村の分も含めて確認の対象になる予定です。留学生のときの未納や、前に住んでいた町での未納が、特定技能への変更や在留期間の更新のときに問題になるおそれがあります。
支援担当者は、国民健康保険に入る期間(仕事の切れ目や退職後)の手続きと支払いを見守り、住所を正しく届け出て納付書を確実に受け取れるようにすることが大切です。
新しい仕組みの概要
| 項目 | 内容(予定) |
|---|---|
| 開始の時期 | 2027年6月から情報連携を始める予定 |
| 対象の手続き | 在留期間の更新、在留資格の変更 |
| 確認される内容 | 直近5年分の国民健康保険料の調定額(請求された額)と収納額(納めた額)など。転入前の市町村の分も対象 |
| 確認の方法 | マイナンバーを使った情報連携で、出入国在留管理庁が市町村の情報を照会する。照会には本人の同意が必要で、同意しない場合は本人が納付の証明書を出す |
| 未納がある場合 | 国の資料では、原則として更新などを認めない方向が示されている |
これまでも一部の市町村では、長く滞納している人の情報を地方出入国在留管理局に提供し、在留の審査で使われてきました。新しい仕組みでは、これを全国で、データでやり取りする形になります。国民年金についても同じような対策が検討されていると報じられています。
入国1年目の保険料の「前納」
2026年4月以降、市町村が条例を改正すれば、入国した年度の国民健康保険料を前倒しで一括して納めてもらう「前納」の仕組みを導入できるようになりました。導入するかどうかは市町村ごとに違います。国民健康保険に入る人がいる場合は、住んでいる市町村の扱いを確認しておきましょう。
未納が起きやすい場面
| 場面 | 起きやすいこと |
|---|---|
| 留学生だった時期 | 国民健康保険に入っていたが、保険料を払っていなかった。特定技能などへの変更のときに問題になるおそれがある |
| 派遣の仕事の切れ目 | 会社の保険をやめたあと、国民健康保険への切り替えや支払いを忘れる |
| 退職して転職先を探している期間 | 収入がなく、保険料を払えない |
| 引っ越し | 住所の届出が遅れ、納付書が古い住所に届いて気づかない |
| 郵便を見ていない | 納付書や督促の通知が届いても、日本語が読めず放置してしまう |
仕事の切れ目の手続きは派遣の仕事の切れ目の国民健康保険・国民年金|外国籍スタッフに伝える手続き、退職後の転職活動中の注意点は特定技能のスタッフが退職して転職先を探すとき|次の会社が決まるまでの住まいと在留、留学生を特定技能で採用するときの流れは留学生を特定技能で採用するとき|在留資格変更と引っ越しのタイミングで解説しています。
払えないときは、放っておかずに市町村に相談する
保険料を払えないときに放っておくと、滞納が積み重なります。市町村の窓口では、分けて払う相談(分納)などに応じてもらえることがあります。相談したときにもらった書類(分納の誓約書など)は、在留の手続きのときに事情を説明する材料になることがあるため、大切に保管するよう伝えましょう。
支援担当者ができること
- 採用のときに過去の納付状況を確認してもらう。留学生や国内で転職してくる人を受け入れるときは、国民健康保険料の未納がないかを本人に確認してもらい、あれば早めに納めるよう伝えます。
- 切れ目の手続きに付き添う。会社の保険をやめたら、国民健康保険への加入と支払いの方法を一緒に確認します。
- 住所を正しく届け出る。引っ越したら14日以内に住所の届出をし、納付書が新しい住所に届くようにします。住居地の届出が遅れるとどうなる?|14日の期限と、90日で在留資格の取消しの対象になるケースも参照。
- 郵便を一緒に確認する。役所から届いた通知を、本人と一緒に確認する習慣をつくります。役所や会社からの郵便物を見落とさない|外国籍スタッフの郵便受けと手紙の確認も参照。
- 在留の手続きの前に確認する。更新や変更の申請の前に、保険料や税金の未納がないかを確認します。特定技能1号の在留期間更新|必要書類と早めに準備したいことも参照。
住まいの管理は、保険料の管理にもつながる
国民健康保険料の納付書や督促の通知は、住民票の住所に郵便で届きます。住所の届出が正しく、郵便受けに名前が出ていて、届いた郵便を確認できていれば、未納に早く気づけます。住民税の通知も同じです。住民税の考え方は外国籍スタッフの住民税|2年目の手取りと帰国時の納税、税や保険料の未納が永住許可に関わる話は永住許可の取消し制度の新設|税金・社会保険料の未納が在留に影響するもご覧ください。
国民健康保険料の未納を防ぐチェックリスト
- ☐ 留学生や転職者を受け入れるときに、過去の保険料の未納がないかを本人に確認してもらった
- ☐ 会社の保険をやめたあと、国民健康保険への加入と支払いを確認した
- ☐ 住んでいる市町村が保険料の前納を導入しているかを確認した
- ☐ 引っ越したら14日以内に住所の届出をするよう伝えた
- ☐ 役所から届いた郵便を一緒に確認する習慣をつくった
- ☐ 払えないときは市町村に相談し、書類を保管するよう伝えた
- ☐ 在留の手続きの前に、保険料や税金の未納がないかを確認している
まとめ
- 2027年6月から、在留期間の更新や在留資格の変更の審査で、国民健康保険料の納付状況がデータで確認される予定
- 直近5年分、転入前の市町村の分も確認の対象。留学生時代の未納にも注意が必要
- 未納が起きやすいのは、留学生の時期、仕事の切れ目、退職後、引っ越しのとき
- 払えないときは放っておかず、市町村に分納などを相談し、書類を保管する
- 住所の届出と郵便の確認が、未納を早く見つけることにつながる
新しい仕組みの内容や開始の時期は、今後変わる可能性があります。最新の情報は、厚生労働省や出入国在留管理庁、住んでいる市町村の案内でご確認ください。