段階5 就労開始後の支援

手取りから寮費を払って暮らせるか|外国籍スタッフと生活費の見通しを一緒に立てる方法

外国籍スタッフの中には、母国の家族への仕送りや、来日の前にかかった費用の返済を抱えている人が少なくありません。給料から寮費や光熱費、税金や社会保険料が引かれると、思っていたより手元にお金が残らず、食費を切り詰めたり、家賃や光熱費の支払いが遅れたりすることがあります。

お金の悩みは、本人から言い出しにくく、気づいたときには滞納や借金が大きくなっていることもあります。この記事では、住まいの費用を払っても無理なく暮らせるか、外国籍スタッフと生活費の見通しを一緒に立てる方法を解説します。

結論:入居前に「手取りから住まいの費用を引いた残り」を一緒に確認し、手取りが変わる時期を前もって伝える

大切なのは、入居の前に、手取りの見込みから寮費や光熱費を引いて、いくら残るかを本人と一緒に確認することです。額面の給料だけを見ていると、税金や社会保険料、住まいの費用が引かれたあとの金額を思い違いしやすくなります。

また、2年目から住民税が引かれ始めるなど、手取りが変わる時期があります。前もって伝えておくことで、急に生活が苦しくなるのを防げます。

入居前に一緒に確認したいこと

項目 確認すること
手取りの見込み 額面の給料から、税金と社会保険料が引かれたあとの金額。残業の有無で変わることも伝える
住まいの費用 寮費・家賃、共益費、光熱費、インターネット代など、毎月かかる住まいの費用の合計
給料から引かれるもの 寮費などを給料から差し引く場合は、その項目と金額
入居のときだけかかる費用 布団や生活用品の購入など、最初の月にかかる費用
本人の決まった支出 仕送りや返済など、本人が毎月払う予定のお金(本人が話せる範囲で)

入国前のすり合わせは入国前に本人と住まいの条件をすり合わせる|オンライン面談で聞くこと、給料から寮費を差し引くときのルールは社宅の家賃を給料から差し引くとき|労使協定と課税の考え方で解説しています。

最初の給料日までのお金に注意

来日してすぐや、転職してすぐのときは、最初の給料が出るまでに時間がかかります。その間の食費や生活用品の購入、交通費などのお金が足りるかを確認しておきましょう。足りない場合の対応(会社の貸付の制度があるかなど)を前もって決めておくと安心です。

毎月の生活費を一緒に整理する

  • 決まって出ていくお金を書き出す。寮費、光熱費、携帯電話の料金、仕送り、返済など、毎月決まって払うお金を書き出します。
  • 残りで暮らせるかを確かめる。決まった支出を引いた残りで、食費や日用品、交通費をまかなえるかを一緒に見ます。
  • 引き落としの日を確認する。家賃や光熱費の引き落とし日と給料日の順番を確認し、口座の残高が足りなくならないようにします。
  • 季節で変わる費用を伝える。夏や冬はエアコンで電気代が上がります。光熱費が多い月を前もって伝えます。

寮の光熱費の分け方は寮・ルームシェアの光熱費の分け方|定額・人数割り・個別メーターの比べ方、口座の準備は銀行口座が作れないときの対処法|断られやすい理由と準備をご覧ください。

仕送りや借金のことは、責めずに聞く

仕送りや来日前の借金の返済は、本人や家族の事情によるもので、会社がやめさせることはできません。「送りすぎだ」と責めると、本人はお金のことを相談しなくなります。事情を聞いたうえで、生活に必要なお金を残せているかを一緒に確認する姿勢で話しましょう。

手取りが変わる時期

時期 起きること
働き始めて2年目の6月ごろ 前の年の所得に対する住民税が、給料から引かれ始める
残業が減ったとき 仕事の量が減ると、手取りが大きく下がることがある
寮費や光熱費が変わったとき 寮費の見直しや、電気・ガスの料金の値上がりで、住まいの費用が増える
一時帰国の前後 帰国の費用や、休んだ分の給料の減少で、お金が足りなくなりやすい

住民税のしくみは外国籍スタッフの住民税|2年目の手取りと帰国時の納税、寮費を変えるときの伝え方は寮費を見直すとき|家賃や光熱費の値上がりを外国籍スタッフにどう伝え、どう決めるかで解説しています。

お金に困っている様子に気づいたら

  • 早めに声をかける。食事を抜いている、寮費の支払いが遅れた、同僚にお金を借りているなどの様子があれば、早めに話を聞きます。
  • 支払いの予定を一緒に立て直す。滞納がある場合は、分けて払う方法などを一緒に考えます。
  • 危ないお金の借り方に注意を促す。SNSで知り合った人からの借金や、高い利息の貸付、口座の売り買いなどの話には乗らないよう伝えます。
  • 住まいの費用を見直す。寮費や光熱費が手取りに比べて重すぎる場合は、住まいそのものの見直しも考えます。

家賃の滞納が起きたときの対応は外国籍スタッフの家賃滞納が起きたとき|原因の聞き取りと支払いの立て直し、詐欺への注意は住まいの防犯と詐欺への注意|鍵・訪問販売・電話をご覧ください。

住まいの費用は、手取りに見合った金額にする

寮費や家賃が手取りに比べて高すぎると、どれだけ節約しても暮らしが苦しくなり、離職や転籍の原因になります。物件を選ぶ段階で、本人の手取りの見込みから無理のない住まいの費用を考えておくことが、長く働いてもらうための土台になります。

生活費の見通しのチェックリスト

  • ☐ 入居前に、手取りの見込みと住まいの費用を一緒に確認した
  • ☐ 給料から引かれる項目と金額を説明した
  • ☐ 最初の給料日までのお金が足りるかを確認した
  • ☐ 毎月決まって出ていくお金を一緒に書き出した
  • ☐ 引き落としの日と給料日の順番を確認した
  • ☐ 2年目の住民税など、手取りが変わる時期を伝えた
  • ☐ 仕送りや返済の事情を、責めずに聞いた
  • ☐ お金に困っている様子があれば、早めに声をかけている

まとめ

  • 外国籍スタッフは仕送りや返済を抱えていることがあり、住まいの費用を払うと手元に残らないことがある
  • 入居前に、手取りの見込みから住まいの費用を引いた残りを一緒に確認する
  • 毎月の決まった支出と、引き落としの日、季節で変わる費用を整理する
  • 2年目の住民税や残業の減少など、手取りが変わる時期を前もって伝える
  • お金に困っている様子に気づいたら早めに声をかけ、住まいの費用の見直しも考える

税金や社会保険料の金額は、本人の収入や状況によって異なります。具体的な金額は、給与の担当者や市区町村の案内でご確認ください。

次の段階 6. 届出・更新

このガイドの運営者

不動産のイブキ(伊吹株式会社)。外国籍スタッフの住まいの手配を全国で行っています。制度は改正されることがあるため、手続きの最終確認は出入国在留管理庁などの公式情報もあわせてご確認ください。