段階1 受入れ決定・準備

入国前に本人と住まいの条件をすり合わせる|オンライン面談で聞くこと

来日したばかりの外国籍スタッフから、「思っていた部屋と違う」「一人で住めると思っていた」「職場まで遠すぎる」といった声が出ることがあります。住まいへの不満は、入国して間もない時期の引っ越しの希望や、離職につながることもあります。その多くは、入国前に本人の希望や事情を聞き、住まいの条件をすり合わせておくことで防げます。

この記事では、入国前に本人と住まいの条件をすり合わせるオンライン面談で、聞いておきたいことと伝えておきたいこと、すり合わせを上手に進めるコツを解説します。

結論:物件を決める前に「聞く面談」を一度入れる

住まいの説明は、事前ガイダンスなどで行うことが多いですが、その時点ではすでに物件が決まっていることがほとんどです。物件を決める前に、本人の希望と事情を聞く面談を一度入れると、条件に合わない住まいを用意してしまうことを防げます。

面談では、本人の希望をすべてかなえることを約束するのではなく、何ができて、何ができないかを正直に伝えることが大切です。期待と現実の差を小さくしておくことが、来日後の満足度につながります。事前ガイダンスでの住まいの伝え方は事前ガイダンスで説明すること|住まいと生活費をどう伝えるかで解説しています。

面談の時期

住まいの手配は、入国の2〜3か月前から動き始めることが多くあります。面談は、内定が決まってから、物件を探し始める前に行うのが理想です。在留資格の申請の準備と並行して進めましょう。住まいの手配のスケジュールは特定技能の住居確保はいつから動く?入国日から逆算した物件手配のスケジュールで解説しています。

本人に聞いておきたいこと

項目 聞くこと 住まいへの影響
住み方の希望 一人で住みたいか、友人や同じ国の人と住みたいか 1Kかルームシェアかの判断
一緒に来日する人 同じ時期に来日する知り合いがいるか。一緒に住みたいか ルームシェアの組み合わせ
生活の習慣 自分で料理をするか。食べられないものや、お祈りなど住まいで必要なことはあるか キッチンの設備、同居人の組み合わせ
たばこ たばこを吸うか 禁煙の物件が多い。吸う場所のルール
通勤の手段 自転車に乗れるか。母国の運転免許を持っているか 職場からの距離、駐輪場・駐車場の必要性
持ってくる荷物 どのくらいの荷物を持ってくるか 収納の広さ、家具・家電の準備
家族の予定 将来、家族を呼び寄せたい希望があるか 住み替えの見通し
体の事情など 住まいで配慮が必要なことはあるか(階段の上り下りなど) 階数やエレベーターの有無

聞くときは、答えたくないことは答えなくてよいことを伝え、プライバシーに配慮しましょう。宗教や食習慣について聞くときの考え方は宗教や食習慣への配慮と住まい|キッチン・におい・お祈りの場所、1Kとルームシェアの選び方は社宅は1Kとルームシェア、どちらで用意する?費用と定着で比べる選び方で解説しています。

「希望」と「必要」を分けて聞く

本人の話を聞くときは、「できればこうしたい」という希望と、「これがないと困る」という必要なことを分けて聞くと、条件の優先順位をつけやすくなります。たとえば「一人部屋がいい」は希望でも、「夜勤があるので昼間に眠れる部屋が必要」は必要なことです。必要なことを優先して住まいを選びましょう。

本人に伝えておきたいこと

  • 日本の部屋の広さ。日本の単身向けの部屋は、本人の国の住まいより狭いことがあります。「6畳」などの広さを、写真や動画で見せながら伝えます。
  • 家賃と本人の負担額。毎月いくら負担するのか、光熱費は別かを、金額で伝えます。
  • 用意されているもの。家具や家電、寝具のうち、何が用意されていて、何を自分で用意するのかを伝えます。目安は家具・家電はどこまで用意する?最低限そろえたい生活用品リストを参照。
  • 通勤の方法。住まいから職場まで、どの手段で何分かかるかを伝えます。自転車で通う場合は、日本の交通ルールも伝えておきます。自転車のルールと防犯登録|青切符の導入で変わったことも参照。
  • できないこと。希望どおりにならない点(ルームシェアになる、職場から少し離れるなど)があれば、その理由とあわせて正直に伝えます。

すり合わせを上手に進めるコツ

コツ 内容
通訳を入れる 住まいの条件は細かい話になるため、本人が理解できる言語で話す。送出し機関に協力してもらうのも一つの方法
写真や動画を見せる 候補の物件や、同じような部屋の写真・動画を見せると、広さや設備のイメージが伝わる
間取り図を説明する 「1K」「6畳」など、日本独特の表し方を、図を使って説明する
聞いたことを記録する ヒアリングシートにまとめ、受入れ企業や物件を探す不動産会社と共有する
約束しすぎない 「必ず一人部屋にする」など、確実でないことは約束しない

聞いた内容は、物件を探す人に必ず伝える

本人の希望を聞いても、それが物件を探す担当者や不動産会社に伝わっていなければ意味がありません。ヒアリングシートを受入れ企業と不動産会社に共有し、物件を選ぶ条件に反映させましょう。また、条件に合う物件が見つからなかった場合は、そのことを本人にも早めに伝えておきます。

入国後にもう一度確認する

入国して住み始めてから1か月ほどたったころに、住まいについて困っていることがないかを、もう一度聞いておきましょう。入国前に聞いた希望と、実際の暮らしとの差が分かり、早めに手を打つことができます。本人から引っ越したいという声が出たときの対応は外国籍スタッフから「引っ越したい」と言われたら|支援担当者がやることで解説しています。

また、将来家族を呼び寄せたいという希望がある場合は、在留資格の見通しとあわせて、住み替えの時期を考えておくと安心です。家族で住む場合の住まいの考え方は特定技能2号で家族を呼び寄せるとき|住まいの広さと準備で解説しています。

住まいのすり合わせのチェックリスト

  • ☐ 物件を探し始める前に、本人と面談する時期を決めた
  • ☐ 住み方の希望、生活の習慣、通勤の手段、荷物の量などを聞いた
  • ☐ 「希望」と「必要なこと」を分けて整理した
  • ☐ 部屋の広さ、家賃と本人負担、用意されているものを伝えた
  • ☐ 希望どおりにならない点を、理由とあわせて伝えた
  • ☐ 聞いた内容をヒアリングシートにまとめ、受入れ企業と不動産会社に共有した
  • ☐ 入国後1か月ほどで、もう一度住まいの困りごとを聞く予定を立てた

まとめ

  • 住まいへの不満の多くは、入国前に本人の希望と事情を聞くことで防げる
  • 物件を決める前に、本人の話を聞く面談を一度入れる
  • 住み方、生活の習慣、通勤の手段、荷物、家族の予定などを聞き、「希望」と「必要」を分けて整理する
  • 部屋の広さや本人負担、できないことを、写真や金額を使って正直に伝える
  • 聞いた内容は物件を探す担当者と共有し、入国後にもう一度確認する

面談で聞く内容は、受入れの形や本人の状況によって調整してください。本人が安心して来日できるよう、住まいについて話せる機会を大切にしましょう。

次の段階 2. 在留資格の手続き

このガイドの運営者

不動産のイブキ(伊吹株式会社)。外国籍スタッフの住まいの手配を全国で行っています。制度は改正されることがあるため、手続きの最終確認は出入国在留管理庁などの公式情報もあわせてご確認ください。