段階5 就労開始後の支援

外国籍スタッフから「引っ越したい」と言われたら|支援担当者がやること

働き始めて半年、1年とたつと、外国籍スタッフから「引っ越したい」と相談されることがあります。通勤の不便さや同居人との関係、部屋の設備など、理由はさまざまです。住まいへの不満は離職のきっかけにもなりやすく、相談にどう対応するかは定着にも関わります。

この記事では、引っ越しの相談を受けたときに支援担当者がやることを、理由の聞き取りから転居後の届出まで順番に解説します。

結論:まず理由を聞き、引っ越さずに解決できるかを考える

引っ越しの相談を受けたら、すぐに物件探しを始めるのではなく、まず理由を丁寧に聞くことが大切です。同居人との関係や設備の不具合など、引っ越さなくても解決できる問題もあります。

そのうえで引っ越すことになった場合は、費用を誰が負担するか、今の住まいの解約をどう進めるかを最初に決め、転居後の届出まで漏れなく支援します。

引っ越しを希望する主な理由と対応

理由 まず考えたいこと
同居人との関係がうまくいかない 部屋割りの変更や、当番表のつくり直しで解決できないか
近隣との騒音・トラブル 原因を確かめ、生活の工夫や管理会社への相談で改善できないか
設備の不具合(エアコン、給湯器、カビなど) 管理会社に修理を依頼すれば解決するか
通勤が不便、勤務地が変わった 勤務地の近くへの引っ越しが現実的か
家賃が高い、個室がほしい 本人負担額や住まいの方式を見直す余地があるか
家族を呼び寄せたい 在留資格上、家族帯同ができるか。家族で住める広さの住まいが必要か

理由によっては、本人がはっきり言いにくいこともあります。同居人や近隣との関係が原因の場合は、本人だけの場で話を聞くなど、話しやすい環境をつくりましょう。近隣トラブルや設備の故障への対応は、外国籍スタッフの住まいのトラブル対応|騒音・ゴミ・退去時の原状回復で解説しています。

引っ越すと決まったら:最初に決めること

費用を誰が負担するか

引っ越しにかかる費用は、次のようなものがあります。

  • 新しい住まいの初期費用(敷金・礼金・仲介手数料など)
  • 今の住まいの退去費用(原状回復、ハウスクリーニング、短期解約の違約金など)
  • 引っ越しの運搬費用
  • 家具・家電を買い足す費用

会社の都合(勤務地の変更など)による引っ越しか、本人の希望による引っ越しかで、負担の考え方は変わります。社宅規程などで負担のルールを決めておき、本人に書面で説明してから進めると、後のトラブルを防げます。

住まいの方式をどうするか

引っ越しを機に、借上げ社宅から本人契約に切り替える、またはその逆にすることもあります。日本での生活に慣れ、収入の実績ができた人なら、本人契約で住まいを選ぶ選択肢も広がります。それぞれの違いは借上げ社宅と本人契約、どちらを選ぶ?費用・手間・退去時の違いをご覧ください。

受入れ機関が用意する住まいに移る場合は、新しい住まいも居室1人当たり7.5㎡以上の基準を満たす必要があります。複数名で住む場合の計算は複数名を同時に受け入れるときの住まい|ルームシェアの広さと契約の注意点で解説しています。

今の住まいの解約の進め方

方式 解約する人 注意したいこと
借上げ社宅 受入れ機関 解約予告の期間(1〜2か月前が多い)と、短期解約の違約金を確認する。予告期間中の家賃も見込む
本人契約 本人 本人が解約の連絡をするが、日本語でのやり取りや退去の立ち会いには支援担当者が同席すると安心
自社所有の社宅 受入れ機関 退去日と、次の入居者の予定を調整する

新しい住まいの入居日と、今の住まいの退去日を近づけると、家賃の二重払いを減らせます。ただし、新しい住まいの審査や契約に思ったより時間がかかることもあるため、解約の予告は新しい住まいが決まってから出すのが安全です。

解約の予告を急がない

新しい住まいが決まる前に今の住まいの解約を予告してしまうと、退去日までに次の住まいが見つからず、住む場所がなくなるおそれがあります。外国籍の方は入居審査に時間がかかることもあるため、順番に気をつけましょう。

新しい住まいを探すときのポイント

  • 引っ越しの理由を条件に反映する。通勤が理由なら勤務地からの距離、騒音が理由なら角部屋や鉄筋コンクリート造など、同じ不満が起きにくい条件で探します。
  • 入居審査の書類を先にそろえる。在留カードや在職証明書など、必要書類を一式準備しておくと、申込みから契約までが早く進みます。必要書類は外国籍の方の入居審査で必要な書類と、審査に通りやすくする準備でまとめています。
  • 在留期間の残りを確認する。満了日が近い場合は、更新の手続きとのタイミングも考えます。

引っ越したあとの手続き

  • ☐ 前の市区町村に転出届を出す(同じ市区町村内なら転居届)
  • ☐ 新しい市区町村に、引っ越してから14日以内に転入届を出す。在留カードの住所も書き換えてもらう
  • ☐ 銀行、携帯電話会社、勤務先に住所変更を届け出る
  • ☐ 郵便局に転送届を出す
  • ☐ 電気・ガス・水道の使用停止と使用開始の手続きをする
  • ☐ 新しい地域のゴミの出し方と収集日を説明する
  • ☐ 新しい住まいの困りごとの連絡先を伝える

支援計画に書いた住居確保の内容(借上げ社宅から本人契約への切り替えなど)が変わる場合は、受入れ企業による支援計画変更の届出が必要になる可能性があります。届出の考え方は随時届出が必要になるのはどんなとき?ケース別の期限と届出先で解説しています。

まとめ

  • 引っ越しの相談を受けたら、まず理由を聞き、引っ越さずに解決できるかを考える
  • 引っ越すことになったら、費用の負担と住まいの方式を最初に決め、書面で説明する
  • 借上げ社宅では解約予告の期間と短期解約の違約金を確認する
  • 解約の予告は、新しい住まいが決まってから出す
  • 転入届は引っ越しから14日以内。銀行や携帯、勤務先への住所変更も忘れずに

住まいの悩みに早めに応えることは、スタッフの定着にもつながります。引っ越しの相談は、住まいへの不満を聞く良い機会として受け止めましょう。

次の段階 6. 届出・更新

このガイドの運営者

不動産のイブキ(伊吹株式会社)。外国籍スタッフの住まいの手配を全国で行っています。制度は改正されることがあるため、手続きの最終確認は出入国在留管理庁などの公式情報もあわせてご確認ください。