段階5 就労開始後の支援

外国籍スタッフの住まいのトラブル対応|騒音・ゴミ・退去時の原状回復

入居して数か月がたつと、管理会社から「騒音の苦情が来ています」「ゴミの出し方が守られていません」と連絡が入ることがあります。また、退去のときに思わぬ原状回復費用を請求されて困るケースも少なくありません。

この記事では、外国籍スタッフの住まいでよく起きるトラブルについて、連絡を受けてから解決するまでの対応の流れと、退去時の費用負担の考え方を解説します。

結論:まず事実を確かめ、管理会社と本人の間に立つ

住まいのトラブルでは、支援担当者が管理会社と本人の間に立って、事実を確かめてから対応するのが基本です。苦情の内容をそのまま本人に伝えて注意するだけでは、誤解が残ったり、本人が萎縮して相談しなくなったりします。

借上げ社宅の場合は、受入れ企業が借主として管理会社とやり取りする立場です。本人契約の場合も、日本語でのやり取りや契約内容の理解に不安があれば、支援担当者が同席して進めると話がこじれにくくなります。

トラブル対応の基本の流れ

手順 やること
1. 連絡を受ける いつ、どこで、何が起きたのか、誰からの苦情かを管理会社に確認し、記録する
2. 本人から話を聞く 本人が理解できる言語で、事実と本人の認識を聞く。責める口調にならないよう注意する
3. 原因を確かめる ルールを知らなかったのか、知っていて守れなかったのか、本人以外が原因なのかを見極める
4. 改善策を決めて伝える 具体的に何を変えるかを本人と決め、管理会社にも対応内容を報告する
5. 経過を確認する 1〜2週間後に、改善されたか、新しい苦情が出ていないかを管理会社と本人に確認する

苦情の中には、実は別の部屋の住人が原因だったというものもあります。外国籍の方が住んでいることで疑われやすい面もあるため、事実を確かめる前に本人を決めつけないことが大切です。

よくあるトラブルと対応のポイント

騒音の苦情

夜の話し声や電話、友人を招いての集まり、深夜の洗濯機などが原因になりやすいトラブルです。苦情が来たら、何時ごろのどんな音が問題になっているのかを管理会社に具体的に聞き、本人に伝えます。

勤務シフトの関係で夜に帰宅する人は、生活音が深夜になりやすく、本人だけでは避けにくい場合もあります。シャワーや洗濯の時間をずらす、足音が響きにくいようにラグを敷くなど、具体的な工夫を一緒に考えましょう。

ゴミ出しの苦情

分別の間違い、収集日以外の排出、粗大ゴミの放置などです。苦情が来た場合は、もう一度ゴミ置き場へ一緒に行き、どこが違っていたのかを実物で確認するのが効果的です。自治体の外国語の分別ガイドや、写真付きのルール表を部屋に貼っておくと、再発を防げます。入居時の説明のポイントは生活オリエンテーションで伝えたい住まいのルール|ゴミ出し・騒音・家賃の支払いでまとめています。

無断の同居や長期の来客

友人や知人を長く泊めていると、契約にない人の同居とみなされ、契約違反を指摘されることがあります。本人は「少し泊めているだけ」と考えていることも多いため、契約した人以外は住めないことと、その理由をあらためて説明します。続く場合は契約の解除につながることもはっきり伝えましょう。

設備の故障

エアコンや給湯器が動かない、水漏れがするといった故障は、早く連絡するほど被害が小さく済みます。本人が日本語で管理会社に連絡しにくい場合は、支援担当者に連絡してもらう流れにしておくと安心です。

普通に使っていて壊れた設備は、貸主側が修理するのが一般的です。一方、使い方の誤りで壊した場合や、故障を長く放置して被害が広がった場合は、借主側の負担になることがあります。「壊れたらすぐ連絡する」ことを繰り返し伝えておきましょう。

ルームシェアでの同居人同士のトラブル

掃除やゴミ出しの分担、生活音、私物の扱いなどで、同居する人同士の関係がこじれることがあります。放っておくと住まいへの不満が仕事にも影響し、離職につながることもあります。双方から別々に話を聞き、当番表をつくり直す、部屋割りを変えるなどの対応を考えましょう。複数名で住むときの注意点は複数名を同時に受け入れるときの住まい|ルームシェアの広さと契約の注意点でも解説しています。

苦情が続くと契約解除につながることも

同じ内容の苦情が何度も続くと、管理会社から契約の解除を求められることがあります。住まいを失うと本人の生活が大きく揺らぐうえ、次の物件探しも難しくなります。最初の苦情の段階で、丁寧に対応しておくことが大切です。

退去時の原状回復の考え方

退去時のトラブルで多いのが、原状回復費用です。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、費用負担について次のような考え方が示されています。

区分 例 負担の考え方
普通に使っていて生じた傷みや、年数による劣化 家具の設置による床のへこみ、日焼けによる壁紙の変色、画びょうの小さな穴 貸主の負担が基本
故意や不注意、通常と異なる使い方による傷や汚れ たばこのヤニや臭い、ペットによる傷、掃除を怠ったことによる油汚れやカビ、壁の大きな穴 借主の負担が基本

ただし、契約書に特約がある場合はその内容も関係します。ハウスクリーニング費用を借主の負担とする特約などはよく見られるため、入居時に契約書の内容を確認しておくことが大切です。

退去時の費用トラブルを防ぐために

  • 入居時に部屋の写真を撮っておく。もともとあった傷や汚れを記録しておけば、退去時に誰の責任かでもめにくくなります。
  • 退去の立ち会いに同席する。本人だけで立ち会うと、説明を十分に理解しないまま費用に同意してしまうことがあります。
  • 見積もりの内訳を確認する。どの箇所にいくらかかるのか、ガイドラインの考え方に照らして妥当かを確認します。
  • 費用を本人に負担してもらう範囲を事前に決めておく。借上げ社宅では、退去費用のうち本人に負担してもらう部分のルールを、入居時に書面で説明しておきましょう。

退去時の費用や短期解約の条件は、住まいを選ぶ段階から考えておくことも大切です。費用の内訳は派遣会社が外国籍スタッフの寮・社宅を用意するときの費用と注意点でも整理しています。

トラブルを減らすには「住まい選び」から

住まいのトラブルの多くは、入居後の説明と相談しやすい関係づくりで減らせます。そのうえで、物件選びの段階でできることもあります。

  • 勤務シフトが夜型の人は、角部屋や1階など、生活音が響きにくい部屋を選ぶ
  • 外国籍の方の入居に慣れた管理会社の物件を選び、困ったときの連絡先をはっきりさせておく
  • 人数分の個室がある部屋を選び、同居人同士の摩擦を減らす

まとめ

  • 住まいのトラブルは、事実を確かめてから、管理会社と本人の間に立って対応する
  • 苦情の原因が本人とは限らないため、決めつけずに話を聞く
  • 騒音やゴミ出しは、具体的な工夫や実物での再説明で改善を図る
  • 原状回復は、普通の使用による傷みは貸主、故意や不注意による傷は借主の負担が基本。特約も確認する
  • 入居時の写真と退去時の立ち会いで、費用のトラブルを防ぐ

原状回復の考え方は、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」で詳しく確認できます。個別のトラブルで判断に迷う場合は、管理会社や専門家にもご相談ください。

次の段階 6. 届出・更新

このガイドの運営者

不動産のイブキ(伊吹株式会社)。外国籍スタッフの住まいの手配を全国で行っています。制度は改正されることがあるため、手続きの最終確認は出入国在留管理庁などの公式情報もあわせてご確認ください。