何人かで暮らす寮では、キッチンや浴室、トイレ、廊下などの共用部の掃除を、入居者の当番で回していることが多くあります。しかし、勤務の時間がばらばらだったり、掃除の基準が人によって違ったりすると、汚れがたまり、「自分ばかり掃除している」という不満が出てきます。
こうした場合、共用部の掃除の一部を清掃業者に頼むのも一つの方法です。この記事では、寮の共用部の掃除を業者に頼むときの範囲と頻度、費用の負担、入居者の当番との分け方を解説します。
結論:汚れがたまりやすい水まわりを中心に業者に頼み、日々の片付けは入居者の当番で行う
業者に頼むのは、キッチンの油汚れや浴室のカビ、トイレなど、入居者の掃除では落としきれない汚れが中心です。毎日の片付けやゴミ出しは、これまでどおり入居者の当番で行います。
清掃の費用を寮費に含める場合は、金額の根拠を入居者に説明し、合意を得ることが大切です。
業者に頼む範囲と頻度の例
| 場所 | 業者に頼む作業の例 | 頻度の目安 |
|---|---|---|
| キッチン | コンロや換気扇の油汚れ、流しの排水口の掃除 | 月1回、換気扇は年に数回 |
| 浴室 | カビや水あかの掃除、排水口の髪の毛の除去 | 月1〜2回 |
| トイレ | 便器や床の掃除 | 月2回〜週1回 |
| 洗面所・洗濯機 | 洗面台の掃除、洗濯機の槽の洗浄 | 月1回、洗濯槽は数か月に1回 |
| 廊下・階段・玄関 | 床の掃除、窓や手すりのふき掃除 | 月1〜2回 |
| エアコン | 内部の洗浄 | 年1回(夏の前など) |
頻度は、入居者の人数や、建物の古さ、入居者の当番がどこまでできているかによって決めます。共用部の使い方のルールは寮の共用部分のルールづくり|キッチン・浴室・洗濯機の使い方と当番の決め方で解説しています。
まずは一度、まとめて掃除してもらう
汚れがたまっている寮では、定期の清掃を始める前に、一度まとめて掃除をしてもらうと、その後の当番での掃除が楽になります。きれいな状態を入居者に見てもらい、「この状態を保とう」と伝えると、当番の意識も高まります。
入居者の当番との分け方
| 担当 | 作業の例 |
|---|---|
| 入居者(毎日) | 使った食器や調理器具を片付ける、流しの生ゴミを捨てる、浴室の換気をする |
| 入居者(当番) | ゴミ出し、トイレや洗面台の簡単な掃除、共用の冷蔵庫の整理 |
| 業者(定期) | 油汚れやカビなど落ちにくい汚れ、換気扇や排水口、エアコンの洗浄 |
業者に頼んでも、入居者の当番はなくさない
業者が来るからといって、入居者が日々の片付けをしなくなると、清掃の日までに汚れがたまり、においや虫の原因になります。業者は「入居者の掃除では落ちない汚れ」を担当し、日々の片付けは入居者が行うことを、はっきり伝えましょう。虫を防ぐための衛生管理は寮・社宅の衛生と害虫対策|ゴキブリ・ダニ・トコジラミを防ぐ住まいの管理をご覧ください。
費用の負担と寮費への反映
- 見積もりを複数とる。作業の範囲と頻度を決めたうえで、複数の業者から見積もりをとります。
- 会社が負担するか、寮費に含めるかを決める。清掃の費用を寮費に含める場合は、入居者一人あたりの金額を計算します。
- 入居者に説明して合意を得る。寮費に含める場合は、作業の内容と金額を本人の言語で説明し、合意を得ます。特定技能の場合は、本人から受け取る費用が実際の費用の範囲であることが求められます。
- 退去の費用との関係を考える。日頃から共用部をきれいに保つと、退去のときの清掃費や修繕費を抑えることにつながります。
寮費を変えるときの伝え方は寮費を見直すとき|家賃や光熱費の値上がりを外国籍スタッフにどう伝え、どう決めるか、退去の費用を増やさない住み方は退去の費用を増やさない住み方の伝え方|日頃の掃除・換気・壁や床の扱いで気をつけたいことで解説しています。
作業の日の伝え方と立ち会い
- 作業の日時を前もって伝える。浴室やキッチンが使えない時間があることを、本人の言語で伝えます。
- 共用部に私物を置かない。作業の前に、共用部の私物を片付けてもらいます。
- 個室には入らない。業者に頼むのは共用部だけにし、入居者の個室には、本人の了解なく入らないようにします。
- 作業の記録を受け取る。業者から、作業の内容や気づいた不具合の報告を受け取ります。
部屋に入るときのルールは会社が寮・社宅の部屋に入るときのルール|事前の連絡と了解、緊急のときの入り方、立ち会いと記録をご覧ください。
清掃の報告は、建物の不具合を早く見つける機会にもなる
清掃業者は、水漏れやカビの広がり、設備の故障などに気づくことがあります。報告を受け取る仕組みにしておくと、担当者の見回りだけでは見落としやすい不具合を早く見つけられます。一棟の寮を管理する場合の確認は戸建てや一棟の建物を寮にするとき|建築基準法・消防法で確認したいことと、防火の管理、見回りのポイントは寮・社宅の見回り訪問のしかた|確認するポイントと記録、社宅の管理をまとめて外部に任せる方法は社宅の管理を外部に任せるとき|自社管理との比べ方、任せられる業務と、社宅台帳で押さえたいことも参考にしてください。
寮の清掃を業者に頼むときのチェックリスト
- ☐ 業者に頼む場所と作業の範囲を決めた
- ☐ 入居者の人数や建物に合わせて、頻度を決めた
- ☐ 入居者の毎日の片付けと当番の内容を、改めて決めた
- ☐ 複数の業者から見積もりをとった
- ☐ 清掃の費用を会社が負担するか、寮費に含めるかを決めた
- ☐ 寮費に含める場合、内容と金額を説明して合意を得た
- ☐ 作業の日時と、共用部の私物の片付けを伝えた
- ☐ 業者から作業の報告を受け取る仕組みにした
まとめ
- 入居者の当番だけでは、勤務の時間の違いや掃除の基準の違いで、共用部に汚れがたまりやすい
- 業者には、油汚れやカビ、排水口など、落としにくい汚れを中心に頼む
- 日々の片付けとゴミ出しは、これまでどおり入居者の当番で行う
- 清掃の費用を寮費に含める場合は、根拠を説明し、入居者の合意を得る
- 業者からの報告を、建物の不具合を早く見つけることにも役立てる
清掃の費用や作業の内容は、業者や建物によって異なります。具体的な内容は、見積もりのときに業者にご確認ください。