段階5 就労開始後の支援

退去の費用を増やさない住み方の伝え方|日頃の掃除・換気・壁や床の扱いで気をつけたいこと

寮・社宅の退去の立ち会いで、浴室の黒いカビ、台所の油汚れ、壁の穴や画びょうの跡、床の焦げや深い傷などが見つかり、思ったより大きな原状回復の費用を求められることがあります。借上げ社宅では、まず会社が費用を払うことになるため、入居者が多いほど負担は大きくなります。

こうした汚れや傷の多くは、入居中の住み方で防ぐことができます。この記事では、退去の費用を増やさないために、外国籍スタッフに伝えたい日頃の住み方のポイントを解説します。

結論:「普通に住んでできる傷み」と「手入れ不足でできる汚れ」の違いを伝える

原状回復では、普通に住んでいてできる傷みや古くなったことによる劣化は、借主が負担しないのが基本です。一方で、掃除をしなかったことによるカビや汚れ、不注意や乱暴な使い方でできた傷は、借主の負担になりやすくなります。

この違いを、入居のときに具体例で伝え、日頃の掃除と換気の習慣を身につけてもらうことが、退去の費用を抑えるいちばんの近道です。

費用がかかりやすい汚れ・傷と、防ぎ方

場所 費用がかかりやすい例 日頃の防ぎ方
浴室 放っておいて広がった黒いカビ、水あか 使ったあとに換気扇を回し、壁の水滴を拭く。週に1回は掃除する
台所 こびりついた油汚れ、換気扇の油、コンロの焦げ 料理のときは換気扇を回す。油がはねたらその日のうちに拭く
壁 大きな穴、くぎやねじの穴、たばこのヤニ、落書き くぎやねじを打たない。物をぶつけない。室内でたばこを吸わない
床 家具を引きずった傷、焦げ、飲み物などのしみ 家具の脚にフェルトを貼る。こぼしたらすぐ拭く
窓・サッシ 結露を放っておいてできたカビ 冬は朝に結露を拭き、換気する
設備 使い方の誤りによる故障や破損 使い方が分からないときは、担当者に聞く

費用の負担の考え方と立ち会いの進め方は社宅の退去の立ち会い|原状回復の費用で揉めないための確認、冬の結露への対策は外国籍スタッフの夏と冬の暮らし|熱中症・暖房・結露、たばこのヤニの費用は寮・社宅のたばこのルール|室内禁煙・ベランダの喫煙の苦情・退去時のクロスの費用で解説しています。

「やってはいけないこと」は、理由と一緒に伝える

母国では、壁にくぎを打って物を掛けたり、床で直接火を使って料理をしたりすることが普通の人もいます。「日本の賃貸ではやってはいけない」とだけ伝えるより、「退去のときに大きな費用がかかる」「火事の原因になる」と理由を添えて伝えると、守ってもらいやすくなります。壁に物を掛けたいときは、跡が残りにくいフックなどを案内しましょう。

伝えるタイミング

時期 伝えること
入居の日 部屋の今の状態を一緒に確認し、写真を残す。掃除と換気の基本を伝える
入居から1か月 浴室や台所の様子を見て、掃除の仕方を具体的に伝える
梅雨・冬の前 カビと結露を防ぐ換気の方法を伝える
見回りのとき 汚れや傷が広がっていないか確認し、早めに手入れをお願いする
退去の1か月前 掃除のポイントを伝え、気になる汚れは自分で落としてもらう

入居時の写真記録は入居時の部屋の写真記録とチェックシートの作り方、見回りの進め方は寮・社宅の見回り訪問のしかた|確認するポイントと記録をご覧ください。

見回りで見つけた汚れは、早めに手入れをお願いする

カビや油汚れは、時間がたつほど落ちにくくなり、退去のときには専門の清掃や張り替えが必要になることがあります。見回りで汚れを見つけたら、その場で掃除の仕方を伝え、次の見回りで改善しているか確認しましょう。害虫の発生も、汚れや生ゴミの放置から始まることが多くあります。寮・社宅の衛生と害虫対策|ゴキブリ・ダニ・トコジラミを防ぐ住まいの管理もご覧ください。

ルームシェアの寮で気をつけたいこと

  • 共用部の掃除の当番を決める。台所や浴室など共用部の汚れは、誰の責任か分かりにくくなります。当番表で掃除の分担を決めておきます。
  • 個室と共用部の費用の分け方を決める。退去のときの費用を、個室の分と共用部の分でどう分けるかを、前もって決めておきます。
  • 入居者が替わるたびに記録する。入居者が一人ずつ替わる寮では、入れ替わりのたびに部屋の状態を記録しておくと、誰の時期にできた傷か分かりやすくなります。

共用部の当番の決め方は寮の共用部分のルールづくり|キッチン・浴室・洗濯機の使い方と当番の決め方で解説しています。

掃除の仕方は、写真や動画で見せると伝わりやすい

「きれいに掃除してください」という言葉だけでは、どこまで掃除すればよいかが伝わりにくいものです。浴室の掃除の仕方や換気扇の外し方などを、写真や短い動画で見せると、言葉の壁があっても伝わります。住まいのルールをまとめた資料に、掃除の仕方のページを入れておくのもよい方法です。外国籍スタッフ向け住まいのルール資料の作り方|多言語化のコツも参考になります。

退去の費用を増やさないためのチェックリスト

  • ☐ 普通に住んでできる傷みと、手入れ不足でできる汚れの違いを伝えた
  • ☐ 浴室・台所の掃除と換気の方法を、具体的に伝えた
  • ☐ 壁にくぎやねじを打たない、室内でたばこを吸わないことを伝えた
  • ☐ 家具の脚にフェルトを貼るなど、床の傷を防ぐ工夫をした
  • ☐ 梅雨と冬の前に、カビと結露の対策を伝えた
  • ☐ 見回りで汚れを見つけたら、早めに手入れをお願いしている
  • ☐ 入居時と入れ替えのときに、部屋の状態を写真で残している
  • ☐ 掃除の仕方を、写真や動画で見せる資料を用意した

まとめ

  • 退去の費用がかかりやすいカビ・油汚れ・壁の穴・床の傷の多くは、日頃の住み方で防げる
  • 普通に住んでできる傷みと、手入れ不足でできる汚れの違いを、具体例で伝える
  • 入居の日、入居後1か月、季節の前、見回り、退去前と、タイミングを分けて伝える
  • 見回りで汚れを見つけたら、広がる前に手入れをお願いする
  • 掃除の仕方は、写真や動画で見せると伝わりやすい

原状回復の費用の負担は、契約の内容や部屋の状態によって判断が変わります。具体的な費用の考え方は、国土交通省のガイドラインや管理会社の案内もあわせてご確認ください。

次の段階 6. 届出・更新

このガイドの運営者

不動産のイブキ(伊吹株式会社)。外国籍スタッフの住まいの手配を全国で行っています。制度は改正されることがあるため、手続きの最終確認は出入国在留管理庁などの公式情報もあわせてご確認ください。