段階5 就労開始後の支援

外国籍スタッフの住民税|2年目の手取りと帰国時の納税

来日して1年ほどたったスタッフから、「急に給料が減った」と相談を受けることがあります。多くの場合、その理由は住民税です。住民税は前の年の収入をもとに計算されるため、来日1年目はかからず、2年目から給与で差し引かれ始めます。

この記事では、住民税の仕組みと引かれ始める時期、本人への伝え方、退職・帰国のときの払い方を解説します。住民税の未納は在留手続きにも影響するため、支援担当者として押さえておきたいポイントです。

結論:住民税は「前の年の収入」に、翌年の6月からかかる

住民税は、前の年の1月から12月までの収入をもとに計算され、その年の1月1日に住んでいる市区町村が課税します。会社員の場合は、6月から翌年5月までの12回に分けて給与から差し引かれるのが一般的です。

そのため、来日した年は住民税がかからず、翌年の6月ごろから差し引かれ始めます。この「2年目の手取りの減少」を前もって伝えておかないと、本人の不満や誤解につながります。

住民税が引かれ始める時期の例

時期 住民税
2026年4月 来日・入社。前の年に日本での収入がないため、住民税はかからない
2026年4月〜12月 給与を受け取る。この期間の収入が、翌年度の住民税の計算のもとになる
2027年1月1日 この日に住んでいる市区町村が課税する
2027年6月 給与からの差し引きが始まる(翌年5月まで12回)

2年目以降は、毎年6月に住民税の額が変わります。前の年の収入が増えれば、住民税も増えます。

本人への伝え方

事前ガイダンスの段階で伝える

住民税のことは、来日前の事前ガイダンスで生活費の説明とあわせて伝えておくのが理想です。「1年目と2年目で手取りが変わる」ことを、手元に残る額の計算とあわせて説明しましょう。伝え方は事前ガイダンスで説明すること|住まいと生活費をどう伝えるかで解説しています。

差し引きが始まる前にもう一度伝える

来日前に説明しても、1年以上たつと忘れてしまうことがよくあります。差し引きが始まる前の5月ごろ、定期面談などの機会に「来月から住民税が引かれます」とあらためて伝えると、驚きや不満を減らせます。給与明細のどこに住民税が書かれているかも、一緒に確認しておきましょう。

住民税の通知書を一緒に読む

毎年5月から6月ごろ、会社を通じて住民税の額が書かれた通知書が本人に渡されます。日本語の書類なので、本人は内容が分からず、しまい込んでしまうことがあります。年間の税額と毎月の差し引き額を、一緒に確認しておくと安心です。

手取りが減ったときの住まいへの影響

住民税の差し引きが始まると、家賃などの負担が重く感じられるようになり、「もっと安い部屋に引っ越したい」と相談されることがあります。特に本人契約で家賃を自分で払っている人は、手取りの変化が生活に直接影響します。

住まいを選ぶときは、1年目の手取りではなく、住民税が引かれる2年目以降の手取りで無理のない家賃かどうかを考えておきましょう。引っ越しの相談を受けたときの対応は外国籍スタッフから「引っ越したい」と言われたら|支援担当者がやることで解説しています。

退職・帰国のときの住民税

帰国しても、その年の住民税は払う必要がある

住民税は1月1日に住んでいた市区町村が課税するため、その年の途中で帰国しても、その年度の住民税は払う必要があります。給与からの差し引きが終わらないうちに退職・帰国する場合は、残りの額をどう払うかを決めておかなければなりません。

退職する時期 残りの住民税の払い方
1月1日〜4月30日 5月分までの残りの額を、最後の給与などからまとめて差し引くのが原則
6月1日〜12月31日 本人が申し出れば最後の給与からまとめて差し引ける。申し出がなければ、本人が自分で納める(普通徴収)

帰国してしまうと、本人が自分で納めるのは難しくなります。出国の前に最後の給与からまとめて差し引くか、本人に代わって納税の手続きをする納税管理人を決めて市区町村に届け出ておきましょう。

帰国した翌年の住民税

帰国した年の翌年の1月1日に日本に住んでいなければ、帰国した年の収入に対する翌年度の住民税はかかりません。たとえば2027年10月に帰国した場合、2027年の収入に対する2028年度の住民税はかからないことになります。

退職・帰国のときの手続き全体は退職・帰国が決まったら|届出と住まいの退去の段取りで解説しています。

住民税の未納は在留手続きに影響する

在留期間の更新などの審査では、住民税の納付状況も確認されます。未納があると、更新が認められなかったり、短い在留期間しか許可されなかったりすることがあります。転職や引っ越しで給与からの差し引きが途切れたときは、普通徴収の納付書が届いていないか、本人と一緒に確認しましょう。更新の準備は特定技能1号の在留期間更新|必要書類と早めに準備したいことで解説しています。

まとめ

  • 住民税は前の年の収入をもとに、1月1日に住んでいる市区町村が課税する
  • 来日1年目はかからず、2年目の6月ごろから給与で差し引かれ始める
  • 事前ガイダンスと、差し引きが始まる前の5月ごろの2回、本人に伝える
  • 途中で帰国しても、その年度の住民税は払う必要がある。出国前の一括の差し引きか、納税管理人を決めておく
  • 住民税の未納は在留期間の更新に影響する。差し引きが途切れたときは納付書を確認する

住民税の計算や納付の方法は、市区町村によって細かな違いがあります。個別のケースは、住んでいる市区町村の税務担当の窓口や税理士にご確認ください。

次の段階 6. 届出・更新

このガイドの運営者

不動産のイブキ(伊吹株式会社)。外国籍スタッフの住まいの手配を全国で行っています。制度は改正されることがあるため、手続きの最終確認は出入国在留管理庁などの公式情報もあわせてご確認ください。