段階2 在留資格の手続き

留学生を特定技能で採用するとき|在留資格変更と引っ越しのタイミング

日本語学校や専門学校、大学で学んだ留学生を、卒業後に特定技能1号として採用するケースが増えています。日本の生活に慣れていて日本語も話せるため、海外から呼び寄せるより早く職場になじみやすいのが大きな利点です。

一方で、留学生の採用は「卒業」「学生寮の退去」「在留資格の許可」「入社」の時期が重なりやすく、住まいの段取りでつまずくことがあります。この記事では、留学生を特定技能で採用するときの手続きと、引っ越しのタイミングの考え方を解説します。

結論:卒業・退去・許可・入社の4つの日付をそろえる

留学生を特定技能1号で採用するには、試験の合格と在留資格変更の許可が必要です。許可が出るまでは、特定技能としてフルタイムで働くことはできません。

春に卒業して入社する場合は、学生寮を出る時期と、許可が出て働き始める時期にすき間ができやすくなります。しかも3月は引っ越しの繁忙期で、物件も引っ越し業者も混み合います。卒業・退去・許可・入社の4つの日付を早めに並べて、住まいの空白期間ができないよう段取りを組むことが大切です。

留学生が特定技能1号になるための要件

要件 内容
技能試験 働く分野の特定技能1号の技能試験に合格していること
日本語試験 日本語能力試験N4以上、または国際交流基金日本語基礎テストに合格していること(分野によって追加の試験あり)
雇用契約 受入れ企業と特定技能の雇用契約を結んでいること
在留状況 留学中の資格外活動(アルバイト)の時間の上限を守っていたことなど、在留状況に問題がないこと

留学中のアルバイトは、原則として週28時間以内に制限されています。この上限を超えて働いていた場合、在留資格の変更が認められないことがあります。採用を決める前に、本人のアルバイトの状況も確認しておきましょう。

在留資格変更の流れと時期の目安

時期の目安(4月入社の場合) 在留資格の手続き 住まいの動き
前年の秋ごろ 内定、雇用契約。試験に合格していなければ受験の計画 今の住まい(学生寮か、本人の契約か)と退去の条件を確認
12月〜1月 事前ガイダンス、支援計画の作成、在留資格変更許可申請 住まいの方式を決め、勤務地の近くで物件探しを始める
2月〜3月 入管の審査(1〜2か月程度) 物件の候補を絞り、入居日を決めて申し込む
3月末 卒業 学生寮の退去。新しい住まいへ引っ越す
許可後 新しい在留カードを受け取り、就労開始 引っ越しから14日以内に転入届

全体の流れは、特定技能外国人の受入れスケジュール|内定から入社まで何か月かかる?で解説している「日本に住んでいる人を受け入れる場合」と同じです。ただし、留学生は卒業の時期が決まっているため、逆算して早めに申請することが特に大切です。

卒業から許可までの間に気をつけたいこと

卒業すると学生ではなくなるため、留学生としてのアルバイトは原則としてできなくなります。許可が出るまでの間に働けない期間ができると、本人の生活費が足りなくなることもあります。卒業前に許可が出るよう、できるだけ早めに申請しましょう。

また、留学の在留期間が許可の前に切れてしまいそうな場合は、条件を満たせば移行の準備のための在留資格を利用できることがあります。満了日が近い場合は、地方出入国在留管理局に早めに相談してください。

住まいのパターン別の進め方

学生寮に住んでいる場合

学生寮は、卒業と同時に退去を求められることがほとんどです。退去日が決まっているため、それまでに新しい住まいを用意する必要があります。許可が出る前に寮を出ることになる場合は、その間の住まいをどうするかも決めておきましょう。

自分で部屋を借りている場合

今の部屋から勤務地に通えるなら、引っ越さずにそのまま住み続けることもできます。その場合も、特定技能1号の住居確保支援として、居室1人当たり7.5㎡以上の基準を満たしているかを確認します。友人とのルームシェアでは、人数で割ると基準を下回ることもあるため注意が必要です。

また、留学中の契約は、学校が保証人になっていたり、留学生向けの保証の仕組みを使っていたりすることがあります。卒業後もその契約のまま住み続けられるか、勤務先が変わったことを管理会社や保証会社に届け出る必要があるかを確認しておきましょう。

勤務地が遠く、引っ越しが必要な場合

学校のある地域と勤務地が離れている場合は、引っ越しが必要です。受入れ企業が借上げ社宅を用意するか、本人契約を支援するかを早めに決めましょう。2つの方式の違いは借上げ社宅と本人契約、どちらを選ぶ?費用・手間・退去時の違いで整理しています。支援計画への書き方は支援計画の「住居確保」欄の書き方|3つの方式ごとの記載例をご覧ください。

3月の引っ越しは早めの手配が必要

2月から3月は、新生活の引っ越しが集中する時期です。条件のよい物件はすぐに埋まり、引っ越し業者の予約も取りにくくなります。外国籍の方が入居できる物件はもともと選択肢が限られるため、年明けには物件探しを始めておくと安心です。

入居審査で気をつけたいこと

留学生の身分のまま新しい部屋に申し込むと、収入が少ないことや在留期間の残りが短いことから、入居審査で慎重に見られることがあります。次のような準備をしておくと、審査が進めやすくなります。

  • 内定通知書や雇用契約書で、入社後の勤務先と給与を示せるようにする
  • 在留資格の変更を申請中であることを説明できるようにする
  • 受入れ企業や支援担当者が緊急連絡先を引き受ける
  • 審査に不安がある場合は、受入れ企業が借主となる借上げ社宅も検討する

必要書類と審査で見られる点は、外国籍の方の入居審査で必要な書類と、審査に通りやすくする準備で解説しています。

就労開始後に切り替わる手続き

留学生から社会人になると、住まい以外の手続きも切り替わります。引っ越しとあわせて、次の点も本人に案内しておきましょう。

  • 国民健康保険から、勤務先の健康保険への切り替え
  • 国民年金から、厚生年金への切り替え
  • 引っ越した場合は、銀行や携帯電話の住所変更
  • 学校の寮や留学生向けの保証の仕組みを解約する手続き

なお、国内での転職者の受入れと同じように、住まいが変わるときは前の住まいの退去日と新しい住まいの入居日の調整が欠かせません。考え方は国内転職の特定技能外国人を受け入れるとき|在留資格変更と引っ越しの進め方も参考にしてください。

まとめ

  • 留学生が特定技能1号になるには、技能試験と日本語試験の合格、在留資格変更の許可が必要
  • 許可が出るまでは特定技能として働けない。卒業後は留学生としてのアルバイトも原則できない
  • 卒業・寮の退去・許可・入社の4つの日付を早めに並べ、住まいの空白期間をつくらない
  • 今の部屋に住み続ける場合も、居室1人当たり7.5㎡以上の基準と契約の扱いを確認する
  • 3月は引っ越しの繁忙期。年明けには物件探しを始める

試験の種類や在留資格変更の要件は、分野や制度の見直しによって変わることがあります。最終的な確認は、出入国在留管理庁や各分野の所管省庁の公式情報をご確認ください。

次の段階 3. 住まいの確保

このガイドの運営者

不動産のイブキ(伊吹株式会社)。外国籍スタッフの住まいの手配を全国で行っています。制度は改正されることがあるため、手続きの最終確認は出入国在留管理庁などの公式情報もあわせてご確認ください。