1号特定技能外国人支援計画には、義務的支援の一つとして「適切な住居の確保に係る支援」の内容を記載します。ところが、この欄は方式によって書くべき内容が変わるため、「何をどこまで書けばよいのか」と迷いやすい部分です。
この記事では、住居確保の3つの方式ごとに、支援計画に盛り込みたい内容と記載例を紹介します。あわせて、広さ・家賃・保証まわりで書き漏れやすいポイントも整理します。
結論:まず方式を決め、その方式で「誰が何をするか」を書く
住居確保の欄は、次の3つの方式のどれを取るかで中身が決まります。
- 借上げ社宅:受入れ機関が借主となって物件を借り、本人に住んでもらう
- 本人契約の支援:本人が借主となる契約について、物件探しや契約の補助、保証の手配をする
- 自社所有の社宅・寮:受入れ機関が所有する住宅を提供する
支援計画に書くのは、選んだ方式で誰が(受入れ機関か、委託先の登録支援機関か)、何を、いつまでに行うかです。方式が決まっていないまま申請書類を作ると、記載があいまいになり、入国後の住まいの準備も遅れがちになります。申請書類を作る前に、受入れ企業と方式を決めておきましょう。
どの方式でも押さえておきたい基準
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 居室の広さ | 1人当たり7.5㎡以上。複数名で住む場合は、居室の広さを人数で割って7.5㎡以上 |
| 家賃の本人負担 | 本人に負担してもらうことはできるが、受入れ機関が住まいの提供で利益を得てはいけない |
| 借上げの場合の上限 | 借上げにかかる費用(管理費・共益費を含み、敷金・礼金・保証金・仲介手数料などは含まない)を、入居人数で割った額まで |
| 自社所有の場合の上限 | 建設や改築の費用、物件の耐用年数、入居人数などを踏まえた合理的な額まで |
技能実習2号などから特定技能1号へ移行し、すでに住んでいる社宅にそのまま住み続けたいと本人が希望する場合は、7.5㎡の基準ではなく、寝室1人当たり4.5㎡以上を満たせばよいとする扱いがあります。移行の際の住まいについては、技能実習から特定技能へ移行するとき|住まいの広さの基準と手続きで詳しく解説しています。
方式1:借上げ社宅の場合
受入れ機関が借主となり、物件を借り上げて本人に住んでもらう方式です。海外から呼び寄せる場合は、入国前に住まいを確定させやすいため、よく選ばれます。
盛り込みたい内容
- 受入れ機関が借主として賃貸借契約を結ぶこと
- 入居できる時期(入国日・入社日に合わせること)
- 広さの基準を満たす物件を確保すること(複数名の場合は人数も)
- 本人に負担してもらう家賃の額と、その決め方
- 電気・ガス・水道などの契約を誰が行うか
記載例
当社が賃借人となって居室の床面積が1人当たり7.5㎡以上の住居を借り上げ、入国日までに入居できる状態で提供する。本人負担額は、借上げに要する家賃・管理費の合計を入居人数で割った額の範囲内とし、敷金・礼金・仲介手数料等は当社が負担する。電気・ガス・水道の使用開始手続きは入国前に当社が行い、入居時に使用方法を本人が理解できる言語で説明する。
本人に負担してもらう額は、給与明細などで内訳を示せるようにしておくと、本人への説明や確認の場面で困りません。給与から差し引く場合は、労使協定も必要です。
方式2:本人契約を支援する場合
本人が借主となる契約について、受入れ機関や登録支援機関が物件探しや契約の手続きを補助する方式です。すでに日本に住んでいて在留カードを持っている人を受け入れる場合などに選びやすい方式です。
盛り込みたい内容
- 物件情報の提供、内見や不動産会社への同行
- 契約手続きの補助(契約内容の説明を含む)
- 連帯保証人がいない場合の対応(受入れ機関などが連帯保証人になる、または家賃債務保証業者を確保する)
- 緊急連絡先を誰が引き受けるか
- 入居日が入社日に間に合わない場合の一時的な住まいの手当て
記載例
本人が賃借人となる住居について、登録支援機関が物件情報の提供、内見および契約時の同行、契約内容の説明を行う。連帯保証人を確保できない場合は、利用可能な家賃債務保証業者を確保し、当社が緊急連絡先となる。入居日が就労開始日に間に合わない場合は、入居までの間の宿泊先を当社が手配する。
保証の欄は書き漏れやすい
本人契約では、連帯保証人がいないときにどう手当てするかを必ず書いておきましょう。保証料の負担の扱いなど細かな点は、最新の運用要領で確認してください。貸主から「会社名義での契約なら貸せる」と言われることもあるため、その場合に借上げ社宅へ切り替えられるかも、受入れ企業と相談しておくと安心です。
方式3:自社所有の社宅・寮の場合
受入れ機関が所有する社宅や寮を提供する方式です。物件探しは不要ですが、空き状況と広さの基準の確認が欠かせません。
盛り込みたい内容
- 提供する社宅・寮の所在地と、入居できる時期
- 1人当たりの居室の広さ(相部屋の場合は人数)
- 本人に負担してもらう額と、その算出の考え方
- 家具・家電など、備え付けの設備
記載例
当社所有の社員寮(所在地:〇〇県〇〇市)の一室を、入国日から提供する。居室は1人当たり7.5㎡以上を確保し、寝具・冷蔵庫・洗濯機を備え付ける。本人負担額は、建設費用、耐用年数および入居人数を勘案した額とし、算出根拠を書面で本人に説明する。
書き漏れやすいポイント
- 入居の時期。「住居を確保する」だけでなく、入国日や入社日に間に合わせることまで書いておくと、準備の段取りがはっきりします。
- 複数名の場合の広さ。人数ぎりぎりの物件では、どこまでを居室として数えるかで判断が変わります。計算の考え方は複数名を同時に受け入れるときの住まい|ルームシェアの広さと契約の注意点で解説しています。
- 費用の負担。家賃のほか、初期費用、光熱費、退去時の費用を誰がどう負担するかを、本人への説明とあわせて整理しておきます。
- 委託先の役割。支援を登録支援機関に委託する場合、物件探しや同行を誰が担うのかを、委託契約の内容と食い違わないように書きます。
- 転居したときの対応。入国後に本人が引っ越す場合の支援も、どこまで行うかを決めておくと、後で迷いません。
支援計画どおりに住まいを用意するために
支援計画に書いた内容は、実際にそのとおり実施できることが前提です。たとえば「入国日までに提供する」と書いたのに、審査が終わってから物件を探し始めたのでは、計画どおりの支援ができません。海外から呼び寄せる場合は、在留資格認定証明書の審査中に物件を探し、交付後に契約するのが基本の流れです。詳しくは特定技能の住居確保はいつから動く?入国日から逆算した物件手配のスケジュールをご覧ください。
まとめ
- 住居確保の欄は、借上げ社宅・本人契約の支援・自社所有の社宅のどれを選ぶかで書く内容が変わる
- どの方式でも、居室1人当たり7.5㎡以上と、住まいの提供で利益を得ないことが前提
- 借上げ社宅では、本人負担は借上げ費用を入居人数で割った額まで。敷金・礼金などは受入れ機関の負担
- 本人契約の支援では、連帯保証人がいない場合の手当てと緊急連絡先を必ず書く
- 入居の時期まで書き、計画どおりに用意できるよう審査中から物件探しを進める
記載例は考え方を示すための例文です。実際の記入は、出入国在留管理庁が公表している最新の参考様式と運用要領に沿って行ってください。