制度・法改正

特定技能の対象分野の拡大|新しく加わった分野と受入れの準備

特定技能の制度が始まった2019年には、対象となる分野は14分野でした。その後、人手不足が深刻な業種を中心に分野の追加が続き、現在は19分野になっています。これまで外国人材の受入れに縁のなかった業種の企業から、登録支援機関や派遣会社に相談が寄せられることも増えてきました。

この記事では、特定技能の対象分野に新しく加わった分野と受入れの時期、そして分野ごとに異なる働き方から考える住まいの準備を解説します。

結論:新しい分野は「勤務地」と「勤務時間」が住まい選びを左右する

新しく加わった分野には、郊外や山間部に職場がある、早朝や夜間の勤務があるといった特徴を持つものが多くあります。製造業や外食業の受入れと同じ感覚で住まいを探すと、通勤できない、生活のリズムが近隣と合わない、といった問題が起こりがちです。

新しい分野で初めて受け入れる企業を支援するときは、職場の場所と勤務の時間帯を早めに確認し、それに合わせた住まいを探すことが大切です。あわせて、分野ごとの協議会への加入など、受入れの手続きも漏れなく進めましょう。

対象分野の移り変わり

時期 主な変更
2019年4月 制度開始。14分野でスタート
2022年 製造業の3分野が統合され、12分野に
2024年3月 自動車運送業・鉄道・林業・木材産業の4分野を追加し、16分野に
2026年1月 物流倉庫・リネンサプライ・資源循環の3分野を追加することが閣議決定され、19分野に

2026年1月23日に閣議決定された3分野は、2027年度からの本格的な運用が予定されています。技能試験の実施時期などは分野ごとに順次示されるため、最新の情報を確認しながら準備を進めましょう。

新しく加わった分野の概要

分野 主な仕事 働き方の特徴
自動車運送業 トラック・タクシー・バスの運転 日本の運転免許が必要。早朝・深夜の勤務や長距離の運転がある
鉄道 線路や車両の保守、駅の業務、運転士など 終電後の夜間の作業や、早朝の勤務がある
林業 植林、木の伐採、山林の管理 職場が山間部。車での移動が前提
木材産業 製材、合板の製造など 工場が地方や郊外にあることが多い
物流倉庫 荷物の仕分け、入出荷の検品、在庫管理、フォークリフトなどの操作 倉庫が郊外や幹線道路沿いにある。交代制や夜間の勤務がある
リネンサプライ ホテルや病院のシーツ・タオルなどの洗濯と仕上げ 工場での作業。早朝からの勤務がある
資源循環 廃棄物の収集・選別、リサイクルの作業 施設が郊外にあることが多い。早朝からの収集業務がある

業務の範囲や、2号の対象になるかどうかは分野によって違います。受け入れる前に、分野ごとの運用要領で、本人に任せられる業務を確認しておきましょう。

分野ごとに協議会への加入が必要

新しい分野でも、受入れ企業は分野ごとに設けられた協議会の構成員になる必要があります。初めて受け入れる場合は、在留資格の申請より前に加入を済ませておかなければなりません。加入の進め方は特定技能の分野別協議会への加入|受入れ前に済ませる手続きで解説しています。

分野ごとに考えたい住まいの準備

職場が郊外や山間部にある分野

林業、木材産業、物流倉庫、資源循環などは、職場が駅から離れた場所にあることが多い分野です。電車やバスで通えない場合は、職場の近くで住まいを探すか、会社の送迎や車での通勤を考える必要があります。

職場の近くには賃貸物件が少ないことも多く、外国籍の方が入居できる物件はさらに限られます。内定が出たらすぐに、職場の近くの物件の状況を確認することが大切です。車通勤が前提になる地域での住まい探しは車通勤が前提の地域での住まい探し|地方の受入れで気をつけることで解説しています。

早朝・夜間の勤務がある分野

自動車運送業、鉄道、物流倉庫、リネンサプライ、資源循環などは、早朝や夜間の勤務がある分野です。住まいを選ぶときは、次の点を考えておきましょう。

  • 通勤の手段。始発前や終電後に通勤する場合、電車やバスが使えないことがあります。徒歩や自転車で通える距離かどうかを確認します。
  • 昼間に眠れる環境。夜勤のあとに昼間眠る人には、静かな環境と遮光カーテンなどが必要です。
  • 近隣への配慮。深夜や早朝の出入りの音が、近隣からの苦情になることがあります。音の苦情への対応は住まいの騒音の苦情を受けたとき|聞き取りから改善までで解説しています。
  • ルームシェアの部屋割り。勤務の時間帯が違う人どうしが同じ部屋になると、お互いに休めなくなります。勤務の時間帯が近い人どうしで部屋を割り当てましょう。ルームシェアの考え方は複数名を同時に受け入れるときの住まい|ルームシェアの広さと契約の注意点をご覧ください。

自動車運送業の場合

自動車運送業では、トラックやタクシー、バスを運転するために日本の運転免許が必要です。日本の免許を取るまでの期間、別の在留資格で準備をする仕組みが設けられており、その間は住まいから教習所や試験場に通うことになります。研修の場所と、その後に働く営業所の場所が離れている場合は、住まいをどこに構えるかも早めに決めておきましょう。外国の免許を日本の免許に切り替える手続き(外免切替)の変更点は車通勤が前提の地域での住まい探し|地方の受入れで気をつけることでも触れています。免許を取るための特定活動の期間や、運転者の勤務に合わせた住まいの選び方はドライバーとして働く外国籍スタッフの住まい|免許取得のための特定活動の期間と、営業所に通える社宅選びで解説しています。

初めて外国人材を受け入れる企業を支援するとき

新しい分野の企業は、外国人材の受入れそのものが初めてということも少なくありません。受入れの全体の流れと、住まいの準備にかかる時間を、内定の段階で共有しておきましょう。

また、2027年4月からは技能実習に代わって育成就労の制度が始まり、物流倉庫などの分野は育成就労でも受入れが予定されています。育成就労での住まいの考え方は育成就労制度で住居の確保はどう変わる?2027年4月の開始前に確認したいことで解説しています。

新しい分野の受入れのチェックリスト

  • ☐ 受け入れる分野と、本人に任せられる業務を確認した
  • ☐ 新しい分野の受入れ開始時期と、技能試験の予定を確認した
  • ☐ 分野の協議会への加入を、在留資格の申請より前に進めた
  • ☐ 職場の場所と、通勤の手段を確認した
  • ☐ 早朝・夜間の勤務があるか確認し、住まいの条件に反映した
  • ☐ ルームシェアの場合、勤務の時間帯に合わせて部屋を割り当てた
  • ☐ 職場の近くで、外国籍の方が入居できる物件の状況を確認した

まとめ

  • 特定技能の対象分野は、2024年3月に4分野、2026年1月に3分野が加わり、19分野になった
  • 2026年1月に決まった物流倉庫・リネンサプライ・資源循環は、2027年度からの本格的な運用が予定されている
  • 新しい分野は、郊外や山間部の職場、早朝・夜間の勤務など、住まい選びに影響する特徴を持つものが多い
  • 職場の場所と勤務の時間帯を早めに確認し、通勤の手段や昼間に眠れる環境まで考えて住まいを探す
  • 分野ごとの協議会への加入など、受入れの手続きも並行して進める

対象分野や受入れの条件、試験の日程は、閣議決定や運用要領の改訂で変わることがあります。最新の情報は、出入国在留管理庁や各分野を所管する省庁の案内でご確認ください。

このガイドの運営者

不動産のイブキ(伊吹株式会社)。外国籍スタッフの住まいの手配を全国で行っています。制度は改正されることがあるため、手続きの最終確認は出入国在留管理庁などの公式情報もあわせてご確認ください。