段階3 住まいの確保

車通勤が前提の地域での住まい探し|地方の受入れで気をつけること

製造業や農業、宿泊業などでは、工場や作業場、旅館が郊外や地方にあり、日本人の従業員は車で通勤するのが当たり前という職場も少なくありません。ところが、来日したばかりの外国籍スタッフは、すぐに車を運転できるとは限りません。

この記事では、車通勤が前提の地域で外国籍スタッフを受け入れるときに、通勤手段と住まいをどう組み合わせるか、地方ならではの生活面の注意点とあわせて解説します。

結論:「車がなくても通勤と生活ができるか」で住まいを選ぶ

地方での住まい探しは、物件の条件より先に、車がない状態で通勤と日々の生活が成り立つかを考えることが大切です。入国直後は運転免許がないことがほとんどで、日本の免許を取れるまでには時間がかかります。

会社の送迎を用意するのか、自転車で通える範囲に住むのか、職場の近くの寮にするのか。通勤手段を先に決めてから、その手段に合った場所で住まいを探しましょう。

外国籍スタッフがすぐに運転できない理由

国際運転免許証が使えるとは限らない

母国の免許証をもとに発行された国際運転免許証は、条約に入っている国のものに限って日本で使えます。国によっては日本で使えず、使える場合も期間に制限があります。本人の国籍と免許の種類を、受入れ前に確認しておきましょう。

日本の免許への切替は2025年10月から厳しくなった

外国の運転免許を日本の免許に切り替える手続き(外免切替)は、2025年10月1日から内容が変わりました。主な変更点は次のとおりです。

  • 住民票の写しの提出が求められるようになった
  • 知識の確認が、イラスト中心の10問から文章問題50問に変わり、9割以上の正解が必要になった
  • 運転技能の確認も、新たに免許を取るときと同じように採点が厳しくなった

試験の予約が取りにくい地域もあり、切替が終わるまで数か月かかることもあります。入国してすぐに運転できる前提で通勤手段を決めるのは避けましょう。手続きの詳細は、住んでいる都道府県の警察で確認してください。

通勤手段と住まいの組み合わせ方

通勤手段 住まいの選び方 気をつけたい点
会社の送迎 送迎ルート上か、複数名をまとめて送迎できる場所 送迎する人と車の確保。勤務シフトがばらばらだと送迎の負担が大きい
自転車 職場まで自転車でおおむね20〜30分以内 雨や雪の日の通勤、夜道の安全。冬に雪が積もる地域では使えない時期がある
徒歩 職場の近く、または職場の寮 職場の近くに物件が少ないことがある。買い物や病院に行く手段も考える
本人の車 駐車場付きの物件 免許の取得までの間の通勤手段。車の購入費、保険、駐車場代の負担

入国直後は送迎や自転車で通勤し、日本の免許が取れたら車通勤に切り替える、という段階的な考え方も現実的です。

自転車通勤でも交通ルールの説明は欠かせない

2026年4月から、自転車の交通違反にも反則金を納める制度(いわゆる青切符)が始まっています。自転車で通勤してもらう場合は、左側通行、夜間のライト、スマートフォンを見ながらの運転の禁止、ヘルメットの着用(努力義務)など、日本の交通ルールを入居時に説明しておきましょう。

地方の住まい探しで気をつけたいこと

物件の数が限られる

地方では賃貸物件そのものが少なく、そのうえ外国籍の方が入居できる物件となると、選択肢はさらに限られます。都市部より物件探しに時間がかかることを見込んで、早めに動き出しましょう。手配のスケジュールは特定技能の住居確保はいつから動く?入国日から逆算した物件手配のスケジュールで解説しています。

戸建てを借りるのも選択肢

集合住宅が少ない地域では、戸建てを借りて複数名で住んでもらう方法もあります。送迎をまとめやすく、近隣への生活音の影響も集合住宅より小さく済むことがあります。ただし、一人ひとりの広さの基準や個室の数は、集合住宅と同じように確認が必要です。考え方は複数名を同時に受け入れるときの住まい|ルームシェアの広さと契約の注意点をご覧ください。

駐車場と駐輪場を確認する

本人が将来車を持つ予定があるなら、駐車場が付いているか、近くで借りられるかを確認します。自転車で通勤する場合は、物件に駐輪場があるかも忘れずに確認しましょう。

通勤以外の生活面の注意点

買い物と病院

車がないと、スーパーや病院が遠くて日々の生活に困ることがあります。住まいを選ぶときは、職場までの距離だけでなく、歩いてや自転車で行ける範囲にスーパー、コンビニ、病院があるかも確認しましょう。休日に買い物へ連れて行く日を決めている受入れ企業もあります。

冬の暮らし

雪の多い地域や寒さの厳しい地域では、冬の暖房が欠かせません。暖房器具の使い方や、灯油ストーブを使う場合の換気、水道管の凍結を防ぐ方法など、母国では経験したことのない注意点もあります。暖房費が大きくなることも、本人に事前に伝えておきましょう。用意する設備の考え方は家具・家電はどこまで用意する?最低限そろえたい生活用品リストで解説しています。

地域の人との関わり

地方では、ゴミの出し方や地域の行事など、地域の人との関わりが都市部より密なことがあります。ゴミの出し方や騒音のルールは、地域ごとの決まりに合わせて丁寧に伝えましょう。説明のポイントは生活オリエンテーションで伝えたい住まいのルール|ゴミ出し・騒音・家賃の支払いでまとめています。

地方の受入れの住まいチェックリスト

  • ☐ 本人が入国直後から運転できるか(国際運転免許証が使えるか、切替にかかる期間)を確認した
  • ☐ 免許を取るまでの通勤手段(送迎、自転車、徒歩)を決めた
  • ☐ 決めた通勤手段で無理なく通える範囲で住まいを探した
  • ☐ スーパーや病院に、車がなくても行けるかを確認した
  • ☐ 駐車場・駐輪場の有無を確認した
  • ☐ 冬の暖房と、寒さへの備えを確認した
  • ☐ 自転車や交通のルールを説明する準備をした

まとめ

  • 地方での住まい探しは、車がなくても通勤と生活が成り立つかを先に考える
  • 国際運転免許証が使えない国もあり、日本の免許への切替は2025年10月から厳しくなった
  • 入国直後は送迎・自転車・徒歩で通い、免許を取ってから車通勤に切り替えるのも現実的
  • 地方は物件が少ないため早めに探す。戸建てを複数名で借りるのも選択肢
  • 買い物や病院への行きやすさ、冬の暖房、地域のルールまで確認する

運転免許や交通ルールの制度は変わることがあります。最終的な確認は、警察庁や都道府県警察の最新情報をご確認ください。

次の段階 4. 入国・生活の立ち上げ

このガイドの運営者

不動産のイブキ(伊吹株式会社)。外国籍スタッフの住まいの手配を全国で行っています。制度は改正されることがあるため、手続きの最終確認は出入国在留管理庁などの公式情報もあわせてご確認ください。