制度・法改正

住宅セーフティネット制度は外国籍スタッフの住まい探しに使える?|2025年10月の改正と保証会社の認定制度

外国籍スタッフの住まい探しでは、「外国籍だから」という理由で入居を断られたり、保証会社の審査や緊急連絡先で手続きが止まったりすることがあります。こうした住まい探しの難しさに対して、国は「住宅セーフティネット制度」を設けています。この制度は2025年10月に改正法が施行され、保証会社の認定制度などが新しくできました。

この記事では、住宅セーフティネット制度の仕組みと2025年10月の改正のポイント、登録支援機関・派遣会社の担当者が外国籍スタッフの住まい探しで使える場面と、調べ方を解説します。

結論:外国籍の方も制度の対象。本人契約の住まい探しで選択肢の一つになる

住宅セーフティネット制度では、住まいを借りるときに配慮が必要な人を「住宅確保要配慮者」と呼びます。高齢者や低額所得者、障害者、子育て世帯などのほか、国土交通省令で「日本の国籍を有しない者」が対象に含まれています。

会社が借りる社宅では、会社の信用で契約するため、この制度を使う場面は多くありません。一方で、特定技能2号や技術・人文知識・国際業務の社員、永住者・定住者など、本人が自分で契約する住まい探しでは、登録された住宅や、認定を受けた保証会社が選択肢の一つになります。

住宅セーフティネット制度の主な仕組み

仕組み 内容
セーフティネット住宅(登録住宅) 住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅として、都道府県などに登録された住宅。専用の検索サイトで探せる
居住支援法人 都道府県が指定する法人で、住まい探しの相談や入居後の見守りなどの支援を行う
居住サポート住宅(2025年10月に新設) 居住支援法人などが大家と連携し、安否の確認や見守り、福祉サービスへのつなぎを行う住宅。市区町村などが認定する
認定家賃債務保証業者(2025年10月に新設) 住宅確保要配慮者が利用しやすい保証会社として、国土交通大臣が認定する

外国籍の方が対象になっている根拠

住宅セーフティネット法は、住宅確保要配慮者の範囲を法律と国土交通省令で定めています。外国籍の方は、施行規則第3条で「日本の国籍を有しない者」として対象に入っています。在留資格による区別はありませんが、登録住宅ごとに受け入れる人の範囲が決められている点には注意が必要です(後述)。

2025年10月の改正で特に関わるのは「認定家賃債務保証業者」

外国籍スタッフの本人契約で、特に関わりが大きいのが、保証会社の認定制度です。認定を受けるための主な基準は、次のとおりです。

認定の主な基準 外国籍スタッフの住まい探しでの意味
緊急連絡先を親族などの個人に限らず、法人でもよいとする 日本に家族がいない人でも、勤務先や支援機関などの法人を緊急連絡先にできる
保証人を立てることを契約の条件にしない 日本に保証人になってくれる人がいなくても申し込める
居住サポート住宅に入居する要配慮者の保証を、正当な理由なく断らない 居住サポート住宅では、保証を断られにくくなる
保証料が不当に高くない 保証料の負担が過大になりにくい
要配慮者との契約の実績や、標準的な契約内容を公表する 申し込む前に条件を比べやすい

認定を受けた保証会社は、要配慮者の保証について、住宅金融支援機構の保険を使えるようになります。保証会社にとってリスクが下がるため、これまで審査が通りにくかった人の保証を引き受けやすくなることが期待されています。保証会社の審査に落ちたときの考え方は保証会社の審査に落ちたときの対処法|外国籍スタッフの部屋探しで解説しています。

登録支援機関・派遣会社の実務で使える場面

場面 制度の使いどころ
特定技能2号に移行し、本人が自分で部屋を借りる 支援計画の対象外になったあとの住まい探しで、登録住宅や認定保証業者を案内する
技術・人文知識・国際業務の社員が転勤・住み替えをする 本人契約で、保証会社や緊急連絡先がネックになるときの選択肢にする
永住者・定住者の派遣スタッフが部屋を探す 入居審査で断られることが続くときに、登録住宅も探してみる
保証会社の審査に通らなかった 認定保証業者を使う物件や、管理会社に相談してみる
日本に親族がおらず、緊急連絡先が決まらない 法人を緊急連絡先にできる保証会社を探す

会社が借りる社宅と本人契約の違いは借上げ社宅と本人契約、どちらを選ぶ?費用・手間・退去時の違い、2号移行後の住まいの支援は特定技能2号に移行したら住まいの支援はどう変わる?|支援計画の対象外になったあとの考え方、技術・人文知識・国際業務の社員の住まいは技術・人文知識・国際業務の外国籍社員の住まい|転勤と社宅の考え方、永住者・定住者の部屋探しは永住者・定住者の派遣スタッフの部屋探し|入居審査で見られることで解説しています。

制度があっても、必ず入居できるわけではない

登録住宅は、大家が「入居を拒まない人の範囲」を決めて登録しているため、外国籍の方が対象に入っていない住宅もあります。また、登録住宅の数や場所は地域によって大きく差があり、職場の近くに条件の合う物件がないことも少なくありません。入居審査そのものがなくなるわけでもありません。制度は選択肢を広げるものと考え、通常の部屋探しとあわせて使いましょう。

調べ方と相談先

  • セーフティネット住宅を探す。国土交通省の「セーフティネット住宅情報提供システム」で、地域や家賃、受け入れる人の範囲などから検索できます。
  • 居住サポート住宅を探す。「居住サポート住宅情報提供システム」で認定された住宅が公開されています。主に高齢者や障害者など、見守りが必要な人を想定した住宅です。
  • 認定保証業者を確認する。認定を受けた保証会社は、国土交通省のホームページなどで確認できます。物件の管理会社が提携している保証会社が認定を受けているかも聞いてみましょう。
  • 居住支援法人や自治体に相談する。都道府県が指定した居住支援法人や、地域の居住支援協議会に、外国籍の方の住まい探しを相談できることがあります。外国語での対応ができるかは、法人ごとに確認します。

公的な住まいの選択肢としては、UR賃貸住宅や公営住宅もあります。比べ方はUR賃貸や公営住宅は使える?|外国籍スタッフの住まいの選択肢を比べるをご覧ください。

本人契約でも「緊急連絡先」は会社として決めておく

認定保証業者の制度で、法人を緊急連絡先にできるようになっても、実際に誰が引き受けるかは会社の側で決めておく必要があります。受入れ企業が引き受けるのか、登録支援機関や派遣会社が引き受けるのか、退職したあとはどうするのかを、あらかじめ決めておきましょう。入居審査で求められる書類は外国籍の方の入居審査で必要な書類と、審査に通りやすくする準備で解説しています。地域の相談窓口へのつなぎ方は外国籍スタッフの孤立を防ぐ|地域の交流の場や相談窓口につなぐも参考になります。

住宅セーフティネット制度を使うときのチェックリスト

  • ☐ 本人契約の住まい探しか、会社が借りる社宅かを確認した
  • ☐ セーフティネット住宅情報提供システムで、職場の近くの登録住宅を調べた
  • ☐ 登録住宅が、外国籍の方を受け入れる範囲に入っているかを確認した
  • ☐ 管理会社が使う保証会社が、認定を受けているかを確認した
  • ☐ 緊急連絡先を、どの法人が引き受けるかを決めた
  • ☐ 地域の居住支援法人や相談窓口を調べた
  • ☐ 通常の部屋探しとあわせて進めている

まとめ

  • 外国籍の方は、国土交通省令で住宅セーフティネット制度の住宅確保要配慮者に含まれている
  • 2025年10月の改正で、居住サポート住宅と認定家賃債務保証業者の制度ができた
  • 認定保証業者は、緊急連絡先を法人にでき、保証人を条件にしない。日本に親族がいない人の本人契約で役立つ
  • 使いどころは、2号移行後・技術・人文知識・国際業務・永住者などの本人契約の住まい探し
  • 登録住宅には受け入れる人の範囲があり、地域差も大きい。通常の部屋探しとあわせて使う

住宅セーフティネット制度の運用や、登録住宅・認定保証業者の状況は、地域や時期によって異なります。最新の情報は、国土交通省や都道府県・市区町村の案内でご確認ください。

このガイドの運営者

不動産のイブキ(伊吹株式会社)。外国籍スタッフの住まいの手配を全国で行っています。制度は改正されることがあるため、手続きの最終確認は出入国在留管理庁などの公式情報もあわせてご確認ください。