段階2 在留資格の手続き

技術・人文知識・国際業務の外国籍社員の住まい|転勤と社宅の考え方

エンジニアや通訳、営業、企画などの仕事で外国籍の社員を雇うときの在留資格が「技術・人文知識・国際業務」(技人国)です。特定技能とは違って、受入れ企業に住居確保の支援を行う義務はありません。それでも、海外から採用するときや、国内で転勤してもらうときには、住まいの手配が受入れの成否を左右します。

この記事では、技人国の外国籍社員の住まいについて、社宅の考え方、転勤のときの手続き、家族を呼び寄せる場合の住まいを解説します。

結論:義務はなくても、日本人社員と同じ社宅制度を適用する

技人国の社員には、特定技能のような支援計画や住居確保の義務はありません。ただし、日本人の社員に社宅や住宅手当の制度があるなら、外国籍の社員にも同じ制度を適用するのが基本です。労働基準法では、国籍を理由に労働条件で差別的な扱いをすることが禁じられています。

そのうえで、海外から採用する人は入国前に住まいを決める必要があること、家族を呼び寄せる人は家族で住める住まいが必要になることなど、外国籍の社員ならではの事情に合わせて準備を進めましょう。

技人国と特定技能の住まいの違い

項目 技術・人文知識・国際業務 特定技能1号
住居確保の支援の義務 なし あり(支援計画に記載)
住まいの広さの基準 在留資格上の基準はない 居室1人当たり7.5㎡以上
在留期間 5年、3年、1年、3か月のいずれか。更新に上限はない 3年を超えない範囲で個々に指定。通算は原則5年まで
家族の帯同 配偶者と子どもを「家族滞在」で呼び寄せられる 原則できない

技人国の社員は在留期間の更新に上限がなく、家族と長く日本で暮らす人も多くいます。単身用の社宅だけでなく、長く住める住まいや、家族向けの住まいも視野に入れておくと安心です。

海外から採用するときの住まい

海外から採用する場合は、本人が日本に来るまで在留カードがないため、本人の名義で部屋を借りるのが難しくなります。入国前に住まいを決めておきたいときは、会社が借主となる借上げ社宅が現実的です。借上げ社宅と本人契約の違いは借上げ社宅と本人契約、どちらを選ぶ?費用・手間・退去時の違いで整理しています。

入社日が近いのに住まいが決まっていない場合は、一時的な宿泊先を用意する必要があります。宿泊先の選び方は入国日に住まいが間に合わないとき|一時的な宿泊先の選び方と注意点で解説しています。

社宅制度の考え方

本人負担額

技人国の社員に借上げ社宅を提供する場合、本人負担額の決め方に特定技能のような上限のルールはありません。ただし、日本人の社員と同じ基準で決めるのが基本です。会社が受け取る本人負担額が少ないと、その差額が給与として課税されることがあるため、税理士にも確認しておきましょう。

社宅規程を共通にする

外国籍の社員だけ別のルールにすると、不公平感やトラブルのもとになります。社宅規程は日本人の社員と共通にし、そのうえで一時帰国や家族の呼び寄せなど、外国籍の社員に関わる項目を加えておきましょう。規程の作り方は外国籍スタッフの社宅規程の作り方|家賃負担・退去・備品のルールで解説しています。

転勤するときの手続きと住まい

同じ会社の中での転勤

同じ会社の中で勤務地が変わるだけで、仕事の内容が在留資格の範囲に収まっていれば、在留資格の手続きは必要ありません。必要なのは、引っ越しに伴う住所の変更の届出です。引っ越してから14日以内に、新しい市区町村で転入届を出します。住所変更の届出の一覧は住所が変わったときの届出まとめ|在留カード・住民票・勤務先でまとめています。

なお、転勤によって仕事の内容が大きく変わり、在留資格で認められた専門的な業務から外れてしまうと、次の在留期間の更新で問題になることがあります。転勤先での仕事の内容も確認しておきましょう。

グループ会社などへの出向・転籍

雇用契約を結ぶ会社が変わる場合は、本人が14日以内に所属機関に関する届出を出入国在留管理庁に行う必要があります。新しい会社での仕事が在留資格に合っているかを確かめるために、就労資格証明書を取得しておく方法もあります。

転勤のときの住まい

転勤では、今の住まいの解約と、新しい勤務地での住まいの手配が同時に進みます。借上げ社宅なら、解約予告の期間と、新しい住まいの入居日を合わせて、家賃の二重払いを減らしましょう。家族がいる場合は、子どもの学校の転校の時期も考えて、引っ越しの日程を決めます。

転勤の多い会社は、物件探しの窓口を決めておく

全国に拠点がある会社では、転勤のたびに各地で物件を探すことになります。外国籍の方の入居に慣れた不動産会社を窓口として決めておくと、地域ごとに一から不動産会社を探す手間が省け、入居審査もスムーズに進みます。

家族を呼び寄せる場合の住まい

技人国の社員は、配偶者と子どもを「家族滞在」で呼び寄せることができます。家族を呼び寄せるときは、単身用の部屋から、家族で住める広さの住まいへの住み替えが必要です。家族で住む広さの目安や、子どもの学校を考えた物件選びは、特定技能2号で家族を呼び寄せるとき|住まいの広さと準備で解説している内容が参考になります。

まとめ

  • 技人国の社員には住居確保の義務はないが、日本人の社員と同じ社宅制度を適用するのが基本
  • 海外から採用する場合は、入国前に住まいを決めやすい借上げ社宅が現実的
  • 同じ会社の中での転勤なら、在留資格の手続きは不要。住所変更の届出を14日以内に
  • 雇用契約を結ぶ会社が変わる場合は、本人が14日以内に所属機関に関する届出を行う
  • 家族を呼び寄せる場合は、家族で住める広さの住まいへの住み替えが必要になる

在留資格の範囲や手続きは、仕事の内容や個別の事情によって判断が分かれることがあります。判断に迷うときは、出入国在留管理庁や行政書士などの専門家にご確認ください。

次の段階 3. 住まいの確保

このガイドの運営者

不動産のイブキ(伊吹株式会社)。外国籍スタッフの住まいの手配を全国で行っています。制度は改正されることがあるため、手続きの最終確認は出入国在留管理庁などの公式情報もあわせてご確認ください。