段階6 届出・更新

外国籍スタッフの年末調整|海外の家族を扶養に入れるときの書類

母国の家族に仕送りをしている外国籍スタッフは少なくありません。こうした家族を扶養に入れると、所得税や住民税が軽くなることがあります。ただし、海外に住む家族を扶養に入れるには、家族であることや仕送りをしていることを示す書類が必要で、2023年からは対象となる家族の範囲も見直されました。

この記事では、外国籍スタッフが海外に住む家族を扶養に入れるときのルールと必要な書類、年末調整に向けて支援担当者が伝えておきたいことを解説します。

結論:「家族であることの書類」と「家族一人ひとりへの送金の記録」を一年を通して残す

海外に住む家族を扶養に入れるには、家族であることを示す書類(親族関係書類)と、その家族に仕送りをしたことを示す書類(送金関係書類)が必要です。外国語の書類には、日本語の翻訳も必要です。

送金関係書類は、年末になってから集めようとしても、記録が残っていないことがあります。扶養に入れる家族一人ひとりに、銀行などを通して送金し、その記録を一年を通して保管しておくよう、入社のときから伝えておきましょう。

2023年からの見直し

2023年1月から、海外に住む家族を扶養控除の対象にできる範囲が見直されました。16歳以上30歳未満の家族と70歳以上の家族はこれまでどおり対象になりますが、30歳以上70歳未満の家族は、次のいずれかにあたる場合に限られます。

家族の年齢 扶養控除の対象になるか
16歳以上30歳未満 対象になる
30歳以上70歳未満 次のいずれかにあたる場合に限り対象になる
・留学のために日本の外に住んでいる
・障害者である
・その年に38万円以上の送金を受けている
70歳以上 対象になる

たとえば、母国で働いている40代の兄弟姉妹や、50代の親は、その年に38万円以上の送金を受けていなければ、扶養控除の対象になりません。本人が以前の感覚で扶養に入れようとしていることもあるため、年齢と送金の額を確認しましょう。

必要な書類

家族 必要な書類
30歳未満、または70歳以上 親族関係書類、送金関係書類
30歳以上70歳未満で留学している 親族関係書類、送金関係書類、留学していることを示す書類
30歳以上70歳未満で障害者 親族関係書類、送金関係書類
30歳以上70歳未満で38万円以上の送金を受けている 親族関係書類、38万円以上の送金を示す書類

外国語で作られた書類には、日本語の翻訳文をつけます。

親族関係書類

家族であることを示す書類です。母国の政府などが発行した戸籍や出生証明書などの写しと、家族のパスポートの写しなどが使われます。母国から取り寄せるのに時間がかかることがあるため、早めに準備するよう伝えましょう。

送金関係書類

その年に、家族の生活費や教育費のために送金したことを示す書類です。銀行などの金融機関を通した送金の記録などが使われます。

送金は家族「一人ひとり」に必要

送金関係書類は、扶養に入れる家族それぞれについて必要です。たとえば、母親にまとめて送金して、そのお金で兄弟姉妹の生活費もまかなっている場合、兄弟姉妹についての送金関係書類にはなりません。また、知人に現金を持って帰ってもらうなど、記録の残らない方法で渡したお金は、書類で示すことができません。扶養に入れたい家族には、それぞれ記録の残る方法で送金するよう伝えましょう。

年末調整までの流れ

  1. 入社したとき・年のはじめ:扶養控除等の申告書に、扶養に入れる家族を書いて会社に出す。このとき親族関係書類も出す。
  2. 一年を通して:家族一人ひとりへの送金の記録を保管する。
  3. 年末調整のとき:送金関係書類(と翻訳文)を会社に出す。

書類がそろわないと、年末調整で扶養控除を受けられず、税金が多くなります。その場合でも、あとから確定申告で控除を受けられることがあります。会社の年末調整の締切りに間に合うよう、早めに声をかけましょう。

支援担当者が伝えておきたいこと

仕送りと住まいの費用のバランス

仕送りを優先しすぎて、家賃や光熱費の支払いが苦しくなるスタッフもいます。給料から差し引かれる家賃と、税金・社会保険料を引いたあとの手取りをもとに、無理のない仕送りの額を一緒に考えることも、支援の一つです。給料から差し引く家賃の考え方は社宅の家賃を給料から差し引くとき|労使協定と課税の考え方、家賃の支払いが滞ったときの対応は外国籍スタッフの家賃滞納が起きたとき|原因の聞き取りと支払いの立て直しで解説しています。

海外の家族の扶養のチェックリスト

  • ☐ 扶養に入れたい家族の年齢と、2023年からの見直しの内容を確認した
  • ☐ 30歳以上70歳未満の家族は、留学・障害・38万円以上の送金のどれにあたるか確認した
  • ☐ 親族関係書類と日本語の翻訳を、年のはじめまでに用意するよう伝えた
  • ☐ 家族一人ひとりに、記録の残る方法で送金するよう伝えた
  • ☐ 送金の記録を一年を通して保管するよう伝えた
  • ☐ 年末調整の締切りまでに、送金関係書類を出すよう声をかけた
  • ☐ 仕送りと家賃・生活費のバランスを一緒に確認した

説明した内容や、本人から受けた相談は記録に残しておきましょう。記録の残し方は相談・苦情対応の記録の残し方|支援実施状況の確認に備えるで解説しています。

まとめ

  • 海外に住む家族を扶養に入れるには、親族関係書類と送金関係書類が必要。外国語の書類には日本語の翻訳をつける
  • 2023年からは、30歳以上70歳未満の家族は、留学・障害・38万円以上の送金のいずれかにあたる場合に限り対象になる
  • 送金関係書類は家族一人ひとりについて必要。記録の残る方法で送金し、一年を通して保管する
  • 入社のときに説明し、年末調整の締切りに間に合うよう声をかける
  • 仕送りと家賃・生活費のバランスにも目を配る

扶養控除の要件や必要な書類の詳しい内容は、国税庁のウェブサイトや税務署でご確認ください。個別の判断は、税理士などの専門家にご相談ください。

このガイドの運営者

不動産のイブキ(伊吹株式会社)。外国籍スタッフの住まいの手配を全国で行っています。制度は改正されることがあるため、手続きの最終確認は出入国在留管理庁などの公式情報もあわせてご確認ください。