日本の賃貸には、敷金や礼金、更新料のように、海外にはあまりない仕組みや、分かりにくい用語がたくさんあります。外国籍スタッフに住まいの説明をするときに、こうした用語をそのまま使うと、本人は意味が分からないまま「はい」と答えてしまい、あとで「聞いていない」というトラブルになることがあります。
この記事では、外国籍スタッフに伝えたい賃貸の主な用語を、やさしい日本語での言い換えとあわせて紹介します。事前の説明や入居のときの説明に使ってください。
結論:用語は言い換え、「いつ・いくら・戻るか」を具体的に伝える
賃貸の用語は、そのまま使わず、短く、やさしい日本語に言い換えて説明します。特にお金に関わる用語は、いつ払うのか、いくらなのか、あとで戻ってくるのかを具体的に伝えることが大切です。
出入国在留管理庁と文化庁が出している「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」も、説明の言葉を考えるときの参考になります。
入居のときのお金に関わる用語
| 用語 | やさしい日本語での言い換えの例 | 誤解されやすい点 |
|---|---|---|
| 家賃 | 部屋を借りるために、毎月払うお金 | 前の月に、次の月の分を払うことが多い |
| 管理費・共益費 | 建物の掃除や電気など、みんなで使う場所のために毎月払うお金 | 家賃とは別にかかることがある |
| 敷金 | 部屋を借りるときに預けるお金。部屋を出るときに、修理の費用などを引いて戻る | 全部戻るとは限らない |
| 礼金 | 部屋を借りるときに、大家さんに払うお金。戻らない | 海外にない仕組みで、理解されにくい |
| 仲介手数料 | 部屋を探してくれた不動産会社に払うお金 | 一度だけ払う |
| 保証料 | 家賃を払えないときのために、保証会社に払うお金 | 最初だけでなく、毎年や毎月かかることもある |
| 火災保険料 | 火事や水漏れのときのための保険のお金 | 入居のときに入ることが多い |
会社が借りる社宅の場合は、これらの費用のうち、本人が負担するものと会社が負担するものを分けて伝えます。家賃を給料から差し引く場合の説明は社宅の家賃を給料から差し引くとき|労使協定と課税の考え方、保証会社については保証会社の審査に落ちたときの対処法|外国籍スタッフの部屋探しで解説しています。
住んでいる間と、出るときの用語
| 用語 | やさしい日本語での言い換えの例 | 誤解されやすい点 |
|---|---|---|
| 契約期間 | 部屋を借りる約束の期間。2年が多い | 期間の途中で出ることもできるが、決まりがある |
| 更新・更新料 | 約束の期間が終わって、続けて住むときの手続き。そのときに払うお金 | 地域や物件によって、ある場合とない場合がある |
| 解約予告 | 部屋を出ることを、前もって知らせること。1〜2か月前が多い | 知らせるのが遅れると、出たあとの家賃もかかる |
| 短期解約違約金 | 短い期間で部屋を出るときに払うお金 | 1年以内などで出ると、かかることがある |
| 原状回復 | 部屋を出るときに、借りたときの状態に近づけること | 普通に住んでできた汚れや古くなった部分は、払わなくてよいことが多い |
| 退去の立ち会い | 部屋を出るときに、部屋の状態を一緒に見ること | その場ですぐに費用にサインしない |
| 又貸し | 借りた部屋を、ほかの人に貸すこと。してはいけない | 友人を住まわせることも含まれる |
更新の手続きは社宅の更新手続き|2年ごとの更新料と在留期限の確認、退去のときの費用の考え方は社宅の退去の立ち会い|原状回復の費用で揉めないための確認、入居のときの部屋の記録は入居時の部屋の写真記録とチェックシートの作り方で解説しています。
「分かりましたか」と聞くだけでは確認にならない
外国籍スタッフは、意味が分からなくても「はい」と答えることがあります。説明のあとは、「部屋を出るとき、敷金はどうなりますか」のように、本人に言葉で説明してもらうと、本当に理解しているかを確かめられます。大切なことは書面にも残し、あとで見返せるようにしましょう。
説明のときのコツ
- 一文を短くする。「〜ので、〜して、〜です」とつなげず、一つの文に一つのことを書きます。
- 数字と日付を具体的に。「前もって」ではなく「部屋を出る日の1か月前までに」のように伝えます。
- 実際の書類を見せる。契約書や請求書の、どこにその用語が書いてあるかを指で示しながら説明します。
- 翻訳の資料と組み合わせる。国の多言語の資料や、本人の言語で書いた資料と組み合わせます。賃貸の契約を外国籍スタッフにどう説明する?|国土交通省の14言語の部屋探しガイドブックと契約書類の見本も参照。
用語の説明は、入国前と入居のときの2回
賃貸の用語は、一度聞いただけでは覚えられません。入国前の事前のガイダンスで大まかに説明し、入居のときに実際の書類を見ながらもう一度説明すると、理解が深まります。事前のガイダンスで伝えることは事前ガイダンスで説明すること|住まいと生活費をどう伝えるか、住まいのルールの資料の作り方は外国籍スタッフ向け住まいのルール資料の作り方|多言語化のコツをご覧ください。
賃貸の用語の説明のチェックリスト
- ☐ 敷金・礼金・管理費など、入居のときのお金の用語を説明した
- ☐ 本人が負担する費用と、会社が負担する費用を分けて伝えた
- ☐ 更新、解約予告、短期解約違約金を説明した
- ☐ 原状回復と退去の立ち会いの考え方を説明した
- ☐ 又貸しをしてはいけないことを伝えた
- ☐ 本人に言葉で説明してもらい、理解を確かめた
- ☐ 大切なことを書面に残した
まとめ
- 日本の賃貸には、海外にない仕組みや分かりにくい用語が多い
- 用語はそのまま使わず、やさしい日本語に言い換えて説明する
- お金に関わる用語は、いつ払うか、いくらか、戻るかを具体的に伝える
- 「分かりましたか」ではなく、本人に説明してもらって理解を確かめる
- 入国前と入居のときの2回に分けて説明し、書面にも残す
費用の名前や仕組みは、地域や物件によって異なります。実際の契約書の内容をもとに、本人に合わせて説明してください。