賃貸住宅の入居申込書や重要事項説明書、契約書は、日本語で書かれています。外国籍スタッフが自分で契約する場合はもちろん、会社が借りる社宅に住む場合でも、契約で決められたルールや退去のときの費用の考え方を、本人が理解しないまま入居してしまうことがあります。それが、あとのトラブルの原因になります。
国土交通省は、外国籍の方の賃貸住宅への入居を円滑にするための資料を、14の言語で公開しています。この記事では、その資料の内容と、登録支援機関・派遣会社の担当者が住まいの説明に使う場面、使うときの注意点を解説します。
結論:本人への説明には「部屋探しのガイドブック」、契約の中身の説明には契約書類の翻訳見本を使う
国土交通省の資料は、大きく分けて、外国籍の方に向けた「部屋探しのガイドブック」と、大家や不動産会社に向けた「外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン」の2つです。ガイドラインには、入居申込書や重要事項説明書、賃貸住宅の標準的な契約書の翻訳の見本がついています。
入居前の説明や事前のガイダンスでは、本人の言語のガイドブックを使い、契約の中身を説明するときは、翻訳の見本を参考資料として使うと、説明の漏れを減らせます。
国土交通省が公開している主な資料
| 資料 | 主な対象 | 内容 |
|---|---|---|
| 部屋探しのガイドブック | 日本で部屋を探す外国籍の方 | 部屋の探し方、契約の手続き、入居したあとの注意点など |
| 外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン | 大家、仲介会社、管理会社 | 外国籍の方の入居に対応するための手引き。契約のときに使うチェックシート、入居申込書、重要事項説明書、賃貸住宅の標準的な契約書(定期借家を含む)の翻訳の見本がついている |
| 大家さん、不動産事業者向け外国人の受入れガイド | 大家、不動産会社 | 外国籍の方を受け入れるときのポイントをまとめたもの |
| 言語対応サポートを行っている登録家賃債務保証業者の一覧 | 外国籍の入居希望者 | 外国語での対応をしている保証会社の一覧 |
ガイドブックとガイドラインは、日本語、英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、ベトナム語、ネパール語、タイ語、インドネシア語、ミャンマー語、クメール語(カンボジア)、タガログ語、モンゴル語の14言語で用意されています。国土交通省のホームページや、都道府県の住宅関係のページから入手できます。
翻訳の見本は「参考」。正式な契約は日本語の書類
ガイドラインについている契約書の翻訳は、国が示した標準的な契約書の見本を訳したものです。実際の物件の契約書は、貸主や管理会社ごとに内容が違うため、見本とまったく同じとは限りません。翻訳の見本は、契約の仕組みや用語を理解してもらうための参考資料として使い、実際の契約書の内容は、その物件の書類をもとに説明しましょう。
住まいの支援で使える場面
| 場面 | 使い方 |
|---|---|
| 入国前の事前ガイダンス | 本人の言語のガイドブックで、日本の賃貸の仕組み(敷金・礼金、更新、退去のときの費用など)を説明する |
| 入国前の住まいのすり合わせ | 住まいの条件を話し合う前に、ガイドブックで日本の部屋の広さや設備の一般的なイメージを持ってもらう |
| 本人が自分で契約するとき | 入居申込書や重要事項説明書の翻訳の見本を見ながら、記入する内容や説明される内容を確認する |
| 会社が借りる社宅に入居するとき | 契約の名義は会社でも、住む人が守るルール(禁止事項、退去のときの原状回復など)は、翻訳の見本を使って説明しておく |
| 退去のとき | 入居したときに説明した内容を振り返り、原状回復の費用の考え方を改めて伝える |
事前ガイダンスで伝える内容は事前ガイダンスで説明すること|住まいと生活費をどう伝えるか、入国前の住まいのすり合わせは入国前に本人と住まいの条件をすり合わせる|オンライン面談で聞くこと、退去のときの原状回復の考え方は社宅の退去の立ち会い|原状回復の費用で揉めないための確認で解説しています。
本人が自分で契約する場合の使い方
- 申込みの前に、ガイドブックで流れを確認する。申込み、入居審査、契約、鍵の受け取りまでの流れと、必要な書類を本人と一緒に確認します。入居審査で必要な書類は外国籍の方の入居審査で必要な書類と、審査に通りやすくする準備を参照。
- 重要事項説明の前に、翻訳の見本を渡しておく。説明を受ける項目があらかじめ分かっていると、本人も質問しやすくなります。
- 言語対応のできる保証会社を確認する。保証会社の一覧を使い、本人の言語で問い合わせができるかを確認します。
会社が借りる社宅と本人契約の違いは借上げ社宅と本人契約、どちらを選ぶ?費用・手間・退去時の違い、本人契約で使える国の制度は住宅セーフティネット制度は外国籍スタッフの住まい探しに使える?|2025年10月の改正と保証会社の認定制度で解説しています。
不動産会社にも資料の存在を伝えておく
国土交通省のガイドラインは、もともと大家や不動産会社に向けた資料です。住まいの手配を依頼する不動産会社が、この資料を使って重要事項説明や契約の説明をしてくれるかを確認しておくと、説明の質がそろいます。外国籍の方の対応に慣れた不動産会社の選び方は住まいの手配を不動産会社に任せるとき|登録支援機関・派遣会社が確認したいことをご覧ください。会社独自の住まいのルールの資料は、外国籍スタッフ向け住まいのルール資料の作り方|多言語化のコツを参考に、国の資料と組み合わせて用意しましょう。
多言語資料を使うときのチェックリスト
- ☐ 本人の言語の「部屋探しのガイドブック」を用意した
- ☐ 事前ガイダンスで、日本の賃貸の仕組みを説明した
- ☐ 本人契約の場合、入居申込書・重要事項説明書の翻訳の見本を事前に渡した
- ☐ 社宅の場合も、住む人が守るルールと退去のときの考え方を説明した
- ☐ 翻訳の見本は参考資料であり、実際の契約書と同じとは限らないことを伝えた
- ☐ 依頼する不動産会社が、多言語の資料を使って説明できるかを確認した
- ☐ 言語対応のできる保証会社を確認した
まとめ
- 国土交通省は、外国籍の方向けの「部屋探しのガイドブック」と、大家・不動産会社向けの「入居円滑化ガイドライン」を14言語で公開している
- ガイドラインには、入居申込書・重要事項説明書・標準的な契約書の翻訳の見本がついている
- 事前ガイダンスや入居前の説明にはガイドブック、契約の中身の説明には翻訳の見本を使う
- 翻訳の見本は参考資料。実際の契約書の内容は、その物件の書類で説明する
- 社宅でも、住む人が守るルールと退去のときの考え方は本人の言語で伝えておく
資料の内容や対応言語は、改訂されることがあります。最新の資料は、国土交通省のホームページでご確認ください。