公共の交通機関が少ない地方では、外国籍スタッフが通勤や生活のために車を持つことがあります。車を持つと生活の幅が広がる一方で、駐車場の確保、保険、税金、事故のときの対応、そして帰国のときの手続きなど、知っておかなければならないことが多くあります。手続きを知らないまま車を持つと、事故や帰国のときに大きなトラブルになることもあります。
この記事では、外国籍スタッフが車を持つときに支援担当者が確認しておきたいことを解説します。車通勤が前提の地域での住まい探しや、運転免許の切り替えについては車通勤が前提の地域での住まい探し|地方の受入れで気をつけることでまとめています。
結論:「駐車場・保険・名義」を最初に確認し、帰国のときの処分まで決めておく
車を持つときに最初に確認したいのは、置き場所(駐車場と車庫証明)、保険(自賠責保険と任意保険)、名義(誰の名前で登録するか)の3つです。
そして、帰国や退職のときに車をどうするかを、買う時点で考えておくことが大切です。名義を変えないまま帰国すると、翌年以降も税金の通知が届き続けるなど、本人にも会社にも負担が残ります。
車を持つ前に確認すること
| 確認すること | 内容 |
|---|---|
| 運転免許 | 日本で運転できる免許を持っているか。国際運転免許証には使える国と期間の制限がある |
| 駐車場 | 住まいに駐車場があるか、近くで借りられるか |
| 車庫証明 | 多くの地域で、車の登録に駐車場の証明(自動車の保管場所の証明)が必要 |
| 保険 | 自賠責保険に加えて、任意保険に入れるか、保険料はいくらか |
| 維持費 | 駐車場代、ガソリン代、保険料、自動車税、車検の費用を、本人の収入で払えるか |
| 名義 | 本人の名義で買うか、会社の車を貸すか |
駐車場と車庫証明
車を登録するときには、多くの地域で、住まいから一定の距離の範囲内に駐車場を確保していることの証明が必要です。住まいの駐車場を使う場合も、別に月極の駐車場を借りる場合も、契約者や使用の承諾の書類が必要になります。会社名義で借りている社宅の駐車場を本人が使う場合は、手続きに必要な書類を誰が用意するか、管理会社と確認しておきましょう。
任意保険には必ず入る
法律で入ることが決められている自賠責保険は、事故の相手のけがへの補償に限られ、金額にも上限があります。相手の車や物への損害、本人の車の修理などは補償されません。大きな事故を起こすと、本人では払いきれない賠償を求められることもあります。運転経験が短い人や、日本での運転に慣れていない人は保険料が高くなりがちですが、任意保険には必ず入るよう伝えましょう。
事故のときの対応
- けが人がいれば救護し、119番に通報する。
- 110番に通報する。小さな事故でも、警察への届出は義務です。届出をしないと、保険を使うときに必要な証明が出ません。
- 保険会社に連絡する。
- 支援担当者や会社に連絡する。
- その場で示談をしない。相手からお金の話をされても、その場で約束しないよう伝えます。
事故のときの連絡先と対応の順番を、本人の言語で書いて車の中に置いておくと安心です。
税金と車検
車を持っている人には、毎年、自動車税(軽自動車の場合は軽自動車税)の納付書が届きます。決められた日の時点の持ち主に課税されるため、年度の途中で車を手放しても、手続きのしかたによっては納付書が届くことがあります。
税金を納めずにいると、在留の手続きで不利になることがあります。2027年4月からは、永住者が故意に税金を納めない場合に永住許可が取り消されることがある制度も始まります。永住許可の取消し制度の新設|税金・社会保険料の未納が在留に影響するも参照してください。納付書を見落とさないための工夫は役所や会社からの郵便物を見落とさない|外国籍スタッフの郵便受けと手紙の確認で解説しています。
また、車には定期的な車検があります。車検が切れた車で道路を走ることはできません。車検の時期を本人と一緒に確認しておきましょう。
引っ越し・帰国・退職のとき
| 場面 | やること |
|---|---|
| 引っ越したとき | 住所の届出に加えて、車の登録の住所の変更と、新しい駐車場の車庫証明の手続きが必要になることがある |
| 帰国・退職で車を手放すとき | 人に売る・譲る場合は名義の変更を、使わない場合は廃車の手続きをする。名義が残ったままだと税金の通知が届き続ける |
| 駐車場 | 住まいの駐車場や月極の駐車場の解約を忘れずに行う。車を置いたまま帰国しない |
帰国の直前は、車の売却や名義の変更に時間がかかることがあります。少なくとも1か月前には、車をどうするかを決めておきましょう。帰国前の段取りは退職・帰国が決まったら|届出と住まいの退去の段取り、住所が変わったときの届出は住所が変わったときの届出まとめ|在留カード・住民票・勤務先で解説しています。
知人の車を譲り受けるときは名義の確認を
帰国する同僚や知人から車を安く譲り受けることもあります。そのときは、必ず名義の変更の手続きをし、保険も自分で入り直すよう伝えましょう。名義が前の持ち主のままの車を運転していると、事故や違反のときに大きな問題になります。また、「名義を貸してほしい」「車を代わりに登録してほしい」といった頼まれごとにも応じないよう伝えます。住まいの防犯と詐欺への注意|鍵・訪問販売・電話も参照してください。自転車を譲り受けるときの注意は自転車のルールと防犯登録|青切符の導入で変わったことで解説しています。
車を持つときのチェックリスト
- ☐ 日本で運転できる免許を持っているか確認した
- ☐ 駐車場を確保し、車庫証明の手続きに必要な書類を確認した
- ☐ 自賠責保険と任意保険に入った
- ☐ 駐車場代、保険料、税金、車検を含めた維持費を本人と確認した
- ☐ 事故のときの連絡先と対応の順番を、本人の言語で渡した
- ☐ 自動車税の納付書が届くことと、納める時期を伝えた
- ☐ 車検の時期を確認した
- ☐ 帰国や退職のときの名義の変更・廃車と、駐車場の解約を伝えた
まとめ
- 車を持つ前に、免許、駐車場と車庫証明、保険、維持費、名義を確認する
- 自賠責保険だけでは補償が足りない。任意保険には必ず入る
- 事故のときは小さな事故でも警察に届け、その場で示談をしない
- 自動車税の納付書を見落とさず、車検の時期も管理する
- 帰国や退職のときは、名義の変更や廃車、駐車場の解約を早めに済ませる
車庫証明や登録の手続き、税金の扱いは、地域や車の種類によって異なります。具体的な手続きは、警察署、運輸支局、市区町村や都道府県の窓口でご確認ください。