2027年4月は、外国籍スタッフの受入れに関わるルールが大きく変わる時期です。技能実習に代わる育成就労制度が始まるほか、不法就労をさせた事業者への罰則が重くなり、永住者の在留資格を取り消せる制度も施行されます。それぞれの変更は別々に報じられることが多く、全体を見渡しにくいのが実情です。
この記事では、2027年4月前後に施行される主な変更を一覧にし、登録支援機関・派遣会社・受入れ企業が今から準備しておきたいことと、住まいへの影響をまとめました。くわしい内容は、それぞれの解説記事で確認してください。
結論:「育成就労への移行」「在留カードの確認」「税金・保険料の納付」の3つに備える
2027年4月の変更に向けて、今から準備しておきたいのは次の3つです。
- 育成就労への移行の準備。技能実習の受入れの予定、寮の基準、転籍への備えを見直す。
- 在留カードの確認の徹底。不法就労助長罪の罰則が重くなるため、採用時と更新時の確認を仕組みにする。
- 税金・社会保険料の納付の案内。永住者のスタッフも含めて、未納にならないよう案内する。
2027年4月前後の主な変更
| 時期 | 変更 | 関係する人 |
|---|---|---|
| 2027年3月31日まで | 技能実習計画の認定の申請ができる最後の期限 | 技能実習の受入れ企業・監理団体 |
| 2027年4月1日 | 育成就労制度が始まる | 受入れ企業・監理支援機関・登録支援機関 |
| 2027年4月1日 | 不法就労助長罪の罰則が引き上げられる | 外国人を雇う・派遣するすべての事業者 |
| 2027年4月1日 | 永住許可の取消し制度が施行される | 永住者のスタッフとその雇用主 |
| 2027年4月1日 | 携帯電話の店頭での契約で、本人確認書類のICチップの読み取りが原則になる | 携帯電話を契約するスタッフ |
| 2027年度 | 特定技能の新しい3分野(物流倉庫・リネンサプライ・資源循環)の本格的な運用が始まる予定 | 該当する分野の受入れ企業 |
| 2027年6月30日まで | 施行日前に申請した技能実習を、原則としてこの日までに開始すれば経過措置の対象 | 技能実習の受入れ企業 |
日付や内容は、これまでに公表されている情報をもとにしています。施行に向けて細かな運用が示されることもあるため、最新の情報を確認してください。
育成就労制度の開始
技能実習制度に代わり、人材の育成と確保を目的とした育成就労制度が始まります。原則3年間で特定技能1号の水準の人材に育てることを目指す制度で、一定の条件のもとで本人の意向による転籍(職場の変更)も認められます。技能実習制度は、経過措置の期間を経て廃止されます。
住まいへの影響
- 育成就労の宿泊施設の基準(寝室の広さなど)に、今の寮が合っているかを確認する
- 移行期には、技能実習生・育成就労外国人・特定技能外国人が同じ寮に住むことがあり、在留資格ごとに基準が違う点に注意する
- 転籍で人が移ることを想定し、寮の規程に退去の猶予期間や費用の扱いを書いておく
くわしくは育成就労制度で住居の確保はどう変わる?2027年4月の開始前に確認したいこと、技能実習から育成就労への移行期|寮・社宅の見直しポイント、育成就労の転籍と住まい|転籍が認められる条件と引っ越しの準備をご覧ください。
不法就労助長罪の罰則の引き上げ
働くことが認められていない外国人を働かせたり、そのあっせんをしたりした事業者を罰する不法就労助長罪の罰則が、拘禁刑5年以下・罰金500万円以下に引き上げられます。在留カードの確認を怠るなどの過失があれば、不法就労にあたることを知らなかったとしても処罰を免れないとされています。
- 採用のときに、在留カードの表と裏、就労制限の有無、在留期限を確認する
- 在留期限を一覧で管理し、更新のたびに新しいカードを確認する
- 派遣の場合は、在留資格によって派遣で働けるかどうかが違うことに注意する
くわしくは派遣で外国籍スタッフを受け入れるときの在留資格の確認|働ける範囲と注意点、在留カードの見方は在留カードの見方|就労制限・在留期限・住所欄で確認することで解説しています。
寮を提供していても、確認の責任は変わらない
寮や社宅を用意して外国籍スタッフを住まわせている場合でも、働くことが認められているかの確認は、雇用する事業者の責任です。住まいの手配と在留カードの確認は、別々の担当者が行うことも多いため、「誰が、いつ確認するか」を社内で決めておきましょう。
永住許可の取消し制度の施行
故意に税金や社会保険料を納めない場合や、在留カードの更新や住所の届出などの義務を守らない場合、一定の罪で拘禁刑に処せられた場合などに、永住者の在留資格を取り消せる制度が施行されます。病気や失業などのやむを得ない事情がある場合や、分けて納める手続きをとっている場合は、「故意」にあたらないとされています。
永住者のスタッフには、住民税の納め方が退職や転職で変わること、仕事の切れ目に国民健康保険と国民年金の手続きが必要なこと、在留カードそのものに有効期間があることを、改めて伝えておきましょう。くわしくは永住許可の取消し制度の新設|税金・社会保険料の未納が在留に影響するをご覧ください。
携帯電話の契約の本人確認
携帯電話の店頭での契約で、本人確認書類を目で見て確認するだけの方法が廃止され、在留カードなどのICチップの読み取りが原則になります。ICチップから読み取った住所と実際の住所が違うと手続きが進まないため、引っ越したら住所の届出を先に済ませるよう伝えましょう。くわしくは携帯電話とネット回線の契約|入国直後に困らないための準備をご覧ください。
特定技能の新しい分野
2026年1月に追加が決まった物流倉庫・リネンサプライ・資源循環の3分野は、2027年度からの本格的な運用が予定されています。郊外の倉庫や工場、早朝の勤務など、住まい選びに影響する特徴を持つ分野です。くわしくは特定技能の対象分野の拡大|新しく加わった分野と受入れの準備をご覧ください。
2027年4月の前後は、住まいの手配も集中しやすい
制度の切り替わりの前後には、技能実習の駆け込みの受入れや、育成就労での新しい受入れ、特定技能への移行などが重なり、寮や社宅の手配が集中することが考えられます。毎年1月から3月は賃貸物件が動く時期でもあるため、2027年春の受入れを予定している場合は、住まいの手配を早めに始めましょう。
2027年4月に向けたチェックリスト
- ☐ 技能実習の受入れの予定と、経過措置の期限を確認した
- ☐ 寮が育成就労の宿泊施設の基準に合っているか確認した
- ☐ 寮の規程に、転籍のときの退去の扱いを書いた
- ☐ 在留カードの確認を、採用時と更新時の仕組みにした
- ☐ 永住者を含むスタッフに、税金・保険料の納め方を案内した
- ☐ 新しい分野で受け入れる場合、職場の周りの住環境を確認した
- ☐ 2027年春の受入れの住まいの手配を、早めに始める計画を立てた
まとめ
- 2027年4月1日に、育成就労制度の開始、不法就労助長罪の罰則の引き上げ、永住許可の取消し制度の施行などが重なる
- 育成就労への移行では、寮の基準の確認と、転籍への備えが必要になる
- 在留カードの確認を怠ると、知らなかったとしても処罰されうる。確認を仕組みにする
- 永住者のスタッフにも、税金・保険料の納め方と在留カードの有効期間を伝える
- 制度の切り替わりの前後は住まいの手配が集中しやすい。早めに動く
このページは、施行に向けて新しい情報が公表されたら更新していきます。最新の情報は、出入国在留管理庁や厚生労働省などの発表でご確認ください。