派遣で働く外国籍スタッフは、派遣契約の終了や派遣先の都合によって、働く場所が変わることがよくあります。新しい派遣先が今の寮や社宅から通える場所なら問題ありませんが、通勤に1時間以上かかる、早朝のシフトで電車がない、といった場合は、住まいをどうするかを決めなければなりません。
この記事では、外国籍の派遣スタッフの派遣先が変わるときに、今の住まいに住み続けるか、住み替えるかを判断する基準と、住み替えるときの段取りを解説します。
結論:「通勤の現実」と「新しい派遣先の見通し」で判断する
判断の軸は2つです。1つは、新しい派遣先まで、無理なく毎日通えるか。もう1つは、新しい派遣先でどのくらいの期間働く見込みかです。
通勤が難しく、新しい派遣先で長く働く見込みがあるなら、住み替えを考えます。反対に、派遣の期間が短い、次の派遣先がまた変わる可能性がある、という場合は、送迎や通勤手段の工夫で今の住まいに住み続けるほうが、費用も手間も抑えられることがあります。
住み続けるか、住み替えるかの判断基準
| 確認すること | 住み続ける方向 | 住み替える方向 |
|---|---|---|
| 通勤時間 | 片道1時間以内で、乗り換えが少ない | 片道1時間を大きく超える。乗り換えが多い |
| 勤務の時間帯 | 電車やバスが動いている時間に通える | 始発前・終電後の勤務がある |
| 通勤手段 | 電車・バス・自転車で通える。会社の送迎がある | 車でしか通えないが、本人が運転できない |
| 派遣の見込み期間 | 数か月など短い。次の派遣先が未定 | 長く働く見込みがある |
| 今の住まいの契約 | 更新が近い、解約すると違約金がかかる | 更新の時期が近く、見直しやすい |
| 同居の状況 | ルームシェアの同居人が同じ派遣先に通う | 同居人と派遣先が分かれ、生活のリズムが合わなくなる |
車での通勤が前提になる地域では、本人が日本の運転免許を持っているかどうかで判断が大きく変わります。地方での通勤と住まいの考え方は車通勤が前提の地域での住まい探し|地方の受入れで気をつけることで解説しています。
費用を比べる
住み続ける場合と住み替える場合では、かかる費用の種類が違います。どちらが安く済むかは、派遣の見込み期間によって変わります。
| 住み続ける場合 | 住み替える場合 |
|---|---|
| 通勤手当や交通費の増加 | 新しい住まいの初期費用(敷金・礼金・仲介手数料・保証料など) |
| 送迎の車や運転の手間 | 今の住まいの退去費用(原状回復・解約予告の期間の家賃) |
| 長い通勤による本人の負担と、離職のリスク | 引っ越しの費用と、家具・家電の運搬 |
| — | 旧居と新居の家賃が重なる期間 |
寮や社宅を用意するときの費用の考え方は派遣会社が外国籍スタッフの寮・社宅を用意するときの費用と注意点で解説しています。
長い通勤は、離職の原因になりやすい
費用だけを比べると「住み続けて交通費を払うほうが安い」となることが多いですが、片道1時間半を超えるような通勤が続くと、本人が疲れて体調を崩したり、仕事を辞めてしまったりすることがあります。せっかく育ったスタッフが離職すると、採用と住まいの手配をやり直すことになります。本人の負担も含めて判断しましょう。
住み替えるときの段取り
- 新しい派遣先の場所と勤務の時間帯を確認する。通勤の手段まで含めて、住まいを探すエリアを決めます。
- 今の住まいの解約の条件を確認する。解約予告の期間、違約金の有無、原状回復の取り決めを確認します。
- 新しい住まいを探し、入居日を決める。新しい派遣先での勤務開始日に間に合うよう、入居日を設定します。旧居の解約日と新居の入居日を近づけると、家賃の重なりを減らせます。
- 引っ越しの段取りを組む。荷物の運搬、電気・ガス・水道の手続き、インターネットの移転を進めます。
- 旧居の退去の立ち会いをする。部屋の状態を確認し、原状回復の費用を確定させます。
- 住所の変更を届け出る。引っ越してから14日以内に、新しい住所の市区町村で転入の届出をします。
住所が変わったときの届出は住所が変わったときの届出まとめ|在留カード・住民票・勤務先、引っ越しの進め方は外国籍スタッフから「引っ越したい」と言われたら|支援担当者がやることで解説しています。
会社名義の借上げ社宅の場合
派遣会社の名義で借りている社宅は、スタッフが住み替えても、その部屋を別のスタッフの住まいとして使い続けられる場合があります。新しく別のスタッフがその地域の派遣先に配属される予定があれば、解約せずに入居者を入れ替えることも検討しましょう。入居者が変わるときは、管理会社への届出が必要です。借上げの契約名義の考え方は派遣スタッフの社宅を借上げで用意するときの契約名義と注意点で解説しています。
本人への説明
- 理由を説明する。なぜ住み替えが必要なのか、または住み続けるのかを、本人が理解できる言語で説明します。
- 本人の希望を聞く。今の住まいの周りに友人や買い物の場所があり、住み続けたいと考えていることもあります。
- 費用の負担を伝える。引っ越しの費用や新しい住まいの寮費が変わる場合は、事前に金額を示して了解を得ます。
- 日程を早めに伝える。荷物の整理や、同居人への説明の時間を本人にも確保してもらいます。
派遣先が変わると、仕事の内容も変わることがあります。新しい派遣先での仕事が、本人の在留資格で認められている範囲かどうかもあわせて確認しましょう。確認のポイントは派遣で外国籍スタッフを受け入れるときの在留資格の確認|働ける範囲と注意点で解説しています。
派遣先が決まらない期間の住まい
前の派遣先が終わり、次の派遣先が決まるまでに期間が空くこともあります。その間の寮費をどうするか、いつまで住み続けられるかは、あらかじめ寮の規程で決めておくと本人も安心です。派遣契約が終わったまま次の仕事が見つからない場合の退去の考え方は派遣契約が終わったときの寮の退去|猶予期間と次の住まいで解説しています。
また、派遣先の変更が社宅の契約の更新の時期と重なる場合は、更新せずに住み替えるのがよいか、更新して住み続けるのがよいかを、費用を比べて判断しましょう。更新の考え方は社宅の更新手続き|2年ごとの更新料と在留期限の確認をご覧ください。
派遣先が変わるときのチェックリスト
- ☐ 新しい派遣先の場所、勤務の時間帯、通勤の手段を確認した
- ☐ 新しい派遣先で働く見込みの期間を確認した
- ☐ 住み続ける場合と住み替える場合の費用を比べた
- ☐ 本人の通勤の負担と希望を聞いた
- ☐ 今の住まいの解約の条件と、更新の時期を確認した
- ☐ 借上げ社宅を別のスタッフに引き継げないか検討した
- ☐ 新しい仕事が在留資格で認められている範囲か確認した
- ☐ 引っ越しのあと14日以内に、住所の変更を届け出るよう伝えた
まとめ
- 派遣先が変わったら、「無理なく通えるか」と「新しい派遣先で働く見込みの期間」で住まいを判断する
- 住み続ける場合は通勤の費用と負担、住み替える場合は初期費用・退去費用・家賃の重なりを比べる
- 長い通勤は離職の原因になりやすい。費用だけでなく本人の負担も含めて判断する
- 住み替えるときは、旧居の解約日と新居の入居日を近づけ、引っ越しのあとの住所の届出も忘れない
- 会社名義の借上げ社宅は、別のスタッフに引き継ぐことも検討する
派遣の期間や住まいの契約の条件は、ケースによって異なります。費用の負担や寮費のルールは、派遣会社の規程と本人との取り決めに沿って進めてください。