外国籍スタッフを派遣で受け入れている派遣会社にとって、派遣契約が終わったときの寮の扱いは悩ましい問題です。すぐに退去してもらうと、次の住まいが見つからずに本人が困り、トラブルや次の就業の機会を失うことにもつながります。一方で、住み続けてもらえば寮の費用がかかり続けます。
この記事では、派遣契約が終わったときの寮の扱いをケース別に整理し、退去までの猶予期間の決め方と、次の住まい探しの進め方を解説します。
結論:「派遣契約の終了」と「雇用の終了」を分けて考える
派遣先との派遣契約が終わっても、派遣会社とスタッフとの雇用契約が続くことはよくあります。寮の退去は、派遣契約ではなく雇用契約が終わるかどうかを基準に考えるのが基本です。
雇用が終わる場合も、外国籍のスタッフはすぐに次の住まいを見つけるのが難しいことが多いため、退去までの猶予期間をあらかじめ決めておくと、トラブルを防ぎやすくなります。退去の条件は、社宅規程や寮の使用契約に書き、入居時に本人へ説明しておきましょう。
ケース別の寮の扱い
| ケース | 寮の扱い | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 次の派遣先が決まり、今の寮から通える | そのまま住み続ける | 通勤手段と時間 |
| 次の派遣先が決まったが、今の寮から遠い | 次の派遣先の近くの寮や住まいへ移る | 入居日と退去日の調整、引っ越しの費用負担 |
| 雇用は続くが、次の派遣先がまだ決まらない | 次が決まるまで住み続ける | 待機中の寮費の扱い、待機期間の見込み |
| 雇用契約も終わる | 猶予期間のあとに退去 | 猶予期間の長さ、次の住まいの見込み、帰国の予定 |
雇用が続く派遣スタッフについては、派遣契約が終わったあとも、次の派遣先を紹介するなど雇用の安定に向けた対応が求められることがあります。住まいも、次の就業先が決まるまでの生活の土台として考えておくと、スタッフの定着につながります。
退去までの猶予期間の決め方
社宅規程に書いておく
猶予期間は、トラブルが起きてから決めるのではなく、社宅規程や寮の使用契約に最初から書いておきましょう。たとえば「雇用契約の終了日から〇日以内に退去する」のように、日数をはっきりさせます。寮の使用の契約内容によって退去の扱いが変わることもあるため、規程を作るときは専門家に確認しておくと安心です。
外国籍スタッフの事情を考える
外国籍のスタッフは、保証人がいない、入居審査に時間がかかるなどの理由で、日本人より次の住まいを見つけるのに時間がかかる傾向があります。猶予期間が短すぎると、行き場がなくなってしまいます。次の住まい探しにかかる日数を見込んで、現実的な長さに設定しましょう。
猶予期間中の費用を決めておく
猶予期間中の寮費を、働いていたときと同じにするのか、日割りにするのかも決めておきます。雇用が終わると給与からの差し引きができなくなるため、支払い方法もあわせて決めておきましょう。
在留資格の確認も忘れずに
派遣で働く外国籍スタッフには、永住者や定住者など、仕事の内容に制限のない在留資格の人が多くいます。一方、仕事の内容が決められている在留資格の人は、正当な理由なく一定期間その活動をしていないと、在留資格に影響することがあります。雇用が終わるときは、本人の在留資格と次の仕事の見込みもあわせて確認しましょう。
寮の費用を抑えるために
空室の期間を短くする
借上げの寮では、スタッフが退去したあとも、解約予告の期間中は家賃がかかります。次のスタッフの入居が見込めるなら、解約せずに入居者を入れ替えることで、空室の家賃と再契約の費用を抑えられます。入居者を入れ替えるときに管理会社への届出が必要かどうかは、契約の段階で確認しておきましょう。
派遣期間に合った住まいを選ぶ
派遣の期間が短い見込みのときは、短期解約の違約金がない物件や、マンスリーマンションを選ぶのも選択肢です。住まいの用意の仕方ごとの費用は、派遣会社が外国籍スタッフの寮・社宅を用意するときの費用と注意点で整理しています。
次の住まい探しの進め方
雇用が終わって寮を出るスタッフが日本で生活を続ける場合は、次の住まいを探す必要があります。派遣会社が直接住まいを用意しない場合でも、次のような手助けをしておくと、退去がスムーズに進みます。
- 外国籍の方が入居できる物件を扱う不動産会社を紹介する
- 在職証明書や、勤務していた期間の証明など、入居審査で使える書類を発行する
- 次の就業先が決まっている場合は、その勤務先の書類をそろえるよう案内する
- 在留カードの満了日が近い場合は、更新の予定を確認する
入居審査で求められる書類は、外国籍の方の入居審査で必要な書類と、審査に通りやすくする準備で解説しています。
退去のときの段取り
- ☐ 退去日を本人と確認し、書面で伝えた
- ☐ 退去の立ち会いの日を決めた(支援担当者や派遣会社の担当者が同席する)
- ☐ 会社の備品(家具・家電)と、本人の私物を分けて確認した
- ☐ 本人の私物やゴミが残らないよう、処分の方法を伝えた
- ☐ 鍵の返却方法を決めた
- ☐ 電気・ガス・水道を本人名義で契約している場合は、停止の手続きを案内した
- ☐ 引っ越し先の住所変更や転入届の手続きを案内した
会社の備品と本人の持ち物の扱いは家具・家電はどこまで用意する?最低限そろえたい生活用品リスト、退去時の原状回復の考え方は外国籍スタッフの住まいのトラブル対応|騒音・ゴミ・退去時の原状回復、帰国する場合の段取りは退職・帰国が決まったら|届出と住まいの退去の段取りで解説しています。
まとめ
- 寮の退去は、派遣契約の終了ではなく、雇用契約が終わるかどうかで考える
- 雇用が続くなら、次の派遣先が決まるまで住み続けてもらうのが基本
- 雇用が終わる場合も、外国籍スタッフの事情を考えて退去までの猶予期間を設ける
- 猶予期間の長さと費用は、社宅規程や使用契約に書き、入居時に説明しておく
- 次のスタッフが使うなら、解約せずに入居者を入れ替えて空室の費用を抑える
寮の退去の扱いは、社宅規程や使用契約の内容によって変わります。規程を作るときや判断に迷うときは、社会保険労務士や弁護士などの専門家にもご相談ください。