外国籍スタッフが退職や帰国で寮・社宅を出たあと、部屋に家具や家電、衣類、食べ物などが残されていることがあります。帰国の直前は荷物の整理が後回しになりやすく、「あとで処分してください」と言い残して帰ってしまう人もいれば、急に連絡が取れなくなる人もいます。
残された荷物は、本人の持ち物です。会社や管理会社が勝手に処分すると、あとでトラブルになるおそれがあります。この記事では、退去後に荷物が残されないように、入居時に決めておきたいことと、退去前の荷物整理の進め方を解説します。
結論:残置物の扱いは「入居時の同意書」と「退去1か月前からの荷物整理」で防ぐ
残置物のトラブルを防ぐには、入居時に、退去のときに残した荷物をどう扱うかを本人と書面で決めておくことが大切です。あわせて、会社の備品と本人の私物を区別する一覧を作っておくと、退去のときに何を持ち出すべきかがはっきりします。
退職や帰国が決まったら、退去の1か月ほど前から荷物整理の予定を本人と一緒に立て、持ち帰る物、譲る物、処分する物を分けていきましょう。
入居時に同意書で決めておきたいこと
| 項目 | 書いておきたい内容 |
|---|---|
| 退去時の荷物 | 退去の日までに、本人の持ち物をすべて持ち出すか処分すること |
| 残された荷物の扱い | 退去後に残された物は、本人が所有権を手放したものとして、会社が処分してよいこと |
| 連絡が取れない場合 | 連絡が取れなくなったときに、どのくらいの期間保管し、その後どう扱うか |
| 処分の費用 | 処分にかかった費用を誰が負担するか。本人負担にする場合は、その方法 |
| 貴重品・書類 | パスポートや在留カード、通帳など、処分してはいけない物を見つけたときの扱い |
同意書は、本人が理解できる言語で作り、内容を説明したうえで署名をもらいます。社宅規程に退去時のルールとして書いておくと、入居者が替わっても同じ扱いができます。規程の作り方は外国籍スタッフの社宅規程の作り方|家賃負担・退去・備品のルールをご覧ください。
同意書があっても、貴重品や大切な書類は処分しない
同意書で「残された物は処分してよい」と決めていても、パスポートや在留カード、通帳、現金、家族の写真など、本人にとって大切な物が見つかった場合は、すぐに処分せず、本人に連絡して扱いを確認しましょう。連絡が取れなくなった場合の対応は外国籍スタッフと連絡が取れなくなったとき|安否の確認・届出・住まいの整理で解説しています。
私物と会社の備品を区別する
寮・社宅では、会社が用意した家具・家電と、本人が自分で買った物が混ざりがちです。退去のときに「これは会社の物だと思っていた」「自分で買った物だから持って行く」と食い違わないよう、入居時に備品の一覧を作っておきましょう。
| 区分 | 例 | 退去時の扱い |
|---|---|---|
| 会社の備品 | 冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、ベッド、カーテンなど会社が用意した物 | 部屋に残す。壊れていないか確認する |
| 本人の私物 | 本人が買った家電や家具、衣類、食器、自転車など | 持ち帰るか、処分するか、譲るかを本人が決める |
| 前の入居者から譲られた物 | 前の入居者が置いていった家電や日用品 | 会社の備品として扱うか、本人の私物として扱うかを決めておく |
会社が用意する家具・家電の考え方は家具・家電はどこまで用意する?最低限そろえたい生活用品リスト、入居者が入れ替わるときの備品の引き継ぎは社宅の入居者が入れ替わるときの準備|清掃・備品・ライフラインの引き継ぎで解説しています。
「次の人に譲る」は、ルールを決めてから
帰国するスタッフが、まだ使える家電や家具を同僚や次の入居者に譲りたいと言うことがあります。役に立つ一方で、古い家電がたまったり、壊れた物が残されたりする原因にもなります。譲る場合は、受け取る人がはっきりしていること、壊れていないこと、担当者に伝えることを条件にしておきましょう。
退去前の荷物整理の進め方
- 退去の1か月前:本人と一緒に部屋を見て、持ち帰る物、譲る物、処分する物を分ける。処分の方法と費用を確認する。
- 退去の2〜3週間前:粗大ゴミの収集を申し込む。自治体の粗大ゴミは、申し込みから収集まで日数がかかることがある。海外へ送る荷物は、送る方法と費用を調べる。
- 退去の1週間前:大きな物の処分を終える。冷蔵庫の中身を減らしていく。
- 退去の前日:残っている物がないか、部屋と収納、ベランダを確認する。
- 退去の日:立ち会いで、部屋に私物が残っていないことを確認し、写真を撮る。
退職・帰国が決まってからの届出と退去の流れは退職・帰国が決まったら|届出と住まいの退去の段取り、退去の立ち会いの進め方は社宅の退去の立ち会い|原状回復の費用で揉めないための確認をご覧ください。
処分の費用は、前もって本人に伝えておく
冷蔵庫や洗濯機などの家電を処分するには、リサイクル料金や収集運搬の料金がかかります。処分を会社が代わりに手配し、その費用を本人に負担してもらう場合は、金額の目安を前もって伝え、本人の了解を得ておきましょう。特定技能の場合、本人から受け取る費用は本人が内容を理解して合意していることが求められます。費用の考え方は特定技能の受入れにかかる費用の内訳|本人に負担させてはいけない費用も参考になります。転職で別の住まいに移る場合は特定技能のスタッフが退職して転職先を探すとき|次の会社が決まるまでの住まいと在留もご覧ください。
残置物を防ぐためのチェックリスト
- ☐ 入居時に、退去時の荷物の扱いを決めた同意書に、本人の言語で説明して署名をもらった
- ☐ 会社の備品と本人の私物を区別する一覧を作った
- ☐ 前の入居者から譲られた物の扱いを決めた
- ☐ 退去の1か月前に、本人と一緒に荷物の分け方を決めた
- ☐ 粗大ゴミや家電の処分を、退去の日に間に合うよう申し込んだ
- ☐ 処分の費用を誰が負担するかを本人に伝え、了解を得た
- ☐ 退去の日に、私物が残っていないことを確認して写真を撮った
まとめ
- 部屋に残された荷物は本人の持ち物で、会社や管理会社が勝手に処分するとトラブルになるおそれがある
- 入居時に、退去時の荷物の扱いや処分の費用を同意書で決めておく
- 会社の備品と本人の私物を一覧で区別しておくと、退去のときに食い違いが起きにくい
- 退職や帰国が決まったら、退去の1か月ほど前から荷物整理の予定を本人と立てる
- 同意書があっても、貴重品や大切な書類は処分せず、本人に確認する
残された荷物の扱いは、契約の内容や個々の事情によって判断が変わります。判断に迷う場合は、管理会社や弁護士などの専門家にご相談ください。