特定技能には、分野ごとに「受入れ見込数」が定められています。これまでは目安としてあまり意識されてきませんでしたが、2026年4月、外食業分野で在留資格認定証明書の交付が一時的に止まる措置がとられました。海外からの受入れを予定していた企業や、すでに住まいを用意していた支援機関にとって、大きな影響のある出来事でした。
この記事では、受入れ見込数と上限の仕組み、外食業分野でとられた措置の内容、そして受付が止まる分野が出たときに備えて、受入れの計画と住まいの手配で気をつけたいことを解説します。
結論:上限に近い分野では「住まいの契約を急がない」「国内採用も視野に入れる」
受入れ見込数は、大きな経済状況の変化がない限り、分野ごとの受入れの上限として運用されます。在留している人の数が上限に近づくと、海外からの新しい受入れの手続きが止まることがあります。
上限に近い分野で海外から受け入れる場合は、在留資格認定証明書が交付されるまで、初期費用のかかる住まいの契約を急がないことが大切です。また、交付が止まっても、すでに日本にいる特定技能外国人の転職などは受け入れられる場合があるため、国内での採用も選択肢に入れておくと、受入れの計画を立て直しやすくなります。
受入れ見込数とは
受入れ見込数は、分野ごとに「一定の期間の中でどのくらいの人数を受け入れるか」を定めた数です。2026年1月23日の閣議決定では、19分野それぞれについて、2028年度末までの見込数が示されました。対象分野の移り変わりは特定技能の対象分野の拡大|新しく加わった分野と受入れの準備で解説しています。
この見込数は、特定技能1号の受入れの上限として運用されます。在留している人の数が見込数を超えそうになると、法律に基づいて、在留資格認定証明書の交付を一時的に停止する措置をとることができます。
外食業分野でとられた措置
外食業分野では、受入れ見込数5万人に対して、2026年2月末の時点で在留している人が約4万6千人となり、同年5月ごろに見込数を超える見通しとなりました。そのため、2026年4月13日から、次のような措置がとられています。
| 申請の種類 | 2026年4月13日以降に受理した申請の扱い |
|---|---|
| 在留資格認定証明書の交付申請(海外から呼ぶ場合) | 交付されない |
| 特定技能1号への在留資格の変更(国内で切り替える場合) | 原則として許可されない。ただし、外食業の特定技能1号で在留中の人の転職などに伴う申請は、通常どおり審査される |
| 在留期間の更新 | 対象外。通常どおり審査される |
4月13日より前に受理された申請は、見込数の範囲内で順に審査されますが、交付や許可までに相当の時間がかかる見込みとされています。措置がいつ終わるかは、示されていません。
止まるのは「人数が増える申請」
交付の停止で止まるのは、海外からの新しい受入れや、ほかの在留資格からの切り替えなど、その分野の人数を増やす申請です。すでにその分野で働いている人の在留期間の更新や、同じ分野の中での転職は、人数が増えないため対象外とされています。更新の準備は特定技能1号の在留期間更新|必要書類と早めに準備したいことで解説しています。
受付が止まったときに起きること
- 海外から呼ぶ予定のスタッフが入国できない。内定を出していても、在留資格認定証明書が交付されなければ入国できません。
- 用意した住まいが空室のままになる。入国の予定に合わせて契約していた場合、本人が来ないまま家賃がかかり続けます。
- 本人や送出し機関との関係が難しくなる。来日の準備をしていた本人に、予定の変更を説明しなければなりません。
- 採用の計画を立て直す必要がある。国内での採用や、別の分野での受入れを検討することになります。
受入れの計画で備えておきたいこと
分野の在留者数の動きを確認する
出入国在留管理庁は、分野ごとの在留している人の数を公表しています。受け入れる分野の在留者数が見込数に近づいていないか、定期的に確認しておきましょう。上限に近い分野では、申請の受付がいつ止まってもおかしくありません。
申請を早めに進める
外食業の例では、措置が始まる日より前に受理された申請は、順に審査されることになりました。上限に近い分野で受け入れる場合は、協議会への加入や書類の準備を早めに済ませ、申請を先延ばしにしないことが大切です。協議会への加入は特定技能の分野別協議会への加入|受入れ前に済ませる手続き、審査の期間の目安は在留資格認定証明書の審査期間はどのくらい?待っている間に進める準備で解説しています。
国内での採用も考える
すでに日本にいる特定技能外国人の転職や、同じ分野の技能実習を修了した人の移行などは、措置の中でも受け入れられる場合があります。国内で採用する場合の手続きと住まいの準備は国内転職の特定技能外国人を受け入れるとき|在留資格変更と引っ越しの進め方、技能実習からの移行は技能実習から特定技能へ移行するとき|住まいの広さの基準と手続きをご覧ください。
住まいの手配で備えておきたいこと
| 備え | 内容 |
|---|---|
| 契約の時期を見極める | 上限に近い分野では、在留資格認定証明書が交付されてから契約する。入居の予定日に余裕を持たせる |
| 申込みの段階で事情を伝える | 入国の時期が動く可能性があることを、管理会社や貸主に伝えておく |
| 解約の条件を確認する | 解約予告の期間や、短期解約の違約金の有無を、契約前に確認しておく |
| つなぎの宿泊先を考えておく | 交付が予定より早かった場合などに備え、入居までの一時的な宿泊先の候補を持っておく |
| 空いた部屋の使い道を考える | 受入れが止まった場合に、国内で採用した人や別の分野のスタッフの住まいとして使えないかを検討する |
住まいの手配をいつから始めるかの考え方は特定技能の住居確保はいつから動く?入国日から逆算した物件手配のスケジュール、入国の日に住まいが間に合わないときの対応は入国日に住まいが間に合わないとき|一時的な宿泊先の選び方と注意点で解説しています。
受入れ上限への備えのチェックリスト
- ☐ 受け入れる分野の受入れ見込数と、在留している人の数を確認した
- ☐ 上限に近い分野では、協議会への加入と申請の準備を早めに進めた
- ☐ 交付が止まった場合の採用の計画(国内採用など)を考えた
- ☐ 住まいの契約は、在留資格認定証明書の交付を見て進めることにした
- ☐ 管理会社や貸主に、入国の時期が動く可能性を伝えた
- ☐ 解約予告の期間と、短期解約の違約金を確認した
- ☐ 本人や送出し機関に、予定が変わる可能性を伝えた
まとめ
- 受入れ見込数は、分野ごとの特定技能1号の受入れの上限として運用される
- 2026年4月13日から、外食業分野で在留資格認定証明書の交付が一時的に停止された
- 止まるのは人数が増える申請。在留期間の更新や、同じ分野の中での転職は対象外とされている
- 上限に近い分野では、申請を早めに進め、国内での採用も選択肢に入れておく
- 住まいの契約は交付を見てから進め、解約の条件やつなぎの宿泊先も確認しておく
受入れ見込数や停止の措置の内容は、分野ごとに見直されることがあります。最新の情報は、出入国在留管理庁や各分野を所管する省庁の発表でご確認ください。