初めて外国人材を受け入れる企業は、住まいの準備にどのくらいの費用と時間がかかるのかを、なかなか想像できません。「寮はどこかにあるだろう」「入社の直前に探せば間に合う」と考えていると、入国の直前になって住まいが見つからなかったり、予算が足りなかったりすることがあります。
この記事では、登録支援機関や派遣会社が受入れ企業に住まいの準備を提案するときに、示しておきたい費用の見積もりやスケジュール、会社に決めてもらうこと、よくある質問への答え方を解説します。
結論:「いくら・いつまでに・何を決めるか」を一枚にまとめて示す
受入れ企業に住まいの準備を提案するときは、費用の見積もり、準備のスケジュール、会社に決めてもらうことの3つを、一枚の資料にまとめて示すと、社内での判断が進みやすくなります。
特に、住まいの初期費用は会社の負担になる場合が多く、予算の確保に時間がかかることもあります。内定の段階、できればそれより前に提案しておきましょう。
費用の見積もりの示し方
| 費用 | 示したい内容 |
|---|---|
| 初期費用 | 敷金・礼金・仲介手数料・保証料・火災保険料など。物件の家賃をもとにした目安 |
| 家具・家電・生活用品 | 一人当たり、または一部屋当たりの目安 |
| 毎月の費用 | 家賃・共益費。本人負担と会社負担の内訳 |
| 退去時の費用 | 原状回復や清掃の費用の目安 |
| つなぎの住まい | 入国日に間に合わない場合の短期の住まいの費用 |
特定技能の場合は、初期費用を本人に負担させられないこと、本人負担の家賃に上限があることもあわせて説明しましょう。費用の考え方は特定技能の受入れにかかる費用の内訳|本人に負担させてはいけない費用で解説しています。
1Kとルームシェアで2つの案を出す
費用の見積もりは、1人1室の案と、ルームシェアの案の2つを並べて示すと、受入れ企業が比べて判断しやすくなります。それぞれの定着への影響もあわせて伝えましょう。社宅は1Kとルームシェア、どちらで用意する?費用と定着で比べる選び方も参照してください。
スケジュールの示し方
| 時期 | 住まいの準備 | 会社に決めてもらうこと |
|---|---|---|
| 受入れを決める前 | 職場の周りの住環境を調べる | 住まいの形(1人1室・ルームシェア・寮)と予算 |
| 内定のあと | 本人の希望を聞き、物件を探し始める | 契約の名義(会社名義・本人名義)、本人負担の額 |
| 入国の1〜2か月前 | 物件を決めて申し込み、家具・家電を手配する | 契約書への押印、初期費用の支払い |
| 入国の直前 | ライフラインの手続き、入居の準備 | 入居日、迎えの段取り |
| 入国後 | 入居の立ち会い、住まいのルールの説明 | 社宅の規程の確認 |
住まいの手配のスケジュールの考え方は特定技能の住居確保はいつから動く?入国日から逆算した物件手配のスケジュール、職場の周りの住環境の調べ方は受入れ前に確認したい職場周辺の住環境|物件が少ない地域の見極め方で解説しています。
会社に決めてもらうこと
- 住まいの形と予算。1人1室か、ルームシェアか。一人当たりの家賃の上限。
- 契約の名義。会社名義で借りる借上げ社宅にするか、本人名義にするか。借上げ社宅と本人契約、どちらを選ぶ?費用・手間・退去時の違いも参照。
- 本人負担の額と差し引きの方法。家賃や光熱費をいくら本人に負担してもらい、どう受け取るか。
- 社宅のルール。退去のときの扱い、備品、禁止事項。外国籍スタッフの社宅規程の作り方|家賃負担・退去・備品のルールも参照。
- 担当者。住まいのことで誰が窓口になるか。住まいの担当と役割分担を決める|受入れ企業・支援機関・不動産会社の情報共有も参照。
よくある質問への答え方
| 受入れ企業からの質問 | 答え方の例 |
|---|---|
| 本人に住まいを探してもらえないのか | 海外から来る人は来日前に契約できないため、会社が用意するのが一般的。特定技能では住居確保の支援も必要 |
| 今の社員寮の空き部屋は使えるか | 使える。ただし、一人当たりの広さなどの基準を満たしているか確認が必要 |
| 家賃を全額本人に払ってもらえるか | 特定技能の借上げ社宅では、本人負担は費用を人数で割った額まで。初期費用は会社の負担 |
| いつまでに決めればよいか | 入国の2〜3か月前には物件探しを始めたい。そのために住まいの形と予算を先に決めてほしい |
住まいについてよくある質問は外国籍スタッフの住まい探しでよくある質問|登録支援機関・派遣会社の担当者向けQ&Aにまとめています。受入れ企業への説明に使える内容もあります。
見積もりは「目安」であることを伝える
住まいの費用は、地域や時期、物件によって大きく変わります。示した金額は目安であり、実際の物件が決まったときに確定することを伝えておきましょう。予算に少し余裕を持ってもらうと、条件に合う物件を選びやすくなります。
受入れ企業への提案のチェックリスト
- ☐ 初期費用・家具家電・毎月の費用・退去時の費用の目安を示した
- ☐ 1人1室とルームシェアの2つの案を示した
- ☐ 特定技能の本人負担の上限と、初期費用の負担を説明した
- ☐ 準備のスケジュールと、それぞれの時期に会社が決めることを示した
- ☐ 住まいの形、名義、本人負担、社宅のルール、担当者を決めてもらった
- ☐ 見積もりが目安であることを伝えた
- ☐ 内定より前に提案した
まとめ
- 初めて受け入れる企業は、住まいの費用と時間を想像しにくい。早めに提案する
- 費用の見積もり、スケジュール、会社に決めてもらうことを一枚にまとめて示す
- 1人1室とルームシェアの2つの案を並べると、比べて判断しやすい
- 特定技能の本人負担の上限と、初期費用が会社の負担になることを説明する
- 見積もりは目安であることを伝え、予算に余裕を持ってもらう
住まいの費用や準備の期間は、地域や受入れの人数によって変わります。受入れ企業の状況に合わせて、提案の内容を調整してください。