段階1 受入れ決定・準備

受入れ前に確認したい職場周辺の住環境|物件が少ない地域の見極め方

外国籍スタッフの受入れが決まり、入国の日程も見えてきた段階で「職場の近くに住める部屋がない」と分かる。登録支援機関や派遣会社の担当者から、こうした相談を受けることは少なくありません。受入れ企業が工業団地や郊外、山間部にある場合、そもそも賃貸物件が少なく、外国籍の方が入居できる物件となるとさらに限られます。

この記事では、受入れを決める前、遅くとも内定の段階で確認しておきたい職場周辺の住環境と、物件が少ない地域を見極める方法、そうした地域で住まいを確保するための対策を解説します。

結論:内定の前に「通勤圏の物件の数」と「外国籍の方の入居のしやすさ」を確かめる

住まいの確保は、入国や入社の日程を左右する大きな要素です。受入れを決める前に、職場から通える範囲にどのくらいの賃貸物件があり、そのうち外国籍の方が入居できる物件がどのくらいあるかを確かめておきましょう。

物件が少ない地域と分かれば、住まいの手配を早めに始める、通勤の範囲を広げて送迎を用意する、会社で寮を用意するといった対策を、受入れの計画に組み込むことができます。入国の直前になって慌てることがなくなります。

確認したい5つのポイント

ポイント 確認すること
通勤の範囲 職場までの通勤手段(徒歩・自転車・電車・バス・送迎)と、勤務の時間帯に通える範囲
物件の数 その範囲にある賃貸物件の数。単身向けか、ルームシェアができる広さの物件があるか
家賃の相場 本人の給料から無理なく払える家賃の物件があるか
外国籍の方の入居のしやすさ 外国籍の方の入居を受け入れている物件や管理会社があるか。法人契約ができるか
生活の便利さ スーパー、病院、銀行、役所、駅やバス停が近くにあるか

通勤の範囲から考える

住まいを探す範囲は、職場からの距離ではなく、実際に通える範囲で考えます。本人が車を運転できない場合、電車やバスで通えるか、自転車で通える距離か、会社の送迎があるかによって、探す範囲は大きく変わります。早朝や夜間の勤務がある場合は、その時間に動いている交通手段で考えましょう。車での通勤が前提の地域の考え方は車通勤が前提の地域での住まい探し|地方の受入れで気をつけることで解説しています。

物件の数と家賃の相場を調べる

賃貸物件のポータルサイトで、通勤の範囲にある駅や町の名前を入れて検索すると、おおよその物件の数と家賃の相場が分かります。ただし、ポータルサイトに載っている物件のすべてに外国籍の方が入居できるわけではありません。実際に入居できる物件は、表示されている数よりもかなり少なくなると考えておきましょう。

地元の不動産会社に聞く

最も確かな方法は、その地域の不動産会社に直接聞くことです。「外国籍の方の入居の実績があるか」「法人契約ができる物件はあるか」「ルームシェアができる物件はあるか」「繁忙期にはどのくらい物件がなくなるか」などを確認すると、ポータルサイトだけでは分からない地域の事情が見えてきます。

1月から3月は物件が一気に減る

進学や就職、転勤で引っ越しが集中する1月から3月は、賃貸物件が一年で最も動く時期です。大学や大きな工場の近くでは、この時期に空室がほとんどなくなることもあります。入国や入社がこの時期に重なる場合は、通常より早めに住まいの手配を始めましょう。住まいの手配をいつから始めるかは特定技能の住居確保はいつから動く?入国日から逆算した物件手配のスケジュールで解説しています。

物件が少なくなりやすい地域

地域の特徴 起きやすいこと
工業団地・物流拠点の周辺 周りに住宅が少ない。ほかの企業の社員寮や社宅と物件を取り合う
山間部・農村部 賃貸物件そのものが少ない。車がないと生活できない
観光地・温泉地 宿泊業の繁忙期に、住み込みや季節の働き手で物件が埋まる
大学の近く 単身向けの物件は多いが、春に一斉に埋まる。ルームシェアができる広さの物件は少ない
外国籍の方の入居の実績が少ない地域 物件はあっても、貸主や管理会社が外国籍の方の入居に慣れておらず、審査が通りにくい

特定技能の対象分野が広がり、林業や物流倉庫、資源循環など、郊外や山間部に職場がある分野での受入れも増えています。新しい分野での住まいの考え方は特定技能の対象分野の拡大|新しく加わった分野と受入れの準備で解説しています。

物件が少ない地域での対策

  • 早めに動き始める。物件が少ない地域では、内定が出たらすぐに住まいの手配を始めます。空室が出るのを待つ期間も見込んでおきましょう。
  • 通勤の範囲を広げて、送迎を用意する。職場の近くに物件がなければ、駅や町の中心部に住まいを確保し、会社の送迎で通勤する方法もあります。
  • ルームシェアで部屋数を抑える。複数名を受け入れる場合は、広めの物件でルームシェアにすると、必要な物件の数を減らせます。広さの基準は複数名を同時に受け入れるときの住まい|ルームシェアの広さと契約の注意点をご覧ください。
  • 会社で寮を用意する。受入れの人数が多く、長く受け入れる予定がある場合は、建物を一棟まとめて借りる、会社で寮を持つといった方法も考えます。用途の変更や消防の設備などの確認が必要になることがあるため、専門家に相談しながら進めましょう。
  • 入居までのつなぎの宿泊先を確保する。入国の日までに住まいが間に合わない場合に備えて、一時的な宿泊先の候補を持っておきます。選び方は入国日に住まいが間に合わないとき|一時的な宿泊先の選び方と注意点で解説しています。

保証会社の審査が通りにくい地域や物件では、法人契約に切り替える、別の保証会社を使うといった方法もあります。審査に通らなかったときの対処法は保証会社の審査に落ちたときの対処法|外国籍スタッフの部屋探しで解説しています。

受入れ企業と共有しておきたいこと

住環境の確認の結果は、受入れ企業と早めに共有しましょう。物件が少ない地域であることや、住まいの手配に時間や費用がかかることが分かれば、受入れの時期や人数を調整したり、寮の用意を検討したりする判断材料になります。

職場周辺の住環境のチェックリスト

  • ☐ 職場までの通勤手段と、勤務の時間帯に通える範囲を確認した
  • ☐ 通勤の範囲にある賃貸物件の数と、家賃の相場を調べた
  • ☐ 外国籍の方の入居の実績がある不動産会社に、地域の状況を聞いた
  • ☐ 法人契約やルームシェアができる物件があるか確認した
  • ☐ スーパー、病院、銀行、役所など、生活の便利さを確認した
  • ☐ 入国や入社が1月から3月に重ならないか確認した
  • ☐ 物件が少ない場合の対策(送迎、寮、つなぎの宿泊先)を考えた
  • ☐ 確認の結果を、受入れ企業と共有した

まとめ

  • 受入れを決める前、遅くとも内定の段階で、職場の周りで住まいが確保できるかを確かめる
  • 探す範囲は距離ではなく、勤務の時間帯に実際に通える範囲で考える
  • ポータルサイトの物件の数だけでなく、地元の不動産会社に外国籍の方の入居の状況を聞く
  • 工業団地、山間部、観光地、大学の近くなどは、物件が少なくなりやすい。1月から3月は特に注意する
  • 物件が少ない地域では、早めの手配、送迎、ルームシェア、寮、つなぎの宿泊先を組み合わせる

地域の物件の状況は、時期や経済の動きによって変わります。受入れの計画を立てるときは、その時点の状況を地元の不動産会社などに確認してください。

次の段階 2. 在留資格の手続き

このガイドの運営者

不動産のイブキ(伊吹株式会社)。外国籍スタッフの住まいの手配を全国で行っています。制度は改正されることがあるため、手続きの最終確認は出入国在留管理庁などの公式情報もあわせてご確認ください。