特定技能の受入れでは、住居の確保の支援が、受入れ企業が行う義務的な支援の一つになっています。受入れ企業が自ら行うこともできますが、多くの企業は登録支援機関に支援を委託しています。また、実際の物件探しや契約の手続きは、不動産会社に頼むことがほとんどです。
では、住居の確保の支援は、誰に、どこまで任せられるのでしょうか。この記事では、支援の全部委託と一部委託の違い、受入れ企業に残る責任、不動産会社に物件の手配を頼むことと支援の委託の違い、支援計画への書き方を解説します。
結論:支援を「委託」することと、物件の手配を「依頼」することは分けて考える
特定技能の支援は、登録支援機関に全部を委託することも、一部だけを委託することもできます。全部を登録支援機関に委託すれば、受入れ企業は支援の体制の基準を満たしているものとみなされます。
一方、不動産会社に物件探しや契約の手続きを頼むことは、多くの場合、支援を行う人(受入れ企業や登録支援機関)が、その手段として不動産会社に依頼している形です。支援の責任は、支援を行う側に残ります。この違いを押さえて、役割分担と記録を整えましょう。
全部委託と一部委託の違い
| 形 | 内容 | 受入れ企業の立場 |
|---|---|---|
| 自社で実施 | 受入れ企業が支援計画のすべてを自ら行う | 支援の体制の基準を自社で満たす必要がある |
| 全部委託 | 支援計画の全部の実施を、登録支援機関に委託する | 支援の体制の基準を満たしているものとみなされる |
| 一部委託 | 支援の一部だけをほかの者に委託し、残りは自社で行う | 自社で行う部分について、支援の体制の基準を満たす必要がある |
どの形でも、特定技能の雇用契約の使用者としての責任は、受入れ企業に残ります。登録支援機関が受けた支援をそのまま別の機関に丸ごと任せる(再委託する)ことはできないとされていますが、補助的な作業を外部に手伝ってもらうことは考えられます。
支援計画には委託の内容を書く
支援を委託する場合は、支援計画に、委託するかどうか、委託先の名前や住所、委託の内容などを書きます。委託先を変えたときは、届出も必要です。支援計画の住居の確保の欄の書き方は支援計画の「住居確保」欄の書き方|3つの方式ごとの記載例、登録支援機関を変えるときの手続きは登録支援機関を変更するとき|手続きと住まいの引き継ぎ、届出の考え方は随時届出が必要になるのはどんなとき?ケース別の期限と届出先で解説しています。
不動産会社に頼めること、支援する側に残ること
| 不動産会社に頼めることの例 | 支援する側に残ることの例 |
|---|---|
| 条件に合う物件を探す | 本人の希望や条件を聞き、物件を選ぶ |
| 内見の手配、写真の撮影 | 住まいの広さなどの基準を満たしているかを確認する |
| 入居の申込み、契約の手続き | 本人負担の額が適正かを確認し、本人に説明する |
| 重要事項の説明 | 本人が契約の内容を理解しているかを確認する |
| 鍵の受け渡し、設備の案内 | 入居後の困りごとの相談を受ける。支援の記録を残す |
不動産会社に任せるときの考え方は住まいの手配を不動産会社に任せるとき|登録支援機関・派遣会社が確認したいこと、関係者の役割分担は住まいの担当と役割分担を決める|受入れ企業・支援機関・不動産会社の情報共有で解説しています。
「任せたつもり」で確認が抜けないように
物件の手配を不動産会社に任せていても、住まいの基準を満たしているか、本人負担の額が適正か、本人が理解しているかを確認する責任は、支援を行う側にあります。入管の実地調査などで確認されたときに説明できるよう、確認した内容を記録に残しておきましょう。入管の実地調査に備える|住まいの支援で確認されやすい書類と記録も参照してください。
役割分担を決めるときのポイント
- 誰が支援を行うのかをはっきりさせる。受入れ企業か、委託を受けた登録支援機関かを、支援計画と委託契約で一致させます。
- 不動産会社への依頼の範囲を書面にする。物件探しだけか、契約の手続きや入居後の対応まで頼むのかを決めます。
- 費用の負担を決める。仲介手数料などの費用を、誰が負担するかを決めます。本人に負担させてはいけない費用にも注意します。
- 記録の受け渡しを決める。不動産会社から、契約書の写しや内見の写真などを受け取り、支援の記録として保管します。
育成就労でも役割分担の整理が必要に
2027年4月に始まる育成就労では、監理支援機関が監理と支援を担います。特定技能に移ったあとの支援とあわせて、住まいの役割分担を見直しておきましょう。監理支援機関の許可申請が始まっている|育成就労への切り替えで、住まいの支援の役割分担を見直すをご覧ください。受入れ企業に住まいの準備を提案するときの進め方は受入れ企業に住まいの準備を提案するとき|登録支援機関が示したい費用と段取りで解説しています。
住居の確保の支援を外部に任せるときのチェックリスト
- ☐ 支援を自社で行うか、全部委託か、一部委託かを決めた
- ☐ 支援計画と委託契約の内容が一致している
- ☐ 不動産会社に頼む範囲を書面で決めた
- ☐ 住まいの基準と本人負担の額を、支援する側で確認した
- ☐ 本人が契約の内容を理解していることを確認した
- ☐ 契約書の写しや内見の写真などを、支援の記録として保管した
- ☐ 委託先を変えたときの届出を確認した
まとめ
- 特定技能の支援は、登録支援機関への全部委託も、一部委託もできる
- 全部委託なら支援の体制の基準を満たすとみなされるが、使用者としての責任は受入れ企業に残る
- 不動産会社への物件の手配の依頼は、支援を行う側が手段として頼む形。確認の責任は支援する側に残る
- 支援計画には委託の内容を書き、委託先を変えたときは届出をする
- 確認した内容と、不動産会社から受け取った資料を、支援の記録として残す
支援の委託の扱いは、法令や運用の案内に沿って判断されます。具体的なケースは、出入国在留管理庁の案内や行政書士などの専門家にご確認ください。