外国籍スタッフの部屋探しでは、物件を問い合わせた段階で「外国籍の方はお断りしています」と言われることが今もあります。日本で長く暮らし、安定した仕事があっても、国籍だけで断られてしまうと、本人は大きく傷つきます。
この記事では、国籍を理由にした入居の拒否についての考え方と、大家や管理会社が不安に感じている点、相談できる窓口、登録支援機関・派遣会社ができる対策を解説します。
結論:大家側の不安を一つずつ解消し、会社として「断られにくい形」で部屋を借りる
国籍だけを理由に入居を断ることは、人権の問題として国も取り上げています。一方で、入居を断る大家や管理会社の多くは、言葉が通じるか、家賃がきちんと払われるか、生活のルールを守ってもらえるか、急に帰国しないかといった不安を抱えています。
登録支援機関や派遣会社は、会社の名義で借りる、保証会社や緊急連絡先を整える、入居後の支援の体制を伝えるなどの方法で、こうした不安を解消し、断られにくい形で部屋を借りることができます。
国籍を理由にした入居の拒否についての考え方
- 人権の問題として扱われている。法務省は、外国人であることを理由にアパートへの入居を断ることを、外国人の人権に関わる問題の一つとして啓発しています。
- 裁判で違法とされた例もある。国籍だけを理由に入居を断ったことについて、損害賠償が認められた裁判の例もあります。
- 国の制度でも、外国籍の方は配慮の対象。住宅セーフティネット制度では、外国籍の方は住まいの確保に配慮が必要な人として位置づけられています。住宅セーフティネット制度は外国籍スタッフの住まい探しに使える?|2025年10月の改正と保証会社の認定制度も参照。
ただし、入居の審査そのものは、収入や保証の条件などをもとに大家が判断するものです。国籍とは別の理由で審査に通らないこともあるため、まずは断られた理由を確かめることが大切です。
大家・管理会社が不安に感じていることと、その解消の方法
| 不安 | 解消の方法 |
|---|---|
| 言葉が通じず、連絡がとれない | 会社の担当者が窓口になることを伝える。通訳や多言語で対応できる体制を示す |
| 家賃が払われない | 会社の名義で借りる。保証会社を利用する。家賃を給料から差し引く仕組みを説明する |
| ゴミ出しや騒音などのルールを守らない | 入居のときに、本人の言語で生活のルールを説明することを伝える |
| 急に帰国して、荷物や契約が残る | 会社が契約者として、退去や解約まで責任を持つことを伝える |
| 知らない人が住み着く | 入居者の名前と人数を届け出て、見回りなどで管理することを伝える |
会社の名義で借りる方法は借上げ社宅と本人契約、どちらを選ぶ?費用・手間・退去時の違い、保証会社の審査に通らなかったときの対処は保証会社の審査に落ちたときの対処法|外国籍スタッフの部屋探し、入居の審査で必要な書類は外国籍の方の入居審査で必要な書類と、審査に通りやすくする準備で解説しています。
外国語で相談できる人権相談の窓口
国籍を理由にした差別的な扱いを受けて悩んでいる場合は、法務省の「外国語人権相談ダイヤル」(0570-090911)で相談できます。英語、中国語、韓国語、フィリピノ語、ポルトガル語、ベトナム語、ネパール語、スペイン語、インドネシア語、タイ語に対応しており、受付は平日の9時から17時までです。インターネットでの相談も受け付けています。本人が一人で抱え込まないよう、窓口を案内しておきましょう。
断られにくくするために、会社ができること
- 外国籍の方の入居に慣れた不動産会社に依頼する。外国籍の方を受け入れてくれる大家とのつながりがある会社に頼むと、断られることが少なくなります。住まいの手配を不動産会社に任せるとき|登録支援機関・派遣会社が確認したいことも参照。
- 受入れの体制を書面で示す。担当者の連絡先、入居後の支援の内容、生活のルールの説明の方法などをまとめた書面を、申込みのときに添えます。
- 生活のルールの資料を用意する。本人の言語で書いた住まいのルールの資料があると、大家の安心につながります。外国籍スタッフ向け住まいのルール資料の作り方|多言語化のコツも参照。
- 契約の説明に多言語の資料を使う。国の多言語の契約書類の見本を使って、本人が契約の内容を理解していることを示します。賃貸の契約を外国籍スタッフにどう説明する?|国土交通省の14言語の部屋探しガイドブックと契約書類の見本も参照。
本人が自分で部屋を探すときこそ、断られやすい
永住者や定住者のスタッフが自分で部屋を探す場合は、会社の名義で借りる場合に比べて、断られることが多くなりがちです。在職証明書を用意する、会社が緊急連絡先を引き受けるなど、会社としてできる後押しを考えましょう。永住者・定住者の派遣スタッフの部屋探し|入居審査で見られることもご覧ください。
断られた経験を、次の物件探しに生かす
断られたときは、可能な範囲で理由を聞き、記録しておきましょう。「保証会社が使えない」「日本語で連絡がとれる人がいない」など、具体的な理由が分かれば、次の物件探しで対策ができます。どの不動産会社や大家が外国籍の方を受け入れているかの情報も、社内で共有しておくと役立ちます。
入居を断られたときのチェックリスト
- ☐ 断られた理由を、可能な範囲で確認した
- ☐ 国籍とは別の理由(収入、保証の条件など)がないかを確認した
- ☐ 会社の名義で借りる方法を検討した
- ☐ 保証会社や緊急連絡先を整えた
- ☐ 受入れの体制や生活のルールの資料を、申込みのときに添えた
- ☐ 外国籍の方の入居に慣れた不動産会社に依頼した
- ☐ 本人に、外国語で相談できる人権相談の窓口を案内した
まとめ
- 国籍だけを理由に入居を断ることは、人権の問題として国も取り上げている
- 入居を断る大家や管理会社の多くは、言葉、家賃、生活のルール、急な帰国などに不安を抱えている
- 会社の名義での契約、保証会社、入居後の支援の体制を示すことで、不安を解消できる
- 外国籍の方の入居に慣れた不動産会社に依頼すると、断られることが少なくなる
- 本人には、外国語で相談できる人権相談の窓口を案内し、一人で抱え込ませない
入居の可否は、個々の物件の条件や審査によって判断されます。差別的な扱いについての相談は、法務省の人権相談の窓口などをご利用ください。