派遣会社の実務

派遣先の寮・社宅に派遣スタッフを住ませるとき|契約の形と費用・退去のルールの決め方

派遣会社が外国籍スタッフを派遣するとき、派遣先の企業から「うちの社員寮に空きがあるので使ってほしい」と言われることがあります。派遣会社にとっては住まいを探す手間が省け、派遣先にとっても空いた寮を活用できるため、うまくいけばお互いに助かる形です。

ただし、派遣先の寮に派遣スタッフが住むと、雇用している会社(派遣元)と住まいを貸している会社(派遣先)が別になります。派遣契約が終わったときの退去や、費用の負担、トラブルのときの対応などを決めておかないと、あとで問題になります。この記事では、派遣先の寮を使うときに決めておきたいことを解説します。

結論:派遣元が派遣先から借りる形を基本にし、退去・費用・連絡の取り決めを書面に残す

派遣先の寮を使う場合は、派遣元が派遣先から寮を借り、派遣元がスタッフに提供する形にすると、雇用と住まいの責任の所在がはっきりします。

そのうえで、派遣契約が終わったときの退去の期限、寮費や光熱費の負担、寮のルールとトラブルのときの連絡の流れを、派遣元と派遣先の間で書面にしておきましょう。

契約の形の比べ方

形 内容 注意点
派遣元が派遣先から借りる 派遣先と派遣元の間で寮の利用の契約を結び、派遣元がスタッフに提供する 雇用している会社が住まいも管理するため、責任の所在が分かりやすい。基本の形として考えやすい
派遣先がスタッフに直接貸す 派遣先とスタッフの間で寮の利用の契約を結ぶ 雇用していない会社が住まいを貸すことになり、派遣契約が終わったときの退去や、寮費の支払いの扱いがあいまいになりやすい
派遣元が別に物件を借りる 派遣先の寮は使わず、派遣元が賃貸物件を借りる 派遣先との関係に左右されず、派遣先が変わっても住み続けられる

派遣会社が物件を借りるときの名義の考え方は派遣スタッフの社宅を借上げで用意するときの契約名義と注意点、寮の費用の考え方は派遣会社が外国籍スタッフの寮・社宅を用意するときの費用と注意点で解説しています。

派遣先の福利厚生施設と寮

派遣先は、派遣スタッフにも給食施設や休憩室、更衣室を利用させるなど、一部の福利厚生施設について配慮することが求められています。一方で、社員寮や社宅を派遣スタッフに提供することまでは、一般には求められていません。派遣先の寮を使うかどうかは、派遣元と派遣先の話し合いで決めることになります。

派遣元と派遣先で決めておきたいこと

項目 決めておくこと
退去の期限 派遣契約が終わったとき、何日以内に退去するか。次の派遣先が決まるまで住めるか
寮費・光熱費 派遣元が派遣先に払う額、スタッフから受け取る額、光熱費の分け方
寮のルール 派遣先の社員寮の規程を派遣スタッフにも適用するか。外国籍スタッフに分かる言語で伝えるのは誰か
トラブルのときの連絡 騒音や設備の故障、入居者どうしのトラブルがあったとき、誰がスタッフに連絡し、対応するか
原状回復 退去のときの清掃や修理の費用を、誰がどこまで負担するか
見回り・立ち入り 派遣元の担当者が寮を訪問できるか。派遣先の担当者が部屋に入る場合のルール

派遣契約の終了と同時に住まいを失わないように

派遣先の寮に住んでいると、派遣契約が終わった時点で寮を出なければならないことがあります。派遣契約の終了と雇用の終了は別のことで、派遣元との雇用が続いている場合は、次の派遣先が決まるまでの住まいを派遣元が考える必要があります。退去までの猶予の期間を派遣先と取り決め、次の住まいを早めに準備しましょう。派遣契約が終わったときの寮の退去|猶予期間と次の住まい、派遣先が変わるときの住まい|通勤圏の変化と住み替えの判断も参照してください。

スタッフへの説明

  • 住まいを提供しているのは誰かを伝える。派遣先の寮であっても、困ったときの相談先は派遣元の担当者であることを伝えます。
  • 寮のルールを本人の言語で説明する。派遣先の寮の規程の内容を、本人が理解できる言語で説明します。
  • 派遣契約が終わったときの扱いを伝える。退去の期限と、次の住まいをどうするかを、入居のときに説明しておきます。
  • 寮費の変更があり得ることを伝える。派遣先との取り決めで寮費が変わる場合の扱いを説明します。寮費を見直すとき|家賃や光熱費の値上がりを外国籍スタッフにどう伝え、どう決めるかも参照。

派遣先の社員と同じ寮で暮らすとき

派遣先の寮では、派遣先の社員と派遣スタッフが同じ建物で暮らすことがあります。生活のルールは同じように適用し、立場の違いで扱いに差が出ないようにしましょう。入居者どうしのトラブルへの対応は寮で入居者どうしのトラブルが起きたとき|けんか・物がなくなった・お金の貸し借りへの対応、寮の規程の例は外国籍スタッフ向け寮規程の条文例|派遣会社・受入れ企業がそのまま使えるひな形、関係者の役割分担は住まいの担当と役割分担を決める|受入れ企業・支援機関・不動産会社の情報共有をご覧ください。

派遣先の寮を使うときのチェックリスト

  • ☐ 派遣元が派遣先から借りる形など、契約の形を決めた
  • ☐ 派遣契約が終わったときの退去の期限と猶予を取り決めた
  • ☐ 寮費・光熱費の負担と支払いの流れを決めた
  • ☐ 寮のルールと、本人への説明の担当を決めた
  • ☐ トラブルや故障のときの連絡の流れを決めた
  • ☐ 退去のときの原状回復の負担を決めた
  • ☐ 取り決めを書面に残した
  • ☐ 本人に、相談先が派遣元の担当者であることを伝えた

まとめ

  • 派遣先の寮を使うときは、派遣元が派遣先から借りてスタッフに提供する形を基本に考える
  • 派遣先が直接スタッフに貸す形は、退去や寮費の扱いがあいまいになりやすい
  • 退去の期限、費用、寮のルール、トラブルのときの連絡、原状回復を、派遣元と派遣先で書面にしておく
  • 派遣契約の終了と同時に住まいを失わないよう、猶予の期間と次の住まいを準備する
  • 本人には、相談先が派遣元の担当者であることを伝える

契約の形や取り決めの内容は、派遣先の寮の状況や派遣の契約によって異なります。判断に迷う場合は、専門家にご相談ください。

このガイドの運営者

不動産のイブキ(伊吹株式会社)。外国籍スタッフの住まいの手配を全国で行っています。制度は改正されることがあるため、手続きの最終確認は出入国在留管理庁などの公式情報もあわせてご確認ください。