寮やルームシェアで複数の外国籍スタッフが暮らしていると、入居者どうしのトラブルが起きることがあります。生活の音や掃除をめぐる言い争いから、物やお金がなくなった、貸したお金が返ってこない、といった相談まで、内容はさまざまです。放っておくと、仕事にも影響が出たり、退職につながったりします。
この記事では、寮で入居者どうしのトラブルの相談を受けたときの対応の流れと、警察に相談すべき場面、トラブルを防ぐための寮のルールを解説します。
結論:一人ずつ話を聞き、安全を最優先に。必要なら部屋を分け、記録を残す
トラブルの相談を受けたら、当事者から一人ずつ、別々に話を聞くことから始めます。どちらか一方の話だけで判断しないことが大切です。
暴力やけががある場合、物やお金を盗まれた疑いがある場合は、安全の確保を最優先にし、必要に応じて警察に相談します。関係の修復が難しい場合は、部屋や寮を分けることも考え、対応の内容は記録に残しましょう。
寮で起きやすいトラブル
| トラブル | よくある原因 |
|---|---|
| 言い争い・けんか | 生活の音、掃除の分担、共用部分の使い方、勤務のシフトの違い |
| 物がなくなった | 共用の冷蔵庫の食べ物、部屋に置いていた現金や物 |
| お金の貸し借り | 同じ国の人どうしで貸し借りをして、返ってこない |
| 先輩・後輩の関係 | 先に来た人が、後から来た人に家事を押し付ける、お金を求める |
| 来客をめぐる不満 | 同居人が友人を泊める、夜遅くまで騒ぐ |
相談を受けたときの流れ
- 安全を確認する。けがをしている人や、身の危険を感じている人がいないかを最初に確認します。
- 一人ずつ話を聞く。当事者を同じ場に呼ばず、別々に、本人が話せる言語で話を聞きます。必要なら通訳を入れます。
- 事実を確認する。いつ、どこで、何があったのかを整理します。同居している人の話も聞きます。
- 対応を決める。話し合いで解決できるか、ルールの見直しや部屋替えが必要か、警察への相談が必要かを判断します。
- 記録を残す。聞き取った内容、決めた対応、その後の様子を記録します。
相談や苦情の対応の記録の残し方は相談・苦情対応の記録の残し方|支援実施状況の確認に備えるで解説しています。
警察に相談すべき場面
暴力でけがをした、脅されている、お金や物を盗まれた疑いがある、といった場合は、会社の中だけで解決しようとせず、警察に相談しましょう。緊急のときは110番、急がない相談は警察の相談窓口(#9110)を使えます。外国籍スタッフは、在留への影響を心配して警察に行くことをためらうことがあります。被害を受けた人が相談することで不利になることはないと伝え、必要なら付き添いましょう。
部屋替えを考えるとき
- 関係の修復が難しいとき。話し合っても改善しない場合は、部屋や寮を分けることを考えます。
- どちらを移すかは慎重に。被害を受けた側だけが移る形にならないよう、事情を聞いたうえで判断します。
- 移ったあとの様子を確認する。部屋替えのあとも、定期的に話を聞きます。
部屋割りの考え方は国籍の違うスタッフが同じ寮に住むとき|部屋割りの考え方とトラブルを防ぐ工夫で解説しています。
トラブルを防ぐための寮のルール
| ルール | 内容 |
|---|---|
| 共用部分の使い方 | 掃除の当番、キッチンや浴室を使う時間、冷蔵庫の使い方を決める |
| 貴重品の管理 | 現金やパスポート、在留カードは、鍵のかかる場所に保管する。大きな現金を部屋に置かない |
| お金の貸し借り | 入居者どうしでお金の貸し借りをしないよう伝える |
| 来客・宿泊 | 来客や宿泊のルールを決める |
| 相談の窓口 | 困ったときに、入居者どうしで解決しようとせず、担当者に相談できることを伝える |
共用部分のルールは寮の共用部分のルールづくり|キッチン・浴室・洗濯機の使い方と当番の決め方、来客と宿泊のルールは寮の来客・宿泊のルール|友人を泊めたいと言われたら・又貸しを防ぐには、規程の条文の例は外国籍スタッフ向け寮規程の条文例|派遣会社・受入れ企業がそのまま使えるひな形で解説しています。部屋の鍵の管理は社宅の鍵の管理|合鍵・紛失・入居者が替わるときの交換もご覧ください。
小さな不満のうちに気づく
大きなトラブルの多くは、小さな不満が積み重なって起きます。定期的な見回りや面談で、「同居人と困っていることはないか」を聞き、早めに気づけるようにしましょう。トラブルを抱えた人が孤立していないかにも気を配ります。寮・社宅の見回り訪問のしかた|確認するポイントと記録、外国籍スタッフの孤立を防ぐ|地域の交流の場や相談窓口につなぐも参照してください。
入居者どうしのトラブルのチェックリスト
- ☐ けがや身の危険がないかを最初に確認した
- ☐ 当事者から一人ずつ、本人が話せる言語で話を聞いた
- ☐ 暴力や盗難の疑いがある場合、警察への相談を検討した
- ☐ 必要に応じて部屋や寮を分けた
- ☐ 聞き取りと対応の内容を記録した
- ☐ 貴重品の管理と、お金の貸し借りをしないルールを伝えた
- ☐ 困ったときに担当者に相談できることを伝えた
まとめ
- トラブルの相談を受けたら、当事者から一人ずつ、別々に話を聞く
- 暴力や盗難の疑いがある場合は、安全を最優先にし、警察に相談する
- 関係の修復が難しい場合は、事情を踏まえて部屋や寮を分ける
- 貴重品の管理、お金の貸し借りをしない、相談の窓口などのルールでトラブルを防ぐ
- 見回りや面談で、小さな不満のうちに気づく
トラブルの内容によっては、専門家や警察などへの相談が必要です。判断に迷う場合は、早めに関係機関に相談してください。