派遣会社が外国籍スタッフを募集するとき、「寮あり」は大きな魅力になります。一方で、寮費や光熱費、相部屋かどうかといった条件があいまいなまま入社すると、「寮費が思っていたより高い」「一人部屋だと思っていた」と、入社してすぐに不満が出て、早い退職につながることがあります。
この記事では、寮付きの求人で示しておきたい情報と、誤解を生みやすい表示、外国籍の方に正しく伝えるための工夫を解説します。
結論:「寮あり」だけでなく、お金・部屋・場所の3つを具体的に示す
寮付きの求人では、寮費と光熱費、初期費用や退寮のときの費用(お金)、個室か相部屋か、家具・家電の有無(部屋)、寮の場所と職場までの通い方(場所)の3つを、具体的に示すことが大切です。
あわせて、給料から寮費などを差し引いたあとの手取りの目安を示すと、本人が生活のイメージを持ちやすくなり、入社後のずれを防げます。
求人で示しておきたい寮の情報
| 項目 | 示しておきたい内容 |
|---|---|
| 寮費 | 月額。給料から差し引くかどうか |
| 光熱費・インターネット | 寮費に含まれるか、別か。別の場合は定額か実費か、目安の金額 |
| 部屋のタイプ | 個室か相部屋か。相部屋の場合は1部屋の人数 |
| 家具・家電 | 備え付けのもの(ベッド、冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど)と、自分で用意するもの |
| 入居のときの費用 | 本人が負担する費用があるか。ある場合は金額 |
| 退寮のときの費用 | 清掃費などを本人が負担するか。ある場合は金額の目安 |
| 寮の場所と通勤 | 最寄りの駅やバス停、職場までの通い方と時間。送迎の有無 |
| 主なルール | 門限や来客、喫煙など、生活に関わる主なルール |
寮費と光熱費の決め方は派遣会社が外国籍スタッフの寮・社宅を用意するときの費用と注意点と寮・ルームシェアの光熱費の分け方|定額・人数割り・個別メーターの比べ方、個室か相部屋かの考え方は社宅は1Kとルームシェア、どちらで用意する?費用と定着で比べる選び方、送迎のルールは寮から職場への送迎を用意するとき|送迎のルールと寮の場所の決め方で解説しています。
誤解を生む表示に注意
2022年10月の職業安定法の改正で、求人の情報について、虚偽の表示や誤解を生じさせる表示をしないこと、情報を正確で最新の内容に保つことが求められるようになりました。たとえば、「寮費無料」としながら光熱費や備品の使用料を別に差し引く、「個室」としながら実際には仕切りで分けた相部屋、といった表示は、本人の不満やトラブルの原因になります。寮の条件が変わったときは、求人の内容もすぐに直しましょう。
外国籍の方に正しく伝えるための工夫
- 本人の言語で伝える。寮の条件は、日本語だけでなく本人が分かる言語で説明します。
- 手取りの計算例を示す。「給料から寮費、光熱費、税金・社会保険料を差し引くと、手元に残るのはおよそいくらか」を、例で示します。
- 実際の部屋の写真を見せる。共用部分やキッチン、浴室も含め、今の状態の写真を見せます。
- 紹介元にも正確に伝える。海外の送出機関や国内の紹介会社を通す場合、条件が伝言で変わってしまわないよう、書面で伝えます。
- 寮の移動があり得ることを伝える。派遣先の変更などで寮が変わる可能性がある場合は、最初から伝えておきます。
部屋の写真の撮り方は外国籍スタッフの社宅の内見|本人の代わりに確認したいポイントと写真の撮り方も参考になります。
特定技能の場合は、雇用条件と事前ガイダンスでも説明する
特定技能で受け入れる場合は、雇用条件で、居住費など給料から差し引く費用とその金額を示し、本人が理解したうえで契約することが大切です。入国前などに行う事前ガイダンスでも、住まいの条件と費用を説明します。事前ガイダンスで伝える内容は事前ガイダンスで説明すること|住まいと生活費をどう伝えるか、給料から寮費を差し引くときのルールは社宅の家賃を給料から差し引くとき|労使協定と課税の考え方で解説しています。
入社後に「聞いていた話と違う」と言われたら
- 本人の話を聞く。何が説明と違うと感じているのかを、具体的に聞きます。
- 求人や説明の内容を確認する。求人の記載、説明した資料、契約の内容を見直し、実際に違いがあったかを確認します。
- 違いがあれば改善を考える。部屋の変更や費用の見直しなど、できる対応を考えます。
- 求人と説明の資料を直す。同じことが起きないよう、次の募集に反映します。
寮の条件は「定着」に直結する
寮の条件がはっきりしていると、入社してからの不満が少なくなり、長く働いてもらいやすくなります。住まいへの不満は退職の理由になりやすいため、募集の段階から正確に伝えることが、結果として採用や教育の費用を抑えることにもつながります。住まいの満足度と定着の関係は住まいの満足度を上げて定着につなげる|外国籍スタッフが不満を持ちやすい点と改善策をご覧ください。
寮付き求人のチェックリスト
- ☐ 寮費と、給料から差し引くかどうかを示した
- ☐ 光熱費・インターネットが寮費に含まれるかを示した
- ☐ 個室か相部屋か、相部屋なら人数を示した
- ☐ 備え付けの家具・家電を示した
- ☐ 入居・退寮のときに本人が負担する費用を示した
- ☐ 寮の場所と職場までの通い方を示した
- ☐ 手取りの計算例を、本人の言語で示した
- ☐ 紹介元に、寮の条件を書面で伝えた
- ☐ 寮の条件が変わったときに、求人をすぐに直す流れを決めた
まとめ
- 寮付きの求人では、お金(寮費・光熱費・初期費用・退寮時の費用)、部屋(個室か相部屋か・家具家電)、場所(通勤)を具体的に示す
- 手取りの計算例を示すと、本人が生活のイメージを持ちやすい
- 虚偽や誤解を生む表示はしない。求人の情報は正確で最新の内容に保つ
- 本人の言語、実際の写真、紹介元への書面での伝達で、条件を正しく伝える
- 寮の条件を正確に伝えることが、定着と採用の費用の抑制につながる
求人の表示に関するルールは、職業安定法などで定められています。具体的な表示の方法は、ハローワークや都道府県労働局の案内でご確認ください。