派遣会社の実務

国籍の違うスタッフが同じ寮に住むとき|部屋割りの考え方とトラブルを防ぐ工夫

派遣会社の寮では、ベトナム、インドネシア、フィリピン、ネパールなど、国籍の違う外国籍スタッフや、日本人スタッフが同じ建物や同じ部屋で暮らすことがあります。配属の都合で空いている部屋に順番に入れていくと、言葉が通じない、生活のリズムが合わないといった理由で、トラブルや早い退寮につながることがあります。

この記事では、国籍の違うスタッフが同じ寮に住むときの部屋割りの考え方と、一緒に暮らすときに起きやすいトラブルの防ぎ方を解説します。

結論:部屋割りは「国籍」ではなく「生活のリズム・言葉・本人の希望」で考える

部屋割りを考えるときは、国籍そのものよりも、勤務のシフト、共通して話せる言語、食事や宗教などの生活習慣、本人の希望を基準にすると、トラブルが起きにくくなります。

そして、寮のルールや寮費は、国籍に関係なく全員に同じように適用することが大切です。

同じ国籍でまとめるか、混ぜるか

部屋割り よい点 注意したい点
同じ国籍・同じ言語の人でまとめる 言葉が通じ、生活習慣も近いため、入国直後でも安心して暮らせる。困ったときに助け合える 日本語を使う機会が減る。部屋の中だけで人間関係が完結し、問題が外から見えにくくなることがある
国籍の違う人を混ぜる 日本語が共通の言葉になり、日本語の上達につながることがある。特定のグループに偏らない 言葉や生活習慣の違いからトラブルになりやすい。ルールを丁寧に共有する必要がある

どちらが正しいということはなく、入国したばかりの時期は同じ言語の人と、日本の生活に慣れてきたら本人の希望を聞いて見直す、といった柔軟な考え方もできます。1部屋に何人住むかの考え方は社宅は1Kとルームシェア、どちらで用意する?費用と定着で比べる選び方で解説しています。

部屋割りで考えたいこと

項目 考え方
勤務のシフト 日勤と夜勤の人を同じ部屋にすると、寝る時間と生活音がぶつかる。シフトが近い人どうしにする
共通の言語 日本語や英語など、同じ部屋の人どうしで話せる言葉があるか
食事・宗教 食べられないものや調理の仕方、お祈りの時間など。キッチンや冷蔵庫の使い方に関わる
たばこ 吸う人と吸わない人を同じ部屋にしない
性別 男女は部屋を分ける。浴室やトイレを共有する造りの場合は、建物ごと分けることも考える
本人の希望 入居前に、一緒に住みたい人や避けたい条件を聞いておく

国籍を理由に差をつけない

国籍によって寮費を変えたり、設備のよい部屋を特定の国籍の人だけに割り当てたり、ルールの厳しさを変えたりすることは、労働基準法で禁じられている国籍による差別的な取扱いにあたるおそれがあります。部屋割りの工夫は、あくまで暮らしやすさのためのものです。寮費や設備、ルールは、国籍に関係なく同じ基準で決めましょう。寮のルールの条文の例は外国籍スタッフ向け寮規程の条文例|派遣会社・受入れ企業がそのまま使えるひな形をご覧ください。

一緒に暮らすときに起きやすいトラブルと防ぎ方

トラブル 防ぎ方
言葉が通じず、ルールが伝わらない 寮のルールを複数の言語やイラストで用意する。全員が同じ資料を見られるようにする
料理のにおいや調理の時間 キッチンを使う時間帯や、換気のルールを決める。調理器具を分けたい人がいれば相談に乗る
生活音、電話や音楽の音 夜の時間帯のルールを決める。シフトの違う人を同じ部屋にしない
浴室や洗濯機の使い方 使う順番や時間、掃除の当番を決める
掃除の基準の違い 「きれい」の感じ方は人によって違う。掃除の内容を具体的に決め、写真で見本を示す
グループどうしの対立 同じ国籍の人数が偏りすぎないようにする。困りごとは担当者が早めに聞き取る

共用部分のルールの決め方は寮の共用部分のルールづくり|キッチン・浴室・洗濯機の使い方と当番の決め方、宗教や食習慣への配慮は宗教や食習慣への配慮と住まい|キッチン・におい・お祈りの場所、ルールの資料の多言語化は外国籍スタッフ向け住まいのルール資料の作り方|多言語化のコツで解説しています。生活音の苦情を受けたときの対応は住まいの騒音の苦情を受けたとき|聞き取りから改善までも参照してください。

日本人スタッフと一緒に住むとき

  • 日本人スタッフにもルールを説明する。寮のルールは、日本人スタッフにも同じように説明し、同じように守ってもらいます。
  • 「日本の常識」を前提にしない。ゴミの出し方や浴室の使い方など、日本人にとって当たり前のことも、言葉にして共有します。
  • 通訳や世話役を任せすぎない。日本語ができる人や日本人スタッフに、ほかの入居者の世話を任せすぎると、負担が偏り、不満の原因になります。
  • 困りごとは担当者が受ける。入居者どうしで解決しようとして関係がこじれる前に、担当者に相談できるようにします。

部屋割りは「見直せる」ようにしておく

最初に決めた部屋割りが合わないこともあります。定期的な見回りや面談で困りごとを聞き、必要に応じて部屋の入れ替えを考えましょう。寮の中で孤立している人がいないかにも気を配ります。外国籍スタッフの孤立を防ぐ|地域の交流の場や相談窓口につなぐも参照してください。部屋の入れ替えや配属と寮の配置の考え方は派遣会社の寮の空室を減らす|配属計画と寮の配置・入れ替えの工夫でも触れています。

寮の部屋割りのチェックリスト

  • ☐ 勤務のシフトが近い人どうしを同じ部屋にした
  • ☐ 同じ部屋の人どうしで話せる言葉があるかを確認した
  • ☐ 食事や宗教、たばこなどの生活習慣を確認した
  • ☐ 入居前に本人の希望を聞いた
  • ☐ 寮費・設備・ルールを、国籍に関係なく同じ基準で決めた
  • ☐ 寮のルールを、複数の言語やイラストで全員に共有した
  • ☐ 日本人スタッフにも同じルールを説明した
  • ☐ 部屋割りを見直すきっかけ(面談・見回り)を決めた

まとめ

  • 部屋割りは、国籍ではなく、勤務のシフト・共通の言語・生活習慣・本人の希望で考える
  • 同じ国籍でまとめる方法と混ぜる方法には、それぞれよい点と注意点がある
  • 寮費・設備・ルールは、国籍に関係なく同じ基準で決める
  • 言葉や生活習慣の違いから起きるトラブルは、ルールの共有と具体的な決めごとで防ぐ
  • 部屋割りは定期的に見直し、困りごとは担当者が早めに聞き取る

寮の部屋割りや運用のルールは、寮の造りや入居者の状況によって変わります。入居者の声を聞きながら、それぞれの寮に合った形を決めてください。

このガイドの運営者

不動産のイブキ(伊吹株式会社)。外国籍スタッフの住まいの手配を全国で行っています。制度は改正されることがあるため、手続きの最終確認は出入国在留管理庁などの公式情報もあわせてご確認ください。