段階5 就労開始後の支援

住まいの満足度を上げて定着につなげる|外国籍スタッフが不満を持ちやすい点と改善策

外国籍スタッフが仕事を辞めたり、職場を変えたりする理由は、給料や仕事の内容だけではありません。「部屋が狭くて休めない」「同居人と合わない」「通勤が大変」といった住まいへの不満が、離職のきっかけになることもあります。2027年4月に始まる育成就労では本人の意向による転籍も認められるため、住まいの満足度は、これまで以上に定着に関わってきます。

この記事では、外国籍スタッフが住まいで不満を持ちやすい点と、満足度を知る方法、そして住まいを改善して定着につなげる工夫を解説します。

結論:不満は「聞かないと出てこない」。定期的に聞き、小さな改善を積み重ねる

住まいへの不満は、本人から言い出されることは多くありません。「会社が用意してくれた住まいに文句を言ってはいけない」と考えて、我慢しているスタッフもいます。面談やアンケートで定期的に聞き、費用をかけずにできる改善から積み重ねていくことが大切です。

そのうえで、個室の確保や通勤の負担など、住まいの形そのものに関わる不満は、契約の更新などの機会に見直しましょう。

不満を持ちやすい点

不満 よくある声
プライバシー 相部屋で一人になれない。電話やお祈りの時間がとれない
同居人 生活リズムや習慣が合わない。掃除やゴミ出しの分担でもめる
インターネット Wi-Fiが遅い、ない。家族とビデオ通話ができない
通勤 職場まで遠い。早朝や夜に交通手段がない
設備の不具合 エアコンや給湯器が壊れても、なかなか直してもらえない
費用 寮費や光熱費が高いと感じる。何にいくらかかっているか分からない
周りの環境 買い物の場所が遠い。休みの日に出かけるところがない

満足度を知る方法

  • 定期面談で住まいのことを聞く。「困っていることはない?」ではなく、「よく眠れている?」「Wi-Fiは使いやすい?」など、具体的に聞くと答えやすくなります。面談の進め方は定期面談の進め方とチェック項目|住まい・生活の困りごとの聞き方を参照。
  • 無記名のアンケートをとる。本人の言語で、「満足」「ふつう」「不満」などの選択式で答えられるアンケートにすると、本音を聞きやすくなります。
  • 見回り訪問で様子を見る。部屋の様子から、困りごとに気づけることもあります。寮・社宅の見回り訪問のしかた|確認するポイントと記録も参照。
  • 同居人と一人ずつ話す。ルームシェアの不満は、同居人がいる前では言いにくいものです。

アンケートの項目の例

項目 聞くこと
休息 部屋でゆっくり休めているか
同居 同居人との生活で困っていることはないか
設備 壊れているもの、足りないものはないか
インターネット 速さや使える時間に不満はないか
通勤 通勤の時間や手段に負担はないか
費用 寮費や光熱費の金額に納得しているか
相談 住まいのことを相談しやすいか

費用をかけずにできる改善

  • 設備の故障にすぐ対応する。修理の依頼から完了までを早くするだけでも、「大事にされている」と感じてもらえます。
  • 費用の内訳を説明する。寮費や光熱費が何にいくらかかっているかを示すと、納得感が高まります。給料から差し引く家賃の考え方は社宅の家賃を給料から差し引くとき|労使協定と課税の考え方を参照。
  • ルームシェアのルールを一緒に決める。掃除の当番や、静かにする時間などを、同居人どうしで話し合って決めます。
  • 部屋割りを見直す。勤務の時間帯や生活習慣が近い人どうしになるよう、部屋割りを変えます。
  • 周りの情報を伝える。スーパー、食材店、公園、交流の場など、休みの日に出かけられる場所を案内します。

費用をかけてでも見直したい点

見直し 考え方
インターネット環境 家族との連絡に欠かせない。速い回線への切り替えは、費用に対して満足度の上がりやすい改善
個室の確保 相部屋から個室への切り替え。家賃は上がるが、休息とプライバシーが改善する
通勤の負担 職場に近い住まいへの住み替え、送迎の用意
古い設備の交換 故障が続くエアコンや給湯器、冷蔵庫などの交換

個室にするかルームシェアにするかの考え方は社宅は1Kとルームシェア、どちらで用意する?費用と定着で比べる選び方、インターネット環境の選び方は携帯電話とネット回線の契約|入国直後に困らないための準備で解説しています。

離職や転籍の費用と比べて考える

住まいの改善には費用がかかりますが、スタッフが辞めたり転籍したりすると、新しい人の採用や受入れの準備、住まいの手配にあらためて費用と時間がかかります。住まいの改善の費用は、こうした費用と比べて判断しましょう。育成就労の転籍と住まいについては育成就労の転籍と住まい|転籍が認められる条件と引っ越しの準備で解説しています。

入国前からの期待のすり合わせ

住まいへの不満の中には、来日前の期待と実際の住まいの差から生まれるものもあります。入国前に住まいの写真や費用を見せ、できることとできないことを伝えておくと、来日後の不満を減らせます。すり合わせの方法は入国前に本人と住まいの条件をすり合わせる|オンライン面談で聞くことで解説しています。本人から引っ越したいと相談を受けたときは外国籍スタッフから「引っ越したい」と言われたら|支援担当者がやることをご覧ください。

住まいの満足度を上げるためのチェックリスト

  • ☐ 定期面談で、住まいのことを具体的に聞いている
  • ☐ 本人の言語で、無記名のアンケートをとった
  • ☐ ルームシェアの同居人とは、一人ずつ話を聞いた
  • ☐ 設備の故障に、早く対応できる流れをつくった
  • ☐ 寮費や光熱費の内訳を説明した
  • ☐ 部屋割りやルームシェアのルールを見直した
  • ☐ インターネット環境、個室、通勤の負担の見直しを検討した
  • ☐ 入国前に住まいの写真や費用を見せている

まとめ

  • 住まいへの不満は、離職や転籍のきっかけになる。本人から言い出されにくいので、定期的に聞く
  • プライバシー、同居人、インターネット、通勤、設備、費用などで不満が出やすい
  • 故障への早い対応や費用の説明など、費用をかけずにできる改善から始める
  • インターネット環境、個室、通勤の負担は、離職の費用と比べて見直しを考える
  • 入国前の期待のすり合わせも、来日後の不満を減らすことにつながる

住まいの満足度は、スタッフ一人ひとりの事情によって変わります。本人の声を聞きながら、できるところから改善していきましょう。

次の段階 6. 届出・更新

このガイドの運営者

不動産のイブキ(伊吹株式会社)。外国籍スタッフの住まいの手配を全国で行っています。制度は改正されることがあるため、手続きの最終確認は出入国在留管理庁などの公式情報もあわせてご確認ください。