登録支援機関や派遣会社では、支援担当者の異動や退職で、外国籍スタッフの担当が替わることがあります。住まいに関わる情報が前の担当者の頭の中や手元のメモにしかないと、社宅の更新の期限が過ぎてしまったり、寮費の差し引きの理由が分からなくなったり、相談の経緯を本人にもう一度聞き直すことになったりします。
この記事では、社内で支援担当者が替わるときに、住まいについて漏れやすいことと、引き継ぎ書に入れたい項目、引き継ぎの進め方を解説します。
結論:住まいの情報は「台帳」と「記録」に残し、引き継ぎでは期限と経緯を重点的に渡す
担当者が替わっても困らないためには、日頃から、物件と入居者の情報を社宅の台帳に、相談や対応の経緯を記録に残しておくことが基本です。
引き継ぎのときは、近いうちに来る期限と、対応の途中になっている相談を重点的に渡し、入居者と管理会社に新しい担当者を紹介しましょう。
担当交代で漏れやすいこと
| 漏れやすいこと | 起きやすい問題 |
|---|---|
| 社宅の更新・解約の期限 | 更新の手続きや解約予告の期限が過ぎ、余分な費用がかかる |
| 在留期間の満了日 | 更新の準備が遅れ、住まいの契約とのずれが起きる |
| 寮費や光熱費の差し引きの根拠 | 金額の理由を説明できず、本人の不満につながる |
| 対応の途中の相談 | 本人が同じことを何度も説明することになり、信頼を失う |
| 近所や管理会社との約束 | 苦情への対応の約束が守られず、問題が大きくなる |
| 鍵や書類の保管場所 | 合鍵や契約書の写しがどこにあるか分からなくなる |
関係者の役割分担の決め方は住まいの担当と役割分担を決める|受入れ企業・支援機関・不動産会社の情報共有、社宅の台帳の項目は社宅の管理を外部に任せるとき|自社管理との比べ方、任せられる業務と、社宅台帳で押さえたいことで解説しています。
引き継ぎ書に入れたい項目
| 区分 | 項目 |
|---|---|
| 入居者ごと | 名前(申込みや契約での表記)、在留資格と在留期間の満了日、住所、連絡先、母語、本人負担の額と差し引きの方法 |
| 物件ごと | 契約の名義と期間、更新の時期、解約予告の期限、管理会社の連絡先、鍵の本数と保管場所 |
| 今後の予定 | 3か月以内に来る更新・満了・面談・届出の予定 |
| 対応の途中のこと | 相談の内容と経緯、次にやること、相手との約束 |
| 注意したいこと | 本人の希望や配慮が必要な点、近所との関係、過去のトラブル |
引き継ぎ書も個人情報として扱う
引き継ぎ書には、入居者の在留期間や連絡先、相談の内容など、多くの個人情報が入ります。共有のフォルダに置く場合は見られる人を限り、紙で渡す場合は保管の場所を決めましょう。本人の個人的な事情は、支援に必要な範囲だけを書くようにします。入居者の個人情報の扱い方|在留カードの写しや連絡先を、不動産会社や管理会社と共有するときの注意もご覧ください。
引き継ぎの進め方
- 台帳と記録を最新にする。前の担当者が、交代の前に台帳と相談の記録を更新します。
- 引き継ぎ書を作る。近い期限と対応の途中のことを中心にまとめます。
- 一緒に確認する。可能であれば、前の担当者と新しい担当者が一緒に寮を回ったり、面談に同席したりします。
- 入居者に紹介する。新しい担当者の名前と連絡先を、本人の言語で伝えます。
- 管理会社や関係者に連絡する。管理会社、受入れ企業、不動産会社に、担当者の変更と新しい連絡先を伝えます。
相談の記録の残し方は相談・苦情対応の記録の残し方|支援実施状況の確認に備える、面談の進め方は定期面談の進め方とチェック項目|住まい・生活の困りごとの聞き方で解説しています。
入居者には、担当者が替わる理由も簡単に伝える
外国籍スタッフにとって、支援担当者は日本での生活のよりどころになっていることがあります。担当者が急に替わると、不安を感じたり、相談しにくくなったりすることがあります。「異動のため」など理由を簡単に伝え、新しい担当者にも同じように相談してよいことを伝えましょう。
引き継ぎに困らない日頃の工夫
- 期限を一覧で管理する。更新、満了、届出などの期限を、年間の予定表と台帳で管理します。
- やり取りを記録に残す。電話やメッセージでのやり取りも、要点を記録に残します。
- 担当を一人に集中させない。副担当を決めておくと、急な交代や休みのときも対応できます。
期限の管理は外国籍スタッフの住まいと届出の年間スケジュール|月ごとにやることと、季節ごとの注意点、社宅の更新は社宅の更新手続き|2年ごとの更新料と在留期限の確認で解説しています。
登録支援機関そのものが替わるときは別の手続きも
社内の担当者ではなく、登録支援機関そのものが替わる場合は、支援委託契約や届出の手続きが必要になり、住まいの情報も機関の間で引き継ぐことになります。登録支援機関を変更するとき|手続きと住まいの引き継ぎをご覧ください。
担当交代のときの引き継ぎチェックリスト
- ☐ 社宅の台帳と相談の記録を最新にした
- ☐ 3か月以内に来る期限を引き継ぎ書にまとめた
- ☐ 対応の途中の相談と、相手との約束を引き継いだ
- ☐ 寮費などの差し引きの根拠を引き継いだ
- ☐ 鍵と書類の保管場所を引き継いだ
- ☐ 新しい担当者を、入居者に本人の言語で紹介した
- ☐ 管理会社、受入れ企業、不動産会社に担当者の変更を伝えた
- ☐ 引き継ぎ書を個人情報として管理している
まとめ
- 担当者が替わると、更新の期限や差し引きの根拠、相談の経緯が漏れやすい
- 日頃から、物件と入居者の情報を台帳に、相談の経緯を記録に残しておく
- 引き継ぎでは、近い期限と対応の途中のことを重点的に渡す
- 新しい担当者を入居者と管理会社に紹介し、連絡先の変更を伝える
- 副担当を決めて、担当を一人に集中させない
引き継ぎの方法は、会社の体制や担当する人数によって異なります。自社の体制に合わせて、引き継ぎ書の項目を調整してください。