日本での暮らしに慣れてきた外国籍スタッフから、「犬や猫を飼いたい」「友達から子猫をもらった」と相談されることがあります。また、寮や社宅の見回りのときに、部屋で動物を飼っていることが分かる場合もあります。
ペットは暮らしの支えになる一方で、賃貸の部屋では契約で飼うことが禁じられていることが多く、無断で飼うと、退去のときに高額な費用を求められたり、近所とのトラブルになったりします。この記事では、外国籍スタッフがペットを飼いたいと言ったときの確認と、無断で飼っていたときの対応、帰国のときの注意を解説します。
結論:まず契約と規程で飼えるかを確認し、飼えない部屋では飼わない。帰国のときまで見通して決める
ペットを飼えるかどうかは、部屋の賃貸借契約と、会社の寮規程・社宅規程で決まります。どちらかで禁じられていれば、その部屋では飼えません。飼いたい場合は、ペットを飼える物件への住み替えを検討することになります。
また、ペットは何年も生きます。在留期間の満了や帰国のとき、ペットをどうするかまで考えたうえで決めるよう、本人に伝えることが大切です。
飼えるかどうかの確認
| 確認すること | 確認先 | ポイント |
|---|---|---|
| 部屋でペットを飼えるか | 賃貸借契約書、管理会社 | 「ペット不可」「小動物のみ可」「犬猫は1匹まで」など、物件ごとに決まりが違う |
| 会社のルール | 寮規程・社宅規程 | 契約でペット可でも、会社のルールで禁じている場合がある |
| ルームシェアの同居人 | 同じ部屋の入居者 | 動物が苦手な人や、アレルギーのある人がいないか |
| 飼える環境 | 本人 | 勤務の時間や夜勤、一時帰国のときに世話ができるか |
契約書の読み方は社宅の賃貸借契約書で確認したい条項|入居人数・入居者の変更・解約・原状回復の特約を会社の目線で読むで解説しています。
「小さい動物なら大丈夫」とは限らない
本人は、小鳥やハムスター、魚なら問題ないと考えていることがあります。しかし、契約によっては、犬や猫だけでなく、小動物や鳥も禁じている場合があります。種類にかかわらず、飼う前に担当者に相談するよう、入居のときに伝えておきましょう。
ペットを飼える物件に住み替えるとき
- 物件の数が少ない。ペットを飼える物件は、そうでない物件に比べて少なく、外国籍の方が入居できる物件となると、さらに選択肢が限られます。
- 初期費用が増えることがある。ペットを飼う場合、敷金が上乗せされるなど、入居の費用が増えることがあります。
- 退去の費用も考える。傷やにおいの原状回復の費用は、ペットを飼わない場合より高くなりやすいです。
- 費用の負担を決める。会社名義の社宅の場合、ペットに関わる費用を本人が負担するのか、会社の規程で決めておきます。
本人負担のルールの決め方は外国籍スタッフの社宅規程の作り方|家賃負担・退去・備品のルール、寮でのペットの扱いを条文にする例は外国籍スタッフ向け寮規程の条文例|派遣会社・受入れ企業がそのまま使えるひな形をご覧ください。
無断で飼っていることが分かったとき
| 段階 | 対応 |
|---|---|
| 1. 事情を聞く | いつから、どんな動物を、どこから手に入れたかを聞く。契約で禁じられていることを知っていたかも確認する |
| 2. 契約の内容を伝える | 部屋では飼えないこと、そのままだと退去の費用や契約の解除につながるおそれがあることを、本人の言語で伝える |
| 3. 行き先を一緒に考える | ペットを飼える部屋への住み替え、知人や譲渡先への引き渡しなど、動物の行き先を期限を決めて考える |
| 4. 管理会社に相談する | 部屋の傷やにおいがある場合は、管理会社と対応を相談する |
| 5. 記録を残す | 伝えた内容と日時、本人の反応、その後の様子を記録する |
ルールを守らない入居者への段階的な対応は寮のルールを守らない入居者への対応|注意の段階の踏み方、記録の残し方、退寮を求める前に確認したいことで解説しています。
動物を捨てさせない
「すぐに手放して」と強く求めると、本人が動物を外に放したり、捨てたりしてしまうことがあります。日本では、飼っている動物を捨てることは法律で禁じられ、罰則もあります。行き先が決まるまでの期限を設け、譲渡先を探すのを手伝うなど、動物が捨てられないように進めましょう。
飼うときに必要な手続きとマナー
- 犬の登録と予防注射。犬を飼う場合は、市区町村への登録と、毎年の狂犬病の予防注射が必要です。
- 鳴き声とにおい。鳴き声やにおいは、近所からの苦情につながりやすいです。留守の時間が長い場合は特に注意します。
- 共用部での扱い。廊下やエレベーターでは抱きかかえるなど、建物のルールに従います。
- ふんの始末。散歩のときのふんは持ち帰り、家での処理も自治体のゴミの出し方に従います。
近所から苦情を受けたときの対応は住まいの騒音の苦情を受けたとき|聞き取りから改善まで、部屋の衛生の保ち方は寮・社宅の衛生と害虫対策|ゴキブリ・ダニ・トコジラミを防ぐ住まいの管理もご覧ください。
帰国や退職のときにどうするかを、飼う前に話す
在留期間が満了して帰国するとき、ペットを母国に連れて帰るには、出国と相手の国の入国の検疫の手続きが必要で、国によっては長い準備期間と費用がかかります。連れて帰れない場合は、日本で引き取ってくれる人を探すことになります。飼う前に「帰国するときにどうするか」を本人と話しておきましょう。帰国の段取りは退職・帰国が決まったら|届出と住まいの退去の段取り、退去のときの確認は社宅の退去の立ち会い|原状回復の費用で揉めないための確認をご覧ください。
ペットの相談を受けたときのチェックリスト
- ☐ 賃貸借契約書と管理会社に、ペットを飼えるかを確認した
- ☐ 寮規程・社宅規程で、ペットの扱いを確認した
- ☐ ルームシェアの場合、同居人の意向を確認した
- ☐ 住み替える場合の初期費用と退去の費用、本人負担を説明した
- ☐ 犬の登録と予防注射など、必要な手続きを伝えた
- ☐ 帰国や退職のときにペットをどうするかを話し合った
- ☐ 無断で飼っていた場合、動物の行き先を期限を決めて一緒に考えた
- ☐ 入居時の説明で、動物を飼う前に相談するよう伝えている
まとめ
- ペットを飼えるかは、賃貸借契約と会社の規程の両方で確認する
- 小動物や鳥も禁じている契約があるため、種類にかかわらず事前に相談してもらう
- 飼いたい場合は、ペットを飼える物件への住み替えと、費用の負担を検討する
- 無断で飼っていた場合は、事情を聞き、動物を捨てさせないよう行き先を一緒に考える
- 帰国や退職のときにペットをどうするかを、飼う前に話しておく
ペットの扱いは、物件の契約や建物のルールによって異なります。具体的な条件は管理会社に、動物の輸出入の手続きは動物検疫所や相手の国の大使館の案内でご確認ください。