外国籍スタッフの社宅を会社の名義で借りるとき、賃貸借契約書は不動産会社から渡されたものに、そのまま記名押印してしまうことが少なくありません。しかし、社宅は入居者が入れ替わったり、ルームシェアで複数人が住んだり、受入れの期間に合わせて解約したりと、一般の個人の契約とは使い方が違います。
契約書の内容が社宅の使い方に合っていないと、入居者を替えるたびに手間がかかったり、思わぬ費用がかかったりします。この記事では、社宅の契約書で会社の目線から確認したい条項を解説します。
結論:「誰が何人住めるか」「入居者を替えられるか」「やめるときにいくらかかるか」を確認する
社宅の契約書で特に確認したいのは、入居者の届出と変更の方法、入居人数の上限、解約の条件と費用の3つです。ここが社宅の使い方に合っていないと、受入れのたびに貸主の承諾を取り直したり、違約金がかかったりすることがあります。
気になる条項は、申込みの前に不動産会社に確認し、必要なら変更を相談しましょう。契約したあとで条件を変えてもらうのは難しくなります。
会社の目線で確認したい条項
| 条項 | 確認すること |
|---|---|
| 使用の目的 | 「社宅として従業員を住まわせる」使い方が認められているか |
| 入居者の届出・変更 | 入居者の名前を届け出る方法と、入居者を替えるときに貸主の承諾が必要か |
| 入居人数の上限 | ルームシェアで住む人数が、上限を超えていないか |
| 転貸の禁止 | 会社が従業員に住まわせることが、禁止される転貸にあたらない形になっているか |
| 契約期間と更新 | 期間、更新料、更新の手続き。定期借家契約かどうか |
| 解約予告と違約金 | 何か月前に申し出るか。短期で解約したときの違約金 |
| 原状回復の特約 | 退去時のクリーニング代など、借主が負担する費用が書かれていないか |
| 修繕の負担 | 設備が壊れたときに、貸主と借主のどちらが直すか |
| 禁止事項 | ペット、楽器、喫煙、来客の宿泊など、入居者に守ってもらう決まり |
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入居者を勝手に増やしたり替えたりしない
契約書で入居者の名前や人数を届け出ることになっている場合、貸主に知らせずに入居者を増やしたり替えたりすると、契約違反になるおそれがあります。外国籍スタッフの受入れでは、入国の時期や人数が変わることがよくあるため、入居者の変更をどう届け出るかを、契約の前に不動産会社と確認しておきましょう。
原状回復の特約は内容をよく読む
契約書には、「退去時のクリーニング代は借主の負担とする」「畳の表替えは借主の負担とする」などの特約が書かれていることがあります。特約は、内容がはっきりしていて、借主が理解して合意していれば、有効とされることがあります。
- 金額や範囲がはっきり書かれているかを確認します。「一式」など曖昧な書き方は、退去のときに揉める原因になります。
- 入居者が替わるたびにかかる費用かを確認します。入れ替わりの多い社宅では、思った以上の負担になることがあります。
- 入居者への説明に反映する。特約の内容を、入居者に伝える住まいのルールに入れておきます。
退去のときの費用の考え方は社宅の退去の立ち会い|原状回復の費用で揉めないための確認で解説しています。
修繕の負担の区分は、入居者の連絡の流れにつながる
設備が壊れたときに、貸主が直すのか借主が直すのかは、契約書や重要事項説明書に書かれています。この区分を確認しておくと、入居者から故障の連絡を受けたときに、どこへ連絡し、誰が費用を負担するかをすぐに判断できます。設備の故障の連絡の流れは寮・社宅の設備が壊れたとき|水漏れ・エアコン・トイレの詰まりの連絡の流れと費用の負担をご覧ください。
契約のあとに残しておきたいもの
- 契約書と重要事項説明書の写しを、社宅ごとにまとめて保管します。
- 更新の時期と解約予告の期限を、社宅の台帳に書いておきます。
- 入居者に伝えるべき条項(禁止事項、ゴミの出し方、修繕の連絡先など)を、住まいのルールの資料に反映します。
更新の手続きは社宅の更新手続き|2年ごとの更新料と在留期限の確認、解約の手続きは社宅の解約手続きの進め方|解約の申し出の期限、日割り、ライフラインの停止、敷金の精算までで解説しています。
入居者には、契約の大事な点をやさしく伝える
会社の名義の契約でも、実際に住むのは外国籍スタッフ本人です。禁止事項や退去のときの費用など、本人に関わる条項は、やさしい日本語や本人の言語で伝えましょう。国が用意している多言語の資料も役立ちます。賃貸の契約を外国籍スタッフにどう説明する?|国土交通省の14言語の部屋探しガイドブックと契約書類の見本もご覧ください。
社宅の契約書の確認チェックリスト
- ☐ 社宅として従業員を住まわせる使い方が認められている
- ☐ 入居者の届出と変更の方法を確認した
- ☐ 入居人数の上限が、予定の人数に合っている
- ☐ 契約期間、更新料、定期借家かどうかを確認した
- ☐ 解約予告の期限と、短期解約の違約金を確認した
- ☐ 原状回復の特約の金額と範囲を確認した
- ☐ 修繕の負担の区分を確認した
- ☐ 入居者に関わる条項を、住まいのルールの資料に反映した
まとめ
- 社宅は入居者の入れ替えやルームシェアがあるため、個人の契約とは違う目線で契約書を読む
- 入居者の届出と変更、入居人数の上限、解約の条件と費用を特に確認する
- 原状回復の特約は、金額や範囲がはっきりしているかを確認する
- 気になる条項は、申込みの前に不動産会社に確認し、変更を相談する
- 入居者に関わる条項は、やさしい日本語や本人の言語で伝える
契約書の条項の有効性や解釈は、個々の契約の内容によって判断が変わります。判断に迷う場合は、弁護士などの専門家にご相談ください。