段階5 就労開始後の支援

病気やけがで働けなくなったとき|外国籍スタッフの収入の支えと住まいの対応

外国籍スタッフが病気やけがで長く仕事を休むことになると、本人は治療の不安に加えて、「給料が出なくなったら家賃が払えない」「寮を出なければならないのでは」という不安を抱えます。日本の保険の制度を知らないまま、無理をして働き続けたり、急に帰国を決めたりすることもあります。

この記事では、外国籍スタッフが病気やけがで働けなくなったときの収入の支えとなる制度と、休んでいる間の寮費や家賃、住まいの対応を解説します。

結論:使える制度を早めに伝え、休んでいる間の住まいの扱いを決めて安心させる

仕事中や通勤中のけがや病気は労災保険、仕事と関係のない病気やけがは、会社の健康保険に入っていれば傷病手当金で、休んでいる間の収入の一部が支えられます。

あわせて、休んでいる間も住まいに住み続けられること、寮費や家賃をどう支払うかを早めに本人に伝えましょう。住まいの不安を取り除くことが、治療に専念してもらうための大切な支援になります。

休んでいる間の収入を支える制度

制度 対象 内容
労災保険の休業補償 仕事中や通勤中のけがや病気 療養のために働けず、給料を受けられない日について、4日目から休業の補償が受けられる
健康保険の傷病手当金 仕事と関係のない病気やけがで、会社の健康保険に入っている人 連続して3日休んだあと、4日目から、給料のおおむね3分の2にあたる額が支給される

どちらも、外国籍の方であっても、条件を満たせば日本人と同じように受けられます。申請の手続きには会社や医師の書類が必要なため、受入れ企業の担当者が本人と一緒に進めましょう。支給の条件や期間の細かな内容は、労働基準監督署や加入している健康保険の窓口で確認してください。

仕事中のけがを隠させない

仕事中のけがなのに、労災保険を使わずに本人の健康保険で治療させたり、けがを報告しないよう求めたりすることは、してはいけません。外国籍スタッフは制度を知らないため、会社に言われるままになりがちです。仕事中や通勤中のけがは、必ず労災として扱いましょう。

休んでいる間の寮費と家賃

給料が減ったり出なくなったりすると、給料から差し引いていた寮費や家賃が差し引けなくなります。本人の生活が立ち行かなくならないよう、次のことを決めておきましょう。

  • 休んでいる間の寮費の扱い。寮費を一時的に減らすか、支払いを待つか、傷病手当金などが入ってから支払うかを、社宅の規程や本人との話し合いで決めます。
  • 給料から差し引けない月の支払い方法。口座振替や振込など、別の支払い方法を決めます。
  • 住み続けられることを伝える。休んでいることを理由に、すぐに寮を出てもらうことはしないのが基本です。

寮費を給料から差し引くときのルールは社宅の家賃を給料から差し引くとき|労使協定と課税の考え方、社宅の規程の作り方は外国籍スタッフの社宅規程の作り方|家賃負担・退去・備品のルールで解説しています。支払いが滞ってしまったときの対応は外国籍スタッフの家賃滞納が起きたとき|原因の聞き取りと支払いの立て直しをご覧ください。

入院中の住まいの管理

確認すること 内容
部屋の様子 冷蔵庫の食べ物、ゴミ、ガスの元栓、戸締まりを、本人の了解を得て確認する
郵便物 税金や保険の書類が届いていないか、本人の了解を得て確認する
必要なものを届ける 着替えや在留カード、保険証など、入院に必要なものを本人の依頼に応じて届ける
同居人への説明 ルームシェアの場合は、同居人に事情を伝え、共用部分の使い方を調整する

本人の部屋に入るときは、必ず本人の了解を得て、入った日時と目的を記録しておきましょう。記録の残し方は相談・苦情対応の記録の残し方|支援実施状況の確認に備えるで解説しています。

治療のための一時帰国や退職を考えるとき

長い治療が必要になると、本人や家族が、母国に帰って治療を受けたいと考えることもあります。一時帰国する場合は、在留期限と再入国の手続き、留守中の住まいの管理を確認しましょう。一時帰国するときの手続き|再入国の手続きと留守中の住まいの管理で解説しています。

退職することになった場合は、会社の健康保険から外れたあとの国民健康保険などの手続きが必要になります。派遣の仕事の切れ目の国民健康保険・国民年金|外国籍スタッフに伝える手続きも参照してください。退職したあとも、条件を満たせば傷病手当金を受け続けられる場合があります。

本人の言語で、何度でも説明する

病気やけがのときは、本人も不安で、説明を一度で理解するのは難しいものです。使える制度、必要な手続き、住まいの扱いを、本人の言語で書面にして渡し、何度でも説明しましょう。病院のかかり方や通訳の頼み方は病院のかかり方と健康保険|入国直後に伝えることで解説しています。一人で抱え込まないよう、地域の相談窓口も伝えておきます。外国籍スタッフの孤立を防ぐ|地域の交流の場や相談窓口につなぐも参照してください。

病気やけがで休むときのチェックリスト

  • ☐ 仕事中・通勤中か、仕事と関係ないかを確認し、使える制度を伝えた
  • ☐ 労災保険または傷病手当金の申請を、本人と一緒に進めた
  • ☐ 休んでいる間も住まいに住み続けられることを伝えた
  • ☐ 休んでいる間の寮費・家賃の扱いと支払い方法を決めた
  • ☐ 入院中の部屋の管理を、本人の了解を得て行い、記録した
  • ☐ ルームシェアの同居人に事情を伝えた
  • ☐ 制度と手続きを、本人の言語の書面で渡した

まとめ

  • 仕事中や通勤中のけがや病気は労災保険、仕事と関係のない病気やけがは傷病手当金で、休んでいる間の収入が支えられる
  • 外国籍の方も、条件を満たせば日本人と同じように受けられる。仕事中のけがは必ず労災として扱う
  • 休んでいる間の寮費や家賃の扱いを決め、住み続けられることを伝えて安心させる
  • 入院中の部屋の管理は、本人の了解を得て行い、記録を残す
  • 制度と手続きは、本人の言語の書面で、何度でも説明する

労災保険や傷病手当金の支給の条件や金額は、個々の状況によって異なります。具体的な手続きは、労働基準監督署や加入している健康保険の窓口、社会保険労務士にご確認ください。

次の段階 6. 届出・更新

このガイドの運営者

不動産のイブキ(伊吹株式会社)。外国籍スタッフの住まいの手配を全国で行っています。制度は改正されることがあるため、手続きの最終確認は出入国在留管理庁などの公式情報もあわせてご確認ください。