日本の賃貸住宅の契約は、2年ごとに更新する形が一般的です。一方、外国籍スタッフの在留期間は、在留資格や本人の状況によって1年、3年などさまざまで、賃貸の契約期間とは一致しません。在留期間の更新が許可されなかった、通算の在留期間の上限が来た、といった理由で、契約の途中で退去することになると、思わぬ費用がかかることがあります。
この記事では、在留期間と賃貸の契約期間のずれで起きやすい問題と、契約の前に確認しておきたい条件、期限をまとめて管理する方法を解説します。
結論:「途中で解約するとき」の条件を、契約の前に必ず確認する
在留期間と契約期間をぴったり合わせることは、ほとんどの場合できません。大切なのは、契約の途中で解約することになったときに、どのくらいの費用がかかるかを、契約の前に確認しておくことです。
確認したいのは、解約の予告期間、短期解約の違約金の有無、そして次のスタッフに住まいを引き継げるかの3つです。あわせて、スタッフごとに在留期限と住まいの契約の期限を一覧で管理しておくと、ずれによる損を防ぎやすくなります。
在留期間と契約期間のずれで起きやすいこと
| ケース | 起きやすい問題 |
|---|---|
| 在留期間の更新が許可されなかった | 短い期間で退去することになり、解約予告の期間の家賃や違約金がかかる |
| 特定技能1号の通算の上限が近い | 2号への移行、転職、帰国のどれになるかで、住まいを続けるかどうかが変わる |
| 契約の更新の直後に帰国が決まった | 払ったばかりの更新料が無駄になる |
| 在留期限の直前に部屋を探す | 在留期限が近いため、入居の審査で慎重に見られることがある |
| 受入れの期間が決まっている | 期間が終わったあとの住まいを、契約のどの時点で手放すかが問題になる |
在留期限が近いときの入居審査の考え方は外国籍の方の入居審査で必要な書類と、審査に通りやすくする準備、特定技能1号の通算の上限が近づいたときの考え方は通算5年が近づいた特定技能1号の選択肢|2号移行・転職・帰国で解説しています。
契約の前に確認したい条件
| 条件 | 確認したいこと |
|---|---|
| 解約の予告期間 | 解約を申し出てから何か月後に契約が終わるか。1か月前か2か月前かで、かかる家賃が変わる |
| 短期解約の違約金 | 入居から1年未満などで解約すると、違約金がかかる物件がある。金額と期間を確認する |
| 更新料と更新の時期 | 更新料の有無と金額。更新の時期が在留期限や帰国の予定と重ならないか |
| 入居者の入れ替え | 法人契約の場合、契約を続けたまま住むスタッフを入れ替えられるか |
| 契約の種類 | 普通の賃貸借契約か、期間が決まった定期借家契約か |
短期解約の違約金は見落としやすい
フリーレント(入居後の一定期間の家賃が無料)や初期費用の安い物件では、入居から1年未満などで解約すると、違約金がかかる条件が付いていることがあります。在留期間の更新の見通しが立たないスタッフの住まいでは、特に注意が必要です。契約書や重要事項説明書で、解約に関する条件を必ず確認しましょう。
契約の形の使い分け
| 契約の形 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|
| 法人契約(借上げ社宅) | 同じ地域で継続して受け入れる。入居者が替わっても住まいを使い続けたい | 空室になっている期間も家賃がかかる |
| 本人契約 | 日本での生活が長く、在留期間が安定している人 | 途中で解約するときの費用は本人が負担することになる |
| 定期借家契約 | 受入れの期間があらかじめ決まっている | 期間が終わると契約も終わる。住み続けるには再契約が必要で、貸主次第 |
| 家具付きの短期の住まい | 入国直後のつなぎや、数か月だけの受入れ | 月あたりの費用は割高になりやすい |
法人契約で同じ地域に継続して受け入れる場合は、あるスタッフが帰国しても次のスタッフが住むことで、在留期間と契約期間のずれを吸収できます。借上げと本人契約の違いは借上げ社宅と本人契約、どちらを選ぶ?費用・手間・退去時の違いで解説しています。
在留期間の更新と住まいの手続き
在留期間の更新が許可されても、賃貸の契約を結び直す必要は通常ありません。ただし、管理会社や保証会社から、新しい在留カードの写しの提出を求められることがあります。更新が許可されたら、新しいカードの写しを管理会社に出す流れを決めておきましょう。
在留期間の更新の準備は特定技能1号の在留期間更新|必要書類と早めに準備したいこと、社宅の契約の更新は社宅の更新手続き|2年ごとの更新料と在留期限の確認で解説しています。更新が許可されなかったときの住まいの整理は在留資格の変更・更新が不許可になったとき|住まいと今後の選択肢をご覧ください。
期限をまとめて管理する
スタッフが複数いる場合は、在留の期限と住まいの契約の期限を、一つの表にまとめて管理すると、ずれに早く気づけます。
| 管理する項目 | 例 |
|---|---|
| 在留期間の満了日 | 在留カードの表面で確認する |
| 在留カードの有効期間 | 在留期間の満了日とは別に確認する |
| 通算の在留期間の上限(特定技能1号など) | 上限に達する時期の見込み |
| 住まいの契約の満了日・更新日 | 契約書で確認する |
| 解約の予告期間 | 1か月前、2か月前など |
| 短期解約の違約金の期間 | 入居から1年未満など |
在留期限の数か月前と、住まいの契約の更新の数か月前に、それぞれ確認する時期を決めておくと、更新料を払った直後に帰国が決まる、といった事態を防ぎやすくなります。在留カードの見方は在留カードの見方|就労制限・在留期限・住所欄で確認することで解説しています。
育成就労の受入れも見据えて
2027年4月から始まる育成就労の制度では、原則3年間で人材を育てることが想定されています。受入れの期間の見通しが立てやすい一方、その後に特定技能へ移行するか、帰国するかで住まいの扱いが変わります。制度の開始に向けた住まいの考え方は育成就労制度で住居の確保はどう変わる?2027年4月の開始前に確認したいことで解説しています。
在留期間と契約期間のチェックリスト
- ☐ スタッフの在留期間の満了日と、通算の上限の時期を確認した
- ☐ 解約の予告期間を確認した
- ☐ 短期解約の違約金の有無と期間を確認した
- ☐ 更新料と更新の時期を確認した
- ☐ 法人契約の場合、入居者を入れ替えられるか確認した
- ☐ 受入れの期間が決まっている場合、定期借家なども検討した
- ☐ 在留期限と住まいの契約の期限を、一つの表で管理している
- ☐ 在留期間が更新されたら、新しい在留カードの写しを管理会社に出す流れを決めた
まとめ
- 賃貸の契約期間と在留期間は一致しないことが多い。ずれを前提に考える
- 契約の前に、解約の予告期間、短期解約の違約金、入居者の入れ替えの可否を確認する
- 同じ地域で継続して受け入れる場合は、法人契約で入居者を入れ替えることで、ずれを吸収できる
- 受入れの期間が決まっている場合は、定期借家や短期の住まいも選択肢になる
- 在留期限と住まいの契約の期限を一つの表で管理し、確認する時期を決めておく
解約の条件や更新料は、物件や地域によって異なります。具体的な条件は、契約書や重要事項説明書で確認し、管理会社にもご相談ください。