段階5 就労開始後の支援

外国籍スタッフの孤立を防ぐ|地域の交流の場や相談窓口につなぐ

外国籍スタッフの中には、仕事が終わると住まいに戻り、休みの日も部屋で過ごすだけ、という人が少なくありません。言葉の壁や、知り合いがいないこと、どこに行けばよいか分からないことから、職場と住まいの往復だけで日本での生活が過ぎていきます。こうした孤立は、本人の心身の不調や、困りごとを誰にも相談できない状態、そして離職につながることがあります。

この記事では、外国籍スタッフの孤立のサインと、地域の交流の場や相談窓口につなぐための支援の進め方を解説します。

結論:「職場と住まい以外の居場所」を一つでもつくる

孤立を防ぐために大切なのは、職場と住まい以外に、本人が安心して過ごせる場所や、話せる相手を一つでもつくることです。地域の日本語教室、国際交流協会の催し、同じ国の人のコミュニティ、宗教の施設、スポーツのサークルなど、本人の関心に合った場所を案内しましょう。

特定技能外国人の支援では、日本人との交流を促すための支援が、受入れ企業が行うべき支援の一つとされています。地域の行事を案内したり、参加を手伝ったりすることは、制度上の支援としても大切な取り組みです。

孤立のサインに気づく

気づける場面 サインの例
職場 休憩時間にいつも一人でいる。表情が暗い。遅刻や欠勤が増えた
面談 「困っていることはない」としか答えない。休みの日の過ごし方を聞いても「部屋にいる」だけ
住まい 部屋が散らかっている。食事をきちんととっていない様子がある。カーテンを閉め切っている
連絡 メッセージへの返事が遅くなった、来なくなった

こうしたサインに気づいたら、一度ゆっくり話を聞く時間をつくりましょう。面談では、仕事のことだけでなく「休みの日に何をしているか」「誰と話しているか」を聞くと、本人の生活の様子が見えてきます。面談の進め方は定期面談の進め方とチェック項目|住まい・生活の困りごとの聞き方で解説しています。

心身の不調が疑われるときは、専門の窓口へ

眠れない、食べられない、気持ちが落ち込んで仕事に行けない、といった状態が続いている場合は、支援担当者だけで抱え込まず、医療機関や専門の相談窓口につなぎましょう。外国語で相談できる窓口や、通訳を頼める医療機関もあります。病院のかかり方は病院のかかり方と健康保険|入国直後に伝えることで解説しています。

地域の交流の場につなぐ

交流の場 特徴
地域の日本語教室 日本語を学びながら、地域のボランティアや同じ立場の外国人と知り合える
国際交流協会の催し 料理教室、季節の行事、交流会などが開かれている
地域の祭りや行事 自治会や町内会の夏祭り、清掃活動などに参加すると、近所の人と顔見知りになれる
同じ国の人のコミュニティ 母国語で話せる安心感がある。生活の情報も得やすい
宗教の施設 礼拝や行事を通じて、同じ信仰を持つ人とつながれる
スポーツや趣味のサークル 言葉が十分でなくても参加しやすい

案内するときは、場所や日時を伝えるだけでなく、最初の一回は支援担当者が一緒に行く、行き方を地図で示すなど、参加の最初のハードルを下げる工夫をしましょう。日本語教室の探し方は日本語学習の機会の提供|支援として何をすればよいかで解説しています。

住まいの周りでのつながりをつくる

住まいは、地域とのつながりの入口にもなります。近所の人と顔見知りになっておくと、困ったときに助けてもらえたり、生活のルールを教えてもらえたりします。

  • 入居のときにあいさつをする。両隣や上下の部屋の人に、支援担当者と一緒にあいさつに行くと、その後の関係がつくりやすくなります。
  • 自治会や町内会の活動を知る。ゴミ置き場の当番や清掃活動など、地域の決まりがあれば参加の方法を伝えます。
  • 防災訓練に参加する。地域の防災訓練は、近所の人と知り合い、災害時の行動を学べる機会です。防災の準備は災害への備え|住まいの防災と安否確認の準備を参照。

近所との関係は、住まいのルールが守れているかどうかにも左右されます。ゴミ出しや騒音のルールを入居時に伝えておくことは、トラブルを防ぐだけでなく、地域に受け入れてもらう土台にもなります。説明のポイントは生活オリエンテーションで伝えたい住まいのルール|ゴミ出し・騒音・家賃の支払いでまとめています。

住まいの選び方も孤立に影響する

駅や町の中心から離れた住まいは、通勤には便利でも、休みの日に出かけにくく、孤立しやすい環境になることがあります。また、来日直後に一人で1Kに住むと、相談できる相手が身近にいないこともあります。住まいを選ぶときは、通勤だけでなく、買い物や交流の場への行きやすさも考えましょう。住まいの形の考え方は社宅は1Kとルームシェア、どちらで用意する?費用と定着で比べる選び方、職場の周りの環境の確認は受入れ前に確認したい職場周辺の住環境|物件が少ない地域の見極め方で解説しています。

相談窓口を伝えておく

本人が支援担当者や職場に言いにくいことを相談できるよう、外部の相談窓口も伝えておきましょう。

相談窓口 相談できること
外国人在留総合インフォメーションセンター(0570-013904) 在留の手続きなどについて、外国語でも相談できる
自治体の外国人相談窓口 生活全般の相談。多くの自治体で、外国語での相談に対応している
国際交流協会 生活の相談や、交流の場の案内
母国の大使館・領事館 パスポートの手続きや、母国の家族との連絡など

窓口の連絡先は、住まいのルールの資料などにまとめて、本人がいつでも見られるようにしておくと安心です。対応した相談は、記録に残しておきましょう。記録の残し方は相談・苦情対応の記録の残し方|支援実施状況の確認に備えるで解説しています。

孤立を防ぐためのチェックリスト

  • ☐ 面談で、休みの日の過ごし方や、話せる相手がいるかを聞いた
  • ☐ 職場や住まいでの孤立のサインに気を配っている
  • ☐ 地域の日本語教室や国際交流協会の催しを案内した
  • ☐ 最初の参加に付き添うなど、参加のハードルを下げた
  • ☐ 入居のときに、近所の人へのあいさつを手伝った
  • ☐ 自治会の活動や防災訓練など、地域の行事を伝えた
  • ☐ 外部の相談窓口の連絡先を伝えた
  • ☐ 心身の不調が疑われるときは、医療機関や専門の窓口につないだ

まとめ

  • 職場と住まいの往復だけの生活は孤立につながりやすい。職場と住まい以外の居場所を一つでもつくる
  • 面談や住まいの様子から、孤立のサインに気づけるよう気を配る
  • 日本語教室、国際交流協会、地域の行事、同じ国の人のコミュニティなど、本人の関心に合った場を案内する
  • 入居のときのあいさつや、自治会・防災訓練への参加は、近所とのつながりの入口になる
  • 外部の相談窓口を伝え、心身の不調が疑われるときは専門の窓口につなぐ

交流の場や相談窓口は、地域によって異なります。住んでいる市区町村や国際交流協会のウェブサイトで、利用できるものを確認してください。

次の段階 6. 届出・更新

このガイドの運営者

不動産のイブキ(伊吹株式会社)。外国籍スタッフの住まいの手配を全国で行っています。制度は改正されることがあるため、手続きの最終確認は出入国在留管理庁などの公式情報もあわせてご確認ください。