段階3 住まいの確保

社宅の鍵の管理|合鍵・紛失・入居者が替わるときの交換

「夜中に鍵をなくして部屋に入れない」「退去した人が鍵を返さないまま帰国した」「前の入居者の鍵がまだ使える状態になっている」。社宅の鍵をめぐるトラブルは、小さなことに見えて、防犯や費用の面で大きな問題につながることがあります。特に、入居者が入れ替わることの多い外国籍スタッフの社宅では、鍵の管理の仕組みを決めておくことが大切です。

この記事では、社宅の鍵の管理で決めておきたいことと、鍵をなくしたとき、入居者が替わるときの対応を解説します。

結論:「本数の記録」「予備の鍵のルール」「交換の判断」の3つを決めておく

鍵のトラブルを防ぐには、入居のときに渡した鍵の本数を記録する、会社が予備の鍵を持つ場合の使い方を決める、入居者が替わるときに鍵を交換するかどうかを決める、の3つが基本です。

あわせて、鍵をなくしたときの連絡先と、費用を誰が負担するかを社宅のルールに書いておくと、トラブルが起きたときに迷わず対応できます。

入居のときに決めておくこと

項目 内容
渡す鍵の種類と本数 玄関、郵便受け、駐輪場、オートロックのカードなど、すべての鍵の種類と本数を記録し、本人に署名をもらう
合鍵を作ってよいか 賃貸の契約で、無断で合鍵を作ることが禁止されていることが多い。本人に伝えておく
他人に貸さない 友人や知人に鍵を貸さない、渡さないことを伝える
なくしたときの連絡先 夜間や休日も含めた連絡先を伝える
費用の負担 本人の不注意でなくした場合の、鍵の交換や鍵開けの費用の負担を決める

鍵の本数は、入居時の部屋の記録と一緒に残しておくと、退去のときの確認がスムーズです。記録の作り方は入居時の部屋の写真記録とチェックシートの作り方で解説しています。費用の負担のルールは外国籍スタッフの社宅規程の作り方|家賃負担・退去・備品のルールにあわせて書いておきましょう。

複製できない鍵もある

最近の物件では、ディンプルキーなど、合鍵を作るのに登録カードや所有者の申込みが必要な鍵が増えています。こうした鍵は、街の鍵屋ですぐに複製することができず、追加や交換に時間と費用がかかります。鍵の種類も、入居のときに確認しておきましょう。

会社が予備の鍵を持つ場合のルール

借上げ社宅では、急な病気や安否の確認、設備の故障などに備えて、会社が予備の鍵を持つことがあります。ただし、本人が住んでいる部屋に会社が自由に入れるわけではありません。予備の鍵を持つ場合は、次のようなルールを決め、本人にも伝えておきましょう。

  • 予備の鍵を使うのは、本人と連絡が取れず、安否の確認が必要なときなど、緊急の場合に限る
  • 緊急の場合を除き、部屋に入る前に本人の了解を得る
  • 部屋に入ったときは、日時と理由を記録し、本人に伝える
  • 予備の鍵を保管する場所と、持ち出せる人を決める

住まいの様子を確認するための訪問も、本人の了解を得て、本人がいるときに行うのが基本です。訪問の進め方は寮・社宅の見回り訪問のしかた|確認するポイントと記録で解説しています。また、登録支援機関が予備の鍵を預かっている場合は、委託先を変えるときに鍵の引き継ぎが漏れないよう注意しましょう。登録支援機関を変更するとき|手続きと住まいの引き継ぎも参照してください。

鍵をなくしたとき、閉め出されたとき

状況 対応
部屋に入れない(閉め出し) 同居人や会社の予備の鍵で開けられないか確認する。開けられない場合は、管理会社や鍵の業者に連絡する
鍵をなくした 管理会社に連絡し、鍵の交換が必要かを相談する。郵便受けやオートロックの鍵も一緒になくしていないか確認する
盗まれた可能性がある 警察に届け出たうえで、すぐに鍵を交換する。住所の分かるものと一緒になくした場合は特に急ぐ

夜間に閉め出された場合、鍵開けの業者を呼ぶと、時間帯によっては高い費用がかかります。火災保険や保証会社の付帯サービスに、鍵のトラブルへの対応が含まれていることもあるため、契約の内容を確認しておきましょう。本人が自分で業者を探すと、高額な請求を受けるおそれもあります。まず支援担当者か管理会社に連絡するよう伝えておくことが大切です。

鍵をなくしたら、交換を前提に考える

なくした鍵がどこで誰の手に渡ったかは分かりません。財布やかばんごとなくし、住所の分かる在留カードなどと一緒に鍵が渡った場合は、空き巣などの被害につながるおそれがあります。費用はかかりますが、鍵の交換を前提に管理会社と相談しましょう。防犯の基本は住まいの防犯と詐欺への注意|鍵・訪問販売・電話で解説しています。

入居者が替わるときの鍵の交換

借上げ社宅では、会社が同じ部屋を借り続けたまま、住むスタッフだけが入れ替わることがあります。この場合、賃貸の契約は続いているため、新しい入居者のために鍵が自動的に交換されるわけではありません。

  • すべての鍵が返ってきたか確認する。入居のときの記録と照らし合わせて、本数がそろっているかを確認します。
  • そろっていない場合は交換する。返ってこない鍵があれば、次の入居者の安全のために交換を検討します。
  • そろっていても交換を検討する。前の入居者が合鍵を作っていた可能性もあります。費用と防犯のどちらを優先するかを、会社として決めておきましょう。
  • 暗証番号を変える。暗証番号で開ける鍵や、オートロック、郵便受けのダイヤルは、入居者が替わるたびに番号を変えます。

鍵の交換の費用を誰が負担するかは、貸主との契約や会社の規程によって変わります。交換するときは、事前に管理会社に相談しましょう。

ルームシェアの場合

ルームシェアでは、住む人数分の鍵が必要です。1人が退去するときは、その人の鍵を必ず回収します。同居人どうしで鍵を貸し借りしたり、退去した人が鍵を持ったままになったりしないよう、鍵の本数と持ち主を一覧にしておきましょう。住まいの形の考え方は社宅は1Kとルームシェア、どちらで用意する?費用と定着で比べる選び方で解説しています。

退去・帰国のときの鍵の返却

退職や帰国が決まったら、鍵の返却の日と方法を早めに決めておきます。出国の当日に慌てて返し忘れることのないよう、退去の立ち会いのときに、入居時の記録と照らし合わせてすべての鍵を受け取りましょう。退去の段取りは退職・帰国が決まったら|届出と住まいの退去の段取りで解説しています。

鍵の管理のチェックリスト

  • ☐ 入居のときに、鍵の種類と本数を記録し、本人の署名をもらった
  • ☐ 合鍵を勝手に作らない、他人に貸さないことを伝えた
  • ☐ 夜間・休日も含めた、鍵をなくしたときの連絡先を伝えた
  • ☐ 鍵の交換や鍵開けの費用の負担を、社宅のルールに書いた
  • ☐ 会社が予備の鍵を持つ場合の使い方を決め、本人に伝えた
  • ☐ 火災保険や保証会社の付帯サービスに、鍵のトラブル対応があるか確認した
  • ☐ 入居者が替わるときに、鍵の回収と交換、暗証番号の変更をした
  • ☐ 退去のときに、すべての鍵を受け取った

鍵の扱いのルールは、住まいのルールの資料にも載せておくと、本人が見返すことができます。資料の作り方は外国籍スタッフ向け住まいのルール資料の作り方|多言語化のコツで解説しています。

まとめ

  • 入居のときに、鍵の種類と本数を記録し、合鍵を作らない・貸さないことを伝える
  • 会社が予備の鍵を持つ場合は、緊急時に限って使うなどのルールを決め、本人に伝える
  • 鍵をなくしたら、まず支援担当者か管理会社に連絡するよう伝える。盗まれた可能性があれば交換を急ぐ
  • 入居者が替わるときは、鍵の回収と交換、暗証番号の変更を検討する
  • 退去や帰国のときは、入居時の記録と照らし合わせて、すべての鍵を受け取る

鍵の交換の可否や費用の負担は、賃貸の契約の内容によって異なります。具体的な対応は、管理会社や貸主に確認してください。

次の段階 4. 入国・生活の立ち上げ

このガイドの運営者

不動産のイブキ(伊吹株式会社)。外国籍スタッフの住まいの手配を全国で行っています。制度は改正されることがあるため、手続きの最終確認は出入国在留管理庁などの公式情報もあわせてご確認ください。