段階1 受入れ決定・準備

事前ガイダンスで説明すること|住まいと生活費をどう伝えるか

特定技能外国人の受入れでは、雇用契約を結んだあと、在留資格の申請をする前に「事前ガイダンス」を行います。説明する項目が多く、つい労働条件の説明が中心になりがちですが、入国後の不満や早期の離職につながりやすいのは、実は住まいとお金の話です。

この記事では、事前ガイダンスの基本と説明する項目を整理したうえで、住まいと生活費をどう伝えれば入国後の「聞いていなかった」を防げるかを、手取りの計算例とあわせて解説します。

結論:住まいは「写真と金額」、生活費は「手元に残る額」で伝える

事前ガイダンスでは、住まいについて「社宅を用意します」と伝えるだけでは足りません。どんな部屋に、誰と住み、毎月いくら負担するのかを、写真や具体的な金額で伝えることが大切です。

生活費も同じです。給与の額面だけを伝えると、本人は全額が手元に残ると考えがちです。税金や保険料、家賃などを差し引いて毎月いくら手元に残るのかを示しておくと、入国後のギャップを小さくできます。

事前ガイダンスの基本

項目 内容
時期 雇用契約を結んだあと、在留資格の申請(認定証明書の交付申請や変更申請)の前
方法 対面またはテレビ電話など。書類を送るだけでは足りない
言語 本人が十分に理解できる言語。必要に応じて通訳を手配する
時間の目安 運用要領では3時間程度が目安とされている
確認 説明を受けたことを本人に確認してもらい、記録を残す

事前ガイダンスは義務的支援の一つで、登録支援機関に委託することもできます。受入れ全体の中での位置づけは、特定技能外国人の受入れスケジュール|内定から入社まで何か月かかる?で確認できます。

事前ガイダンスで説明する主な項目

  • 仕事の内容、報酬の額、労働時間、休日などの労働条件
  • 日本で行うことができる活動の内容
  • 入国の手続き(在留資格の申請、査証の申請など)
  • 保証金や違約金の契約を結ばされていないこと
  • 支援にかかる費用を本人に負担させないこと
  • 入国時の空港への出迎え
  • 住居の確保の支援の内容
  • 相談や苦情を受け付ける窓口

このうち住居の確保は、支援計画に書いた内容と一致させて説明します。支援計画の書き方は支援計画の「住居確保」欄の書き方|3つの方式ごとの記載例で解説しています。

住まいの伝え方

住まいについては、次の項目を具体的に伝えましょう。まだ物件が決まっていない場合も、決まっていることと、これから決まることを分けて説明します。

伝える項目 伝え方の例
住まいの方式 会社が借りた部屋に住む(借上げ社宅)のか、本人が契約するのか
場所と通勤 職場までの距離と通勤手段(徒歩、自転車、送迎など)
部屋の様子 間取りや外観の写真。個室か相部屋か、何人で住むか
毎月の負担額 家賃、共益費、光熱費のうち本人が負担する金額と、給与から差し引くかどうか
用意されているもの 寝具、冷蔵庫、洗濯機など、入居時に部屋にあるもの
入居の時期 入国した日から住めるかどうか
退去のとき 退職したら退去が必要か、退去時に費用がかかることがあるか

相部屋になる場合は、特に丁寧に伝えましょう。母国で個室を想像していた人が、来日して相部屋だと知ると、大きな不満につながります。借上げ社宅と本人契約の違いは借上げ社宅と本人契約、どちらを選ぶ?費用・手間・退去時の違い、部屋に用意するものは家具・家電はどこまで用意する?最低限そろえたい生活用品リストを参考にしてください。

車がないと生活しにくい地域に住む場合は、通勤や買い物の手段もあわせて伝えておきます。地方での注意点は車通勤が前提の地域での住まい探し|地方の受入れで気をつけることで解説しています。

生活費の伝え方:手元に残る額を示す

給与から差し引かれるものと、毎月かかる生活費を並べて、手元にいくら残るかを本人と一緒に計算すると伝わりやすくなります。次のような表を、本人の雇用条件と住まいの条件に合わせて作ってみましょう。

項目 金額(毎月) 説明のポイント
給与(額面) 〇〇円 残業の有無で変わることも伝える
社会保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険) -〇〇円 病院代が安くなる、将来の年金になる、など意味も説明する
所得税 -〇〇円 給与の額によって変わる
住民税 -〇〇円(2年目から) 来日した年の翌年の6月ごろから差し引かれ始めることが多い
家賃・共益費(本人負担分) -〇〇円 給与から差し引くか、自分で払うか
光熱費 -〇〇円 夏と冬は高くなることも伝える
携帯電話・インターネット -〇〇円 契約するプランで変わる
食費・日用品 -〇〇円 自炊するかどうかで大きく変わる
手元に残る額 〇〇円 貯金や家族への送金に回せる額の目安

2年目からの住民税は特に伝えておく

住民税は前の年の収入をもとに計算されるため、来日1年目はかからず、2年目から給与から差し引かれ始めることが多くあります。1年目と同じ手取りが続くと思っていた人にとっては、急に手取りが減ったように感じられ、不満や誤解のもとになります。事前ガイダンスの段階で伝えておきましょう。

伝わる説明にするためのコツ

  • 資料は本人の言語で渡す。口頭の説明だけでは忘れてしまいます。金額の表や部屋の写真は、本人が見返せる形で渡しましょう。
  • 理解できたか質問で確かめる。「毎月の家賃はいくらですか」「住民税はいつから引かれますか」など、本人に答えてもらう形で確認します。
  • 本人からの質問の時間をとる。送金や貯金の予定、家族のことなど、本人が気にしていることを聞くと、説明すべき点が見えてきます。
  • 入国後にもう一度説明する。事前ガイダンスで伝えた住まいのルールやお金の話は、生活オリエンテーションでも繰り返し伝えます。入居後の説明のポイントは生活オリエンテーションで伝えたい住まいのルール|ゴミ出し・騒音・家賃の支払いでまとめています。

まとめ

  • 事前ガイダンスは、雇用契約のあと在留資格の申請前に、本人が理解できる言語で行う
  • 書類を送るだけでは足りず、対面またはテレビ電話などで説明する
  • 住まいは、方式、場所と通勤、部屋の写真、毎月の負担額、退去時のことまで具体的に伝える
  • 生活費は、税金や保険料、家賃を差し引いた手元に残る額で示す
  • 2年目から住民税が差し引かれ始めることは、事前に伝えておく

事前ガイダンスの実施方法や説明する項目の細目は、運用要領の改訂で変わることがあります。最終的な確認は、出入国在留管理庁の最新情報をご確認ください。

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このガイドの運営者

不動産のイブキ(伊吹株式会社)。外国籍スタッフの住まいの手配を全国で行っています。制度は改正されることがあるため、手続きの最終確認は出入国在留管理庁などの公式情報もあわせてご確認ください。