外国籍スタッフの寮で、朝食や夕食を出したり、仕事の日に弁当を手配したりする会社があります。来日して間もないスタッフにとって、食事の心配がないことは大きな安心になり、生活が安定すれば仕事にも集中しやすくなります。
一方で、食費の決め方を誤ると本人の不満につながったり、税金や社会保険料の扱いを見落としたりすることがあります。この記事では、寮で食事を出すときの費用の決め方と、税金・社会保険の考え方、食習慣への配慮を解説します。
結論:食費は実際の費用の範囲で決め、本人が選べるようにして、食習慣に配慮する
寮で食事を出す場合、本人から受け取る食費は実際にかかった費用の範囲にとどめ、内容と金額を本人が理解し、合意していることが大切です。特定技能では、このことが特に求められます。
また、食事は好みや宗教、勤務の時間によって合う・合わないがあります。食事を付けるかどうかを本人が選べるようにすることと、食べられない物への配慮を忘れないようにしましょう。
食事の出し方の例と、費用の考え方
| 出し方 | 費用の考え方 | 注意したい点 |
|---|---|---|
| 弁当などを業者から取り寄せる | 弁当の購入の費用が上限の目安 | 宗教や好みに合う弁当を選べるか |
| 会社の食堂を使う | ほかの従業員が払っている額と同じにする | 外国籍スタッフだけ高くしない |
| 寮で調理して出す | 食材、水道光熱費、調理の人件費などの実際の費用が上限の目安 | 衛生管理と、調理する人の確保 |
| 食材を配る | 食材の購入の費用が上限の目安 | 本人が自分で調理できる設備があるか |
特定技能で本人から受け取る費用の考え方は特定技能の受入れにかかる費用の内訳|本人に負担させてはいけない費用、給料から差し引くときのルールは社宅の家賃を給料から差し引くとき|労使協定と課税の考え方で解説しています。
食事付きを強制しない
寮に住む人は全員食事付き、と決めて食費を差し引くと、食事が合わない人や、勤務の時間が合わず食べられない人にとっては、使わない食事にお金を払うことになります。食事を付けるかどうかを本人が選べるようにし、選んだ人だけから食費を受け取る形にすると、不満を防げます。
税金と社会保険の扱い
| 項目 | 考え方 |
|---|---|
| 所得税 | 会社が食事を出すと、その分が給料として課税されることがある。本人が食事の価額の半分以上を払い、会社の負担が一定の額以下であれば、課税されない扱いがある |
| 社会保険料 | 会社が出す食事は、現物の報酬として扱われることがある。都道府県ごとに定められた食事の価額をもとに、本人の負担の額に応じて判断する |
| 給料からの差し引き | 食費を給料から差し引く場合は、労使協定で差し引く項目として決めておく |
非課税となる条件の金額や、社会保険の食事の価額は、見直されることがあります。最新の基準は、国税庁や日本年金機構の案内で確認し、迷う場合は税理士や社会保険労務士に相談しましょう。住まいの費用の税金の扱いは住宅手当を出すか、社宅を用意するか|外国籍スタッフの住まいの費用を会社が負担するときの考え方も参考になります。
食習慣への配慮
- 食べられない物を聞く。宗教の理由で豚肉やお酒を使った料理を食べない人、牛肉を食べない人、肉や魚を食べない人などがいます。入居前に確認しておきます。
- 表示を分かりやすくする。弁当や料理に何が使われているかを、絵や写真、本人の言語で示します。
- 断食の時期に配慮する。日中に食事をとらない時期がある人には、食事の時間や受け取り方を相談します。
- 勤務の時間に合わせる。夜勤や早番の人が食べられる時間に、食事を用意できるか考えます。
宗教や食習慣への配慮は宗教や食習慣への配慮と住まい|キッチン・におい・お祈りの場所で詳しく解説しています。
食中毒や感染症への備えも
寮で調理して食事を出す場合、食中毒が起きると多くの入居者が同時に体調を崩し、仕事にも影響します。調理する場所の衛生管理、食材の保管、手洗いの習慣を徹底しましょう。食品工場で働くスタッフの場合は、寮の衛生が職場の衛生に直結します。食品工場で働く外国籍スタッフの住まい|深夜・早朝のシフトと、寮の衛生管理が仕事に直結する理由、寮で感染症が出たとき|発熱した人の休ませ方、ルームシェアでの部屋の分け方、結核への対応もご覧ください。
自炊を選ぶ人のために、台所の環境も整える
食事付きを選ばない人や、休みの日に自分で料理をしたい人のために、寮の台所の設備や使い方のルールも整えておきましょう。母国の料理を作れることは、慣れない土地での暮らしの支えになります。共用の台所のルールは寮の共用部分のルールづくり|キッチン・浴室・洗濯機の使い方と当番の決め方、旅館やホテルの従業員寮で食事が付く場合の注意は旅館・ホテルで働く外国籍スタッフの住まい|観光地の物件不足・中抜け勤務・従業員寮の見直しをご覧ください。
寮で食事を出すときのチェックリスト
- ☐ 食事を付けるかどうかを、本人が選べるようにした
- ☐ 食費は実際の費用の範囲で決め、内訳を説明した
- ☐ 特定技能の場合、本人が内容を理解して合意したことを書面で残した
- ☐ 食費を給料から差し引く場合、労使協定で決めている
- ☐ 所得税と社会保険料の扱いを確認した
- ☐ 食べられない物を入居前に確認した
- ☐ 料理の内容を、絵や本人の言語で示している
- ☐ 調理する場所の衛生管理を決めた
まとめ
- 寮で食事を出すときは、食費を実際の費用の範囲で決め、本人の理解と合意を得る
- 食事付きを強制せず、本人が選べるようにする
- 会社が出す食事は、所得税や社会保険料の対象になることがあるため、基準を確認する
- 宗教や食習慣、勤務の時間に配慮し、食べられない物を前もって確認する
- 調理して出す場合は、食中毒を防ぐ衛生管理を徹底する
食費の扱いや税金・社会保険の基準は、見直されることがあり、個々の事情によっても判断が変わります。具体的な扱いは、国税庁や日本年金機構の案内、税理士や社会保険労務士にご確認ください。