段階5 就労開始後の支援

外国籍スタッフの妊娠・出産と住まい|手続きの流れと寮からの住み替え

外国籍スタッフから妊娠の報告を受けたとき、受入れ企業や支援担当者はどう対応すればよいか戸惑うことがあります。本人も、言葉の壁や制度の分からなさから、「仕事を辞めなければならないのでは」「帰国しなければならないのでは」と不安を抱えていることが少なくありません。

この記事では、外国籍スタッフの妊娠・出産のときに、支援担当者が知っておきたい基本的な考え方と手続き、寮やルームシェアからの住み替えの考え方を解説します。

結論:まず本人を安心させ、制度と手続きを伝え、住まいを早めに見直す

妊娠や出産を理由に、解雇したり、退職や帰国を求めたりすることは、法律で禁止されています。これは外国籍のスタッフでも同じです。まず本人に、働き続けられること、使える制度があることを伝えて安心させることが大切です。

そのうえで、出産前後の手続きと、日本で生まれた子どもの在留資格の手続きを確認し、寮やルームシェアから、子どもと暮らせる住まいへの住み替えを早めに考えましょう。

妊娠の報告を受けたら

  • 本人の話を聞く。体調、出産の予定、日本で産むか母国で産むか、家族の状況などを、本人が理解できる言語で聞きます。
  • 不利益な扱いをしないことを伝える。妊娠や出産を理由に、解雇や退職の強要、帰国の強要をしないことを、会社としてはっきり伝えます。
  • 仕事の内容を見直す。体に負担のかかる作業がある場合は、医師の指導などに沿って、仕事の内容や時間を調整します。
  • 病院につなぐ。妊婦健診を受けられる病院を案内し、母子健康手帳の受け取りなど、市区町村での手続きを手伝います。病院のかかり方は病院のかかり方と健康保険|入国直後に伝えることを参照。

妊娠を理由にした不利益な扱いは禁止

妊娠や出産を理由に、解雇したり、契約を更新しなかったり、退職や帰国を求めたりすることは、法律で禁止されています。外国籍のスタッフは、こうした扱いを受けても声を上げにくい立場にあります。本人が安心して相談できるよう、会社としての姿勢を伝えましょう。

出産前後に使える主な制度

制度 内容
産前産後の休業 出産の前後に休業できる。外国籍のスタッフも同じように使える
出産育児一時金 加入している健康保険から、出産の費用にあてる一時金が支給される
出産手当金 会社の健康保険に入っている人が、出産のために休んで給料が出ない期間に支給される
育児休業 要件を満たせば、子どもが一定の年齢になるまで休業できる
児童手当 日本に住んで子どもを育てている人は、申請により受け取れる

それぞれの要件や金額、申請の方法は、加入している健康保険や市区町村の窓口で確認しましょう。休業中の収入と寮費の扱いの考え方は病気やけがで働けなくなったとき|外国籍スタッフの収入の支えと住まいの対応も参考になります。

日本で生まれた子どもの手続き

手続き 期限の目安 届け出る先
出生届 生まれた日から14日以内 市区町村
子どものパスポート なるべく早く 本人の国の大使館・領事館
在留資格の取得の申請 生まれた日から30日以内(60日を超えて日本にいる場合) 住んでいる地域を管轄する地方出入国在留管理官署

子どもにどの在留資格が認められるかは、親の在留資格によって変わります。親の在留資格によっては、子どもの在留の手続きが難しくなることもあるため、早めに出入国在留管理庁や行政書士などの専門家に相談しましょう。結婚のときの在留資格の考え方は外国籍スタッフが結婚したとき|在留資格・届出と社宅での同居の考え方で解説しています。

寮やルームシェアからの住み替え

寮やルームシェアは、単身のスタッフが住むことを前提にしていることが多く、子どもと暮らすには向いていません。出産の時期に合わせて、子どもと暮らせる住まいへの住み替えを考えましょう。

家族で暮らす住まい選びは家族と暮らす外国籍スタッフの住まい選び|学区・保育園・広さの考え方で解説しています。寮の規程で家族の同居をどう扱うかは外国籍スタッフ向け寮規程の条文例|派遣会社・受入れ企業がそのまま使えるひな形も参考にしてください。

出産を一人で迎えさせない

母国から離れて出産する外国籍スタッフは、頼れる家族が近くにいないことも多く、不安を抱えがちです。地域の子育ての支援や、同じ国の人のコミュニティ、外国語で相談できる窓口につなぐことも大切な支援です。外国籍スタッフの孤立を防ぐ|地域の交流の場や相談窓口につなぐもご覧ください。

妊娠・出産のときのチェックリスト

  • ☐ 本人の話を聞き、働き続けられることと使える制度を伝えた
  • ☐ 妊娠を理由にした不利益な扱いをしないことを、会社として確認した
  • ☐ 仕事の内容や時間を、必要に応じて調整した
  • ☐ 病院と、市区町村での手続きを案内した
  • ☐ 産前産後の休業、出産育児一時金などの手続きを確認した
  • ☐ 出生届と子どもの在留資格の手続きの期限を伝えた
  • ☐ 子どもと暮らせる住まいへの住み替えの時期を決めた

まとめ

  • 妊娠や出産を理由にした解雇や退職・帰国の強要は禁止されている。まず本人を安心させる
  • 産前産後の休業、出産育児一時金、出産手当金などの制度を、外国籍のスタッフも使える
  • 日本で生まれた子どもは、出生届を14日以内、在留資格の取得の申請を30日以内に行う
  • 子どもの在留資格は親の在留資格によって変わる。早めに専門家に相談する
  • 寮やルームシェアからは、体調が安定している時期に、子どもと暮らせる住まいへ住み替える

制度の要件や手続きは、個々の状況によって異なります。具体的な手続きは、加入している健康保険、市区町村、出入国在留管理庁、専門家にご確認ください。

次の段階 6. 届出・更新

このガイドの運営者

不動産のイブキ(伊吹株式会社)。外国籍スタッフの住まいの手配を全国で行っています。制度は改正されることがあるため、手続きの最終確認は出入国在留管理庁などの公式情報もあわせてご確認ください。