段階5 就労開始後の支援

寮に防犯カメラを付けるとき|付けてよい場所、プライバシーへの配慮、映像の扱い方

外国籍スタッフの寮で、自転車の盗難や、知らない人の出入り、ゴミの出し方をめぐるトラブルが続くと、「防犯カメラを付けたい」と考える会社があります。防犯カメラは、犯罪の予防やトラブルの確認に役立つ一方で、付ける場所や使い方を誤ると、入居者のプライバシーを侵したり、入居者を監視しているように受け取られたりするおそれがあります。

この記事では、寮に防犯カメラを付けるときの、付けてよい場所、入居者への説明、映像の扱い方を解説します。

結論:共用部の入口などに限り、目的を掲示し、映像を見られる人と保存の期間を決める

防犯カメラは、建物の入口や駐輪場など、外からの侵入や盗難を防ぐための場所に限って付けるのが基本です。個室の中や浴室、脱衣所など、プライバシーの強い場所には付けません。

付けるときは、カメラがあることと目的を掲示し、入居者に説明すること、映像を見られる人と保存の期間を決めて管理することが大切です。カメラで特定の人が分かる映像は、個人情報として扱う必要があります。

付けてよい場所と避けるべき場所

場所 考え方
建物の入口、門 外からの侵入を防ぐ目的で、付けることが多い場所
駐輪場、駐車場 自転車や車の盗難、いたずらを防ぐ目的で付けやすい
ゴミ置き場 不法投棄を防ぐ目的。映る範囲に入居者の出入りが多く含まれる点に注意
共用の廊下、玄関ホール 目的と映る範囲をよく考える。各部屋の玄関の出入りが常に映る位置は避ける
個室、浴室、脱衣所、トイレ プライバシーの強い場所で、付けてはいけない
共用の台所、居間 入居者がくつろぐ場所で、監視と受け取られやすい。原則として避ける

借上げの物件にカメラを付ける場合は、大家や管理会社の了解が必要です。建物にもともと付いているカメラがある場合は、その管理の仕方を管理会社に確認しましょう。一棟借りの寮の管理は派遣会社が寮を一棟借りするとき|メリットと契約・管理の注意点で解説しています。

カメラを入居者の監視に使わない

防犯カメラの映像で、入居者の帰宅時間や外出、来客を日常的に確かめることは、私生活に立ち入ることになり、入居者の信頼を失います。寮が労働基準法の寄宿舎にあたる場合は、寮に住む社員の私生活の自由を守ることも求められています。カメラは防犯とトラブルの確認のためだけに使い、目的以外に映像を使わないことを決めておきましょう。寮の管理で行き過ぎになりやすいことは寮の管理で「やってはいけないこと」|パスポートの預かり・強制貯金・違約金など、外国籍スタッフの自由を守るルール、寄宿舎のルールは寮が「事業附属寄宿舎」にあたるとき|寄宿舎規則の届出と、会社が守りたい労働基準法のルールをご覧ください。

入居者への説明と掲示

  • カメラがあることを掲示する。「防犯カメラ作動中」などの掲示を、カメラの近くに出します。外国籍の入居者にも分かるよう、やさしい日本語や本人の言語を添えます。
  • 目的を説明する。防犯と、盗難などのトラブルがあったときの確認のためであることを、入居時に説明します。
  • 規程に書く。カメラの設置場所、目的、映像を見る人、保存の期間を、寮の規程に書いておきます。
  • 相談の窓口を伝える。カメラについて気になることがあれば相談できる窓口を伝えます。

寮の規程の条文の例は外国籍スタッフ向け寮規程の条文例|派遣会社・受入れ企業がそのまま使えるひな形で紹介しています。

映像の扱い方を決める

決めること 例
映像を見られる人 決められた担当者だけ。見たときは日時と理由を記録する
見るとき 盗難や事件、トラブルが起きたときに限る
保存の期間 1〜2週間程度で自動的に上書きされる設定にする
外に出すとき 警察から求められた場合など、決められた場合に限る
機器の管理 録画の機器やパスワードを、関係のない人が触れないよう管理する

映像は個人情報として扱う

防犯カメラの映像で特定の人が分かる場合、その映像は個人情報にあたります。会社は、利用の目的をはっきりさせ、その目的の範囲で使い、漏れたりなくなったりしないよう管理する必要があります。カメラの設置や運用については、個人情報保護委員会などが示す考え方も参考にしましょう。

トラブルが起きたときの使い方

  • まず本人から話を聞く。物がなくなった、知らない人が入ったなどの相談を受けたら、まず本人から状況を聞き取ります。
  • 必要な範囲だけ映像を確認する。起きた日時と場所に絞って、決められた担当者が確認します。
  • 犯罪の疑いがあれば警察に相談する。盗難などは警察に届け出て、求めに応じて映像を提供します。
  • 記録を残す。相談の内容、映像を確認した日時と理由、対応の結果を記録します。

寮で物がなくなったときなどの対応は寮で入居者どうしのトラブルが起きたとき|けんか・物がなくなった・お金の貸し借りへの対応、相談の記録の残し方は相談・苦情対応の記録の残し方|支援実施状況の確認に備えるで解説しています。

カメラだけに頼らず、防犯の基本も整える

防犯カメラを付けても、玄関の鍵や補助錠、共用部の明かり、自転車の鍵など、基本の防犯が整っていなければ、被害は防ぎにくくなります。カメラとあわせて、建物と入居者の防犯の習慣を見直しましょう。住まいの防犯は住まいの防犯と詐欺への注意|鍵・訪問販売・電話、女性のスタッフの住まいの防犯は女性の外国籍スタッフの住まい|防犯を考えた物件選びと、寮で配慮したいこともご覧ください。

防犯カメラを付けるときのチェックリスト

  • ☐ 付ける場所を、建物の入口や駐輪場など防犯に必要な場所に限った
  • ☐ 個室、浴室、脱衣所、トイレ、共用の居間には付けていない
  • ☐ 借上げの物件では、大家や管理会社の了解を得た
  • ☐ カメラがあることと目的を、やさしい日本語や本人の言語で掲示した
  • ☐ 入居者に目的を説明し、寮の規程に書いた
  • ☐ 映像を見られる人、見るとき、保存の期間を決めた
  • ☐ 映像を見たときの記録を残す仕組みがある
  • ☐ カメラを入居者の日常の監視に使わないことを決めた

まとめ

  • 防犯カメラは、建物の入口や駐輪場など、防犯に必要な共用部に限って付ける
  • 個室や浴室など、プライバシーの強い場所には付けない
  • カメラがあることと目的を掲示し、入居者に説明して、規程に書く
  • 映像は個人情報として扱い、見られる人と保存の期間を決めて管理する
  • カメラを入居者の監視に使わず、防犯とトラブルの確認のためだけに使う

防犯カメラの設置や映像の扱いは、建物の契約や個々の事情によって判断が変わります。具体的な運用は、管理会社や専門家にご相談ください。

次の段階 6. 届出・更新

このガイドの運営者

不動産のイブキ(伊吹株式会社)。外国籍スタッフの住まいの手配を全国で行っています。制度は改正されることがあるため、手続きの最終確認は出入国在留管理庁などの公式情報もあわせてご確認ください。