派遣会社の実務

戸建てや一棟の建物を寮にするとき|建築基準法・消防法で確認したいことと、防火の管理

外国籍スタッフの受入れ人数が増えると、空き家になっていた戸建てや、一棟のアパートを借りて寮にする会社があります。部屋数が多く、まとめて住んでもらえるため、管理がしやすく、費用を抑えられることもあります。

一方で、もともと家族で住む住宅として建てられた建物を、大人数の寮として使うと、建築基準法の用途や、消防法で求められる設備・防火の管理が変わることがあります。この記事では、戸建てや一棟の建物を寮にするときに、事前に確認したいことを解説します。

結論:使い方が「住宅」から「寮」に変わるなら、契約前に役所と消防署に相談する

建物の使い方が、家族で住む住宅から、大勢の社員が共同で暮らす寮に変わる場合、建築基準法では「寄宿舎」として扱われることがあり、消防法で必要な設備や防火の管理も変わることがあります。

どのように扱われるかは、建物の広さや部屋のつくり、住む人数、使い方によって違います。契約する前に、建物のある市区町村の建築の窓口と、所轄の消防署に相談し、必要な工事や手続きを確認しておきましょう。

建築基準法で確認したいこと

確認すること ポイント
建物の用途 住宅として建てられた建物を、大勢が共同で暮らす寮として使うと、「寄宿舎」として扱われることがある
用途変更の手続き 寄宿舎などに用途を変える部分の床面積が200㎡を超える場合は、確認申請の手続きが必要になる
防火の基準 寄宿舎には、部屋の間の壁の防火や、避難の経路などの基準がある。手続きが不要な規模でも、基準には合わせる必要がある
部屋の明るさと換気 寝室として使う部屋に、窓などの採光や換気が足りているか

手続きがいらない規模であっても、建物を寄宿舎の基準に合わせる必要がある点に注意しましょう。基準に合わない場合は、改修の工事が必要になることがあり、その費用を誰が負担するかを大家と話し合う必要があります。

労働基準法の「寄宿舎」とは別の話

建築基準法の「寄宿舎」は、建物の用途の区分の話で、労働基準法の「事業附属寄宿舎」とは別のものです。一棟の寮では、両方にあてはまることもあるため、それぞれ確認が必要です。労働基準法の寄宿舎のルールは寮が「事業附属寄宿舎」にあたるとき|寄宿舎規則の届出と、会社が守りたい労働基準法のルールで解説しています。

消防法で確認したいこと

確認すること ポイント
住宅用火災警報器 住宅には、寝室や階段などに住宅用火災警報器を付けることが求められている。電池切れや故障がないか確認する
消火器などの設備 寄宿舎や共同住宅として扱われると、建物の広さに応じて、消火器や自動火災報知設備などが必要になることがある
防火管理者 住む人数が多い場合は、防火管理者を選んで消防署に届け出て、消防計画を作る必要があることがある
避難の経路 廊下や階段に物を置かない。2階以上の部屋から避難できる経路があるか

必要な設備や届出は、建物の用途、広さ、住む人数によって変わります。所轄の消防署に、建物の図面と住む予定の人数を伝えて相談しましょう。

人数を増やす前に、必ず確認する

最初は少人数で住み始め、あとから入居者を増やしていくと、知らないうちに必要な設備や届出の基準を超えていることがあります。入居者を増やすときは、そのたびに、必要な設備や手続きが変わらないかを確認しましょう。一人当たりの広さの基準も、人数を増やすときの確認の対象です。複数名を同時に受け入れるときの住まい|ルームシェアの広さと契約の注意点もご覧ください。

入居後の防火の管理

  • 火災警報器を定期的に点検する。ボタンを押して音が鳴るか、電池が切れていないかを、見回りのときに確認します。
  • 消火器の場所と使い方を伝える。入居時に、消火器の場所と使い方を本人の言語で説明します。
  • 避難の経路を確保する。廊下や階段、ベランダの避難の通路に物を置かないよう伝えます。
  • 防火の訓練を行う。火事のときの逃げ方と、119番の通報の仕方を、実際に確認しておきます。

火事を防ぐための生活の注意は外国籍スタッフの住まいの火災予防|たこ足配線・調理・たばこの注意点、災害への備えは災害への備え|住まいの防災と安否確認の準備、見回りの進め方は寮・社宅の見回り訪問のしかた|確認するポイントと記録で解説しています。

火災保険の内容も、使い方に合わせて確認する

住宅として入っていた火災保険が、寮として大勢で使う場合にもそのまま使えるかは、保険の内容によって違います。建物の使い方を変えるときは、大家と保険会社に、保険の対象や条件を確認しておきましょう。寮・社宅の火災保険|誰の名義で入るか、借家人賠償・個人賠償で何が補償されるかも参考になります。一棟借りの契約と管理の注意点は派遣会社が寮を一棟借りするとき|メリットと契約・管理の注意点、シェアハウスとして運営されている建物を使う場合はシェアハウスを外国籍スタッフの住まいに使う|普通の賃貸や寮との違いと、契約前に確認したいことをご覧ください。

戸建て・一棟の建物を寮にするときのチェックリスト

  • ☐ 住む人数と使い方を決め、建物の図面を手に入れた
  • ☐ 市区町村の建築の窓口に、用途の扱いと必要な手続きを相談した
  • ☐ 所轄の消防署に、必要な設備と防火管理の扱いを相談した
  • ☐ 必要な工事の内容と、費用の負担を大家と話し合った
  • ☐ 住宅用火災警報器と消火器の設置を確認した
  • ☐ 避難の経路を確保し、入居者に伝えた
  • ☐ 入居者を増やすときに、基準を超えないか確認する仕組みがある
  • ☐ 火災保険の内容を、寮としての使い方に合わせて確認した

まとめ

  • 住宅として建てられた建物を大人数の寮にすると、建築基準法で寄宿舎として扱われることがある
  • 用途を変える部分が200㎡を超える場合は確認申請が必要。手続きがいらなくても基準には合わせる
  • 消防法では、建物の用途、広さ、住む人数によって、必要な設備や防火管理が変わる
  • 契約の前に、市区町村の建築の窓口と所轄の消防署に相談する
  • 入居後も、火災警報器の点検、避難の経路の確保、防火の訓練を続ける

建物の用途の扱いや必要な設備・手続きは、建物の状況や自治体によって異なります。具体的な内容は、市区町村の建築の窓口、所轄の消防署、建築士などの専門家にご確認ください。

このガイドの運営者

不動産のイブキ(伊吹株式会社)。外国籍スタッフの住まいの手配を全国で行っています。制度は改正されることがあるため、手続きの最終確認は出入国在留管理庁などの公式情報もあわせてご確認ください。