段階5 就労開始後の支援

寮のまとめ役(寮長)を置くとき|役割の決め方・選び方と、負担をかけすぎないための注意

外国籍スタッフが大人数で暮らす寮では、会社の担当者がすべての連絡や困りごとに対応するのは大変です。そこで、入居者の中から寮のまとめ役(寮長)を決め、連絡や当番の運営を手伝ってもらう会社があります。日本語ができる先輩のスタッフが寮長になると、新しく来たスタッフの安心にもつながります。

一方で、寮長に任せすぎると、本人の負担が大きくなったり、入居者どうしの関係がこじれたりすることもあります。この記事では、寮のまとめ役を置くときの役割の決め方と選び方、注意点を解説します。

結論:寮長は「連絡と声かけの係」。注意や処分、お金の管理は会社が行う

寮長に任せるのは、会社からの連絡を伝える、当番の運営を手伝う、困りごとを担当者につなぐといった、連絡と声かけの役割にとどめるのが基本です。

ルールを守らない入居者への注意や処分、寮費などのお金の管理、入居者の個人的な事情への対応は、会社の担当者が責任を持って行うようにしましょう。寮長に負担をかけすぎないことが、寮長を長く続けてもらうことにもつながります。

任せてよい役割と、任せてはいけないこと

任せてよい役割の例 任せてはいけないことの例
会社からのお知らせを入居者に伝える ルールを守らない入居者への処分を決める
ゴミ当番や掃除当番の表を回す 寮費や光熱費を集金して管理する
新しい入居者に寮の使い方を案内する 入居者の部屋に入って確認する
困っている入居者を担当者につなぐ 入居者のパスポートや貴重品を預かる
設備の故障などを担当者に知らせる 入居者どうしの深刻なトラブルを一人で解決する

寮の共用部のルールと当番の決め方は寮の共用部分のルールづくり|キッチン・浴室・洗濯機の使い方と当番の決め方、入居者どうしのトラブルへの対応は寮で入居者どうしのトラブルが起きたとき|けんか・物がなくなった・お金の貸し借りへの対応で解説しています。

寮長を「見張り役」にしない

寮長に、ほかの入居者の外出や帰宅時間、来客を会社に報告させるような役割を与えると、入居者の私生活を見張ることになり、寮長も入居者からの信頼を失います。寮長の役割は、入居者を助けるためのものだと位置づけましょう。寮の管理で行き過ぎになりやすいことは寮の管理で「やってはいけないこと」|パスポートの預かり・強制貯金・違約金など、外国籍スタッフの自由を守るルールをご覧ください。

寮長の選び方

  • 本人が引き受けたいかを確かめる。会社が一方的に決めるのではなく、本人の意思を確認します。
  • 日本語と母語の両方で伝えられる人。会社の連絡を正しく伝えられる日本語の力があると、行き違いが減ります。
  • 入居者から信頼されている人。年齢や在籍の長さだけでなく、ほかの入居者から相談されやすい人を選びます。
  • 国籍の違う入居者がいる寮では工夫する。国籍ごとにまとめ役を置く、交代制にするなど、偏りが出ないようにします。

寄宿舎にあたる寮では、入居者が自分たちで選ぶ

寮が労働基準法の事業附属寄宿舎にあたる場合、会社は、寮長や室長など寮の自治に必要な役員の選任に口を出してはならないとされています。寄宿舎にあたる寮では、入居者が自分たちで寮長を選ぶ形にしましょう。寄宿舎にあたるかどうかの考え方は寮が「事業附属寄宿舎」にあたるとき|寄宿舎規則の届出と、会社が守りたい労働基準法のルールで解説しています。

負担をかけすぎないための工夫

工夫 内容
役割を書面にする 寮長に頼むことと、頼まないことを書面にして、本人とほかの入居者に伝える
手当や配慮 寮長の手間に見合う手当を出す、寮費を少し下げるなど、負担に報いる方法を考える
担当者との連絡の仕組み 寮長が困ったときにすぐ担当者に相談できるよう、連絡の方法を決める
交代の時期を決める 半年や1年で交代するなど、同じ人に負担が集中しないようにする
寮長の話を聞く 定期的に寮長と話し、困っていることや寮の様子を聞く

寮長から聞いた寮の様子は、見回りや面談と合わせて記録しておくと、対応の漏れを防げます。見回りの進め方は寮・社宅の見回り訪問のしかた|確認するポイントと記録、相談の記録は相談・苦情対応の記録の残し方|支援実施状況の確認に備えるで解説しています。

連絡用のグループは、使い方のルールを決めて

寮の連絡のためにメッセージアプリのグループを作る場合は、会社の担当者も入り、連絡の内容を寮のことに限るなど、使い方のルールを決めておきましょう。入居者の電話番号などの個人情報が、本人の了解なく広まらないよう注意することも大切です。寮の部屋割りや国籍の違う入居者への配慮は国籍の違うスタッフが同じ寮に住むとき|部屋割りの考え方とトラブルを防ぐ工夫、住まいの満足度と定着の関係は住まいの満足度を上げて定着につなげる|外国籍スタッフが不満を持ちやすい点と改善策もご覧ください。

寮のまとめ役を置くときのチェックリスト

  • ☐ 寮長に頼む役割と、頼まないことを書面にした
  • ☐ 注意や処分、お金の管理は会社の担当者が行うことにした
  • ☐ 本人が引き受けたいかを確かめた
  • ☐ 寄宿舎にあたる寮では、入居者が寮長を選ぶ形にした
  • ☐ 手当や寮費の配慮など、負担に報いる方法を決めた
  • ☐ 寮長が担当者にすぐ相談できる連絡の方法を決めた
  • ☐ 交代の時期を決めた
  • ☐ 連絡用のグループの使い方と、個人情報の扱いのルールを決めた

まとめ

  • 寮のまとめ役(寮長)は、連絡や当番の運営、担当者へのつなぎ役として役立つ
  • 注意や処分、お金の管理、部屋への立ち入りは寮長に任せず、会社が行う
  • 寮長を入居者の見張り役にしない
  • 寄宿舎にあたる寮では、会社は寮長の選任に口を出さず、入居者が選ぶ
  • 役割を書面にし、手当や交代の時期を決めて、負担をかけすぎないようにする

寮の運営の仕方は、寮の規模や入居者の構成によって異なります。寮の実態に合わせて、役割分担を見直してください。

次の段階 6. 届出・更新

このガイドの運営者

不動産のイブキ(伊吹株式会社)。外国籍スタッフの住まいの手配を全国で行っています。制度は改正されることがあるため、手続きの最終確認は出入国在留管理庁などの公式情報もあわせてご確認ください。