借上げの寮・社宅では、外国籍スタッフの退職や帰国、派遣先との契約の終了などで、部屋やベッドに空きが出ることがあります。空いている間も家賃はかかり続けるため、「次の人が来るまで持ち続けるか、いったん解約するか」は、派遣会社や受入れ企業にとって悩ましい判断です。
この記事では、寮・社宅に空きが出たときの家賃の負担の考え方と、解約するか持ち続けるかの比べ方、空き部屋の管理で気をつけたいことを解説します。
結論:空いた分の家賃は会社が負担し、「次の入居までの家賃」と「解約して借り直す費用」を比べて決める
ルームシェアの寮で一人が退去しても、空いた分の家賃を残った入居者に上乗せするのは避けるのが基本です。本人の負担額を変えるには、本人への説明と合意が必要になります。
持ち続けるか解約するかは、次の入居者が入るまでの家賃と、いったん解約して新しく借り直すときにかかる費用を比べて判断します。次の入居の予定がはっきりしていれば持ち続け、予定が立たなければ解約を考えるのが目安です。
持ち続けるか解約するかの比べ方
| 比べる項目 | 持ち続ける場合 | 解約して借り直す場合 |
|---|---|---|
| 家賃 | 次の入居者が入るまで、家賃と共益費がかかる | 解約予告の期間(1〜2か月が多い)の家賃がかかる |
| 解約の費用 | かからない | 短期で解約すると違約金がかかることがある。原状回復の費用がかかる |
| 借り直す費用 | かからない | 新しい部屋の敷金・礼金・仲介手数料など、家賃の数か月分の初期費用がかかる |
| 家具・家電 | そのまま使える | 運び出しと保管、新しい部屋への運び込みが必要 |
| 手間と時間 | すぐに次の人が入れる | 部屋探しと契約、入居の審査に時間がかかる |
比べ方の例
家賃5万円の部屋で、次の入居者が3か月後に入る予定なら、持ち続ける費用は家賃3か月分の15万円ほどです。一方、解約予告が1か月の契約で解約し、3か月後に新しい部屋を借りる場合は、解約予告の期間の家賃5万円に、原状回復の費用と、新しい部屋の初期費用(家賃の数か月分)が加わり、家具・家電の移動の手間もかかります。次の入居の時期が近いほど、持ち続けた方が負担は小さくなりやすいといえます。実際の金額は契約の内容によって変わるため、契約書で解約予告の期間や違約金を確認して比べましょう。
寮・社宅の費用の全体像は派遣会社が外国籍スタッフの寮・社宅を用意するときの費用と注意点、家具付き物件やマンスリーとの比べ方は家具付き物件やマンスリーを社宅に使う|普通の賃貸との費用の比べ方と注意点で解説しています。
ルームシェアで一人が抜けたときの家賃の負担
| 考え方 | 内容 |
|---|---|
| 原則は会社が負担 | 空いたベッドの分の家賃は、次の入居者が入るまで会社が負担する |
| 本人負担を上げるとき | 本人負担の額を変える場合は、理由と金額を本人が理解できる言語で説明し、合意を得る |
| 特定技能の場合 | 本人から受け取れる額は、借上げにかかる費用を入居する人数で割った額まで。人数が減ったからといって、説明や合意なしに負担を上げない |
| 給料からの差し引き | 差し引く額を変えるときは、労使協定の範囲内か、給与明細の表示も確認する |
寮費を変えるときの伝え方は寮費を見直すとき|家賃や光熱費の値上がりを外国籍スタッフにどう伝え、どう決めるか、給料から差し引くときのルールは社宅の家賃を給料から差し引くとき|労使協定と課税の考え方をご覧ください。
「人が減ったから一人あたりの寮費を上げる」は不満の原因に
同居人が退職して人数が減ったことを理由に、残った入居者の寮費を急に上げると、本人には「自分のせいではないのに負担が増えた」と受け止められ、不満や退職のきっかけになることがあります。空きの家賃は会社の経費として見込んでおき、どうしても負担を見直す場合は、時期を決めて前もって説明しましょう。
空き部屋の管理で気をつけること
- ときどき換気と通水をする。長く閉め切ると、湿気でカビが生えたり、排水口の水が乾いてにおいが上がったりします。月に1回ほど、窓を開けて水を流しましょう。
- 郵便受けを確認する。前の入居者あての郵便物がたまると、防犯上もよくありません。
- 鍵を管理する。前の入居者から鍵をすべて返してもらい、次の入居者が入る前に交換するかを決めます。
- 光熱費の契約を確認する。空いている間の電気・ガス・水道の契約を止めるか、基本料金を払って続けるかを決めます。
- 備品の状態を確認する。次の入居者がすぐに使えるよう、壊れた物や足りない物を補っておきます。
入居者が入れ替わるときの準備は社宅の入居者が入れ替わるときの準備|清掃・備品・ライフラインの引き継ぎ、鍵の管理は社宅の鍵の管理|合鍵・紛失・入居者が替わるときの交換で解説しています。
空室を出しにくくする契約の工夫
派遣先との契約の終了などで一度に何部屋も空くと、空室の負担は大きくなります。寮を借りるときに、解約予告の期間や短期解約の違約金を確認し、派遣先との契約期間と寮の契約期間をできるだけ合わせておきましょう。期間が読めない受入れは、初めはマンスリーや家具付き物件を使い、受入れが続くと決まってから普通の賃貸に移る方法もあります。一棟借りの場合の注意点は派遣会社が寮を一棟借りするとき|メリットと契約・管理の注意点、派遣先が変わるときの住み替えは派遣先が変わるときの住まい|通勤圏の変化と住み替えの判断もご覧ください。
寮・社宅に空きが出たときのチェックリスト
- ☐ 次の入居者が入る予定と時期を確認した
- ☐ 契約書で解約予告の期間と違約金を確認した
- ☐ 持ち続ける費用と、解約して借り直す費用を比べた
- ☐ 空いた分の家賃を、残った入居者に説明なく上乗せしていない
- ☐ 本人負担を変える場合は、本人の言語で説明して合意を得た
- ☐ 空き部屋の換気・通水・郵便受けの確認の担当を決めた
- ☐ 前の入居者から鍵をすべて返してもらった
- ☐ 空いている間の光熱費の契約をどうするか決めた
まとめ
- 空いた部屋やベッドの家賃は、原則として次の入居者が入るまで会社が負担する
- 本人負担を変える場合は、理由と金額を説明して合意を得る。特定技能では上限の考え方も守る
- 持ち続けるか解約するかは、次の入居までの家賃と、解約して借り直す費用を比べて決める
- 空き部屋は換気・通水・郵便受け・鍵の管理を続ける
- 寮の契約期間と派遣先との契約期間を合わせ、空室を出しにくくする
解約の条件や費用は、物件や契約の内容によって異なります。具体的な判断は、契約書の内容を確認したうえで、管理会社とご相談ください。