派遣会社の実務

寮費を見直すとき|家賃や光熱費の値上がりを外国籍スタッフにどう伝え、どう決めるか

寮や社宅の家賃が更新のときに上がった、電気代やガス代が値上がりした、といった理由で、外国籍スタッフの寮費を見直さなければならないことがあります。ところが、寮費は本人の手取りに直接関わるため、伝え方や決め方を間違えると、大きな不満や退職につながります。また、勝手に寮費を上げることは、ルールの面でも問題になることがあります。

この記事では、外国籍スタッフの寮費を見直すときに押さえておきたいルールと、根拠の示し方、伝える時期、値上げ以外に考えられる方法を解説します。

結論:根拠を示し、早めに、本人の言語で説明して、書面で同意を得る

寮費は、雇用の条件や寮の利用の契約で決めたものです。会社が一方的に上げることはできない場合があり、本人の同意を得て変えるのが基本です。

見直すときは、家賃や光熱費がいくら上がったのかという根拠を示し、変更の時期より前に余裕をもって、本人が分かる言語で説明し、書面で同意を得ましょう。特定技能の場合は、本人に負担させられる金額の上限や、届出の要否も確認が必要です。

寮費を見直すときに押さえたいルール

ルール 内容
労働条件の変更 寮費が雇用の条件として決められている場合、変えるには本人との合意が基本になる
給料からの差し引き 寮費を給料から差し引くには、労使協定が必要。金額が変わるときは協定の内容も確認する
特定技能の本人負担 本人に負担させる住居の費用は、実際にかかる費用を超えてはならない。借上げの場合は、家賃などを入居する人数で割った額が上限の目安になる
特定技能の届出 雇用条件として決めた居住費を変える場合、雇用契約の変更として届出が必要になることがある

給料から寮費を差し引くときのルールは社宅の家賃を給料から差し引くとき|労使協定と課税の考え方、受入れ企業の届出は随時届出が必要になるのはどんなとき?ケース別の期限と届出先で解説しています。

値上げで「実際の費用」を超えないように

特定技能では、住居の費用として本人から受け取る額が、実際にかかっている費用を超えてはいけません。家賃が上がったからといって、上がった分以上に寮費を上げることはできません。光熱費を定額にしている場合も、実際の使用量と大きくずれていないかを確かめましょう。光熱費の分け方は寮・ルームシェアの光熱費の分け方|定額・人数割り・個別メーターの比べ方をご覧ください。

見直しの進め方

  1. 上がった費用を整理する。家賃の改定の通知、光熱費の請求書などで、いつから、いくら上がったのかを確認します。
  2. 一人あたりの負担を計算する。入居している人数で割った額を出し、今の寮費との差を確認します。
  3. 値上げ以外の方法も考える。会社が負担を続ける、寮をまとめて費用を下げる、光熱費を個別の支払いに変えるなど、ほかの方法と比べます。
  4. 本人に説明する。根拠となる書類を見せながら、本人の言語で、新しい寮費と手取りへの影響を説明します。
  5. 書面で同意を得る。新しい寮費、変更の時期を書いた書面に、本人の同意をもらいます。
  6. 規程や届出を直す。寮の規程や雇用の条件の書類を直し、必要な届出をします。

説明は「いつ」「いくら」「なぜ」を具体的に

「寮費が上がります」だけでは、本人は納得できません。「○月から、家賃が○円上がったため、一人あたり○円上がります。手取りはおよそ○円になります」のように、時期と金額、理由を具体的に伝えましょう。変更の時期より1〜2か月前には伝え、質問を受ける時間をとると、不満を減らせます。

値上げ以外に考えられる方法

方法 考え方
会社が上がった分を負担する 定着や採用への影響を考え、上がった分の一部や全部を会社が負担する
家賃の交渉をする 更新のときに、貸主や管理会社と家賃の条件を相談する
寮をまとめる 空室の多い寮をまとめて、全体の費用を下げる
物件を見直す 同じ地域で、より家賃の安い物件に移ることを考える
光熱費の払い方を変える 定額から個別の支払いに変え、使った分だけ払う形にする

寮の更新のときの確認は社宅の更新手続き|2年ごとの更新料と在留期限の確認、寮の空室を減らしてまとめる方法は派遣会社の寮の空室を減らす|配属計画と寮の配置・入れ替えの工夫、寮の費用の考え方は派遣会社が外国籍スタッフの寮・社宅を用意するときの費用と注意点で解説しています。

寮費の見直しの可能性は、最初に伝えておく

家賃や光熱費の変動で寮費が変わる可能性があることは、入居のときや募集のときから伝えておくと、見直すときの説明がしやすくなります。寮の規程に、寮費を見直すときの手続き(事前の説明と同意)を書いておきましょう。規程の例は外国籍スタッフ向け寮規程の条文例|派遣会社・受入れ企業がそのまま使えるひな形、募集のときの寮費の示し方は寮付き求人で伝えておきたいこと|外国籍スタッフの募集で寮費・相部屋・初期費用を正しく示すをご覧ください。

寮費を見直すときのチェックリスト

  • ☐ 上がった家賃や光熱費の金額と時期を、書類で確認した
  • ☐ 一人あたりの負担と、今の寮費との差を計算した
  • ☐ 特定技能の場合、新しい寮費が実際の費用を超えていないことを確認した
  • ☐ 値上げ以外の方法と比べた
  • ☐ 変更の1〜2か月前に、本人の言語で根拠を示して説明した
  • ☐ 新しい寮費と時期を書いた書面で、本人の同意を得た
  • ☐ 労使協定、寮の規程、雇用の条件の書類を直した
  • ☐ 特定技能の場合、届出が必要かを確認した

まとめ

  • 寮費は会社が一方的に上げられない場合がある。本人の同意を得て変えるのが基本
  • 特定技能では、本人の負担は実際の費用を超えてはいけない。届出が必要になることもある
  • 根拠を示し、早めに、本人の言語で、時期・金額・理由を具体的に説明する
  • 会社の負担、家賃の交渉、寮の統合など、値上げ以外の方法も比べる
  • 寮費が変わる可能性と見直しの手続きは、入居や募集のときから伝えておく

寮費の変更の扱いは、雇用の条件や寮の契約の内容によって異なります。判断に迷う場合は、社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

このガイドの運営者

不動産のイブキ(伊吹株式会社)。外国籍スタッフの住まいの手配を全国で行っています。制度は改正されることがあるため、手続きの最終確認は出入国在留管理庁などの公式情報もあわせてご確認ください。