外国籍スタッフの受入れでは、住まいの準備を進めている途中で、本人が内定を辞退したり、在留資格が許可されなかったり、査証の発給が遅れて入国が延びたりすることがあります。すでに社宅の契約を済ませていると、誰も住んでいない部屋の家賃がかかり続けることになります。
この記事では、入国前に内定辞退や入国の延期が出たときの社宅の扱いと、費用の考え方、事前にできる備えを解説します。
結論:まず「別の人が入れるか」を考え、解約は条件を確認してから決める
入国前に予定が変わったときは、同じ会社で次に入国する人や、ほかのスタッフがその部屋に入れないかを最初に考えます。別の人が使えれば、空家賃をほとんど出さずに済みます。
使う予定がない場合は、解約の予告期間や、短い期間で解約したときの違約金を確認したうえで、解約するかどうかを決めます。また、内定を辞退した本人に、用意した住まいの費用を負担させる約束をすることはできない点にも注意が必要です。
入国前に起きやすい変更
| 変更 | 住まいへの影響 |
|---|---|
| 本人の内定辞退 | その人のための部屋が不要になる |
| 在留資格認定証明書が交付されない | 入国できないため、部屋が不要になる。別の候補者を探す場合は、入国まで期間が空く |
| 査証の発給や航空便の遅れ | 入国日が後ろにずれ、その間の家賃がかかる |
| 受入れ人数の変更 | 複数名の予定が減り、ルームシェアの人数や部屋の数が合わなくなる |
| 受入れの受付の停止 | 受入れの上限に達した分野では、予定どおりに申請・入国が進まないことがある |
在留資格認定証明書の審査期間は在留資格認定証明書の審査期間はどのくらい?待っている間に進める準備、受入れの上限と受付の停止は特定技能の受入れ見込数と上限|受付が止まる分野が出たときの備えで解説しています。
用意した社宅の扱い
| 選択肢 | 向いている場面 | 確認すること |
|---|---|---|
| 別の人が入る | 同じ職場で次に入国する人がいる、ほかのスタッフが住み替えを希望している | 契約の入居者の変更の手続き。管理会社への届出 |
| 契約前なら入居日をずらす | 入国の延期で、入国日の見通しが立っている | 入居日をいつまでずらせるか。ずらせない場合は、別の物件を探し直す |
| しばらく持ち続ける | 数か月以内に別の候補者の入国が見込める | 空家賃の合計と、解約して探し直す費用のどちらが安いか |
| 解約する | 当面、使う予定がない | 解約の予告期間(1〜2か月前が多い)、短い期間で解約したときの違約金、初期費用で戻らないもの |
あわせて、家具・家電の手配や、電気・ガス・水道、インターネットの申込みも、取り消したり日程を変えたりする必要があります。入居者が替わるときの段取りは社宅の入居者が入れ替わるときの準備|清掃・備品・ライフラインの引き継ぎも参考になります。
辞退した本人に費用を負担させる約束はできない
内定を辞退したときや、入国後すぐに辞めたときに、「用意した住まいの費用を払ってもらう」といった約束をしておくことはできません。労働基準法では、労働契約の不履行について違約金を定めたり、損害賠償の額をあらかじめ決めたりすることが禁止されています。特定技能でも、違約金を定める契約や保証金の徴収は認められていません。空家賃などの費用は、受入れ企業や登録支援機関の側で負担することを前提に、準備の進め方を考えましょう。受入れにかかる費用の全体は特定技能の受入れにかかる費用の内訳|本人に負担させてはいけない費用で解説しています。
費用を誰が負担するかを決めておく
入国前の変更による空家賃や解約の費用は、受入れ企業と登録支援機関、派遣会社のどこが負担するのかでもめることがあります。住まいの手配を誰が担当し、予定が変わったときの費用をどう分けるかを、委託の契約や事前の打ち合わせで決めておくと安心です。
- 社宅の契約者(受入れ企業か、登録支援機関か)
- 入国前に契約するかどうかの判断を、誰がするか
- 内定辞退や不許可のときの空家賃・解約費用の負担
- 家具・家電やライフラインの手配の取消しにかかる費用の負担
住まいの担当と役割分担の決め方は住まいの担当と役割分担を決める|受入れ企業・支援機関・不動産会社の情報共有で解説しています。
事前にできる備え
- 契約の時期を見極める。在留資格認定証明書が交付され、入国日の見通しが立ってから契約するのが基本です。入国日から逆算した手配のスケジュールは特定技能の住居確保はいつから動く?入国日から逆算した物件手配のスケジュールを参照。
- 解約の条件を確認しておく。短い期間で解約したときの違約金がない物件や、予告期間の短い物件を選ぶと、予定が変わったときの負担を抑えられます。
- 入居日の調整ができるかを聞いておく。申込みの段階で、入居日を後ろにずらせる余地があるかを確認しておきます。
- 短い期間の住まいを組み合わせる。入国日が読めない場合は、最初の数週間を家具付きの物件などでつなぎ、入国が確定してから本来の住まいを契約する方法もあります。家具付き物件やマンスリーを社宅に使う|普通の賃貸との費用の比べ方と注意点も参照。
- 契約期間と在留の見通しを合わせる。在留期間と社宅の契約期間の合わせ方|2年契約と在留期限のずれへの備えも参考になります。
複数名の受入れは、一度に全部を契約しない
複数名を同時に受け入れる場合、全員分の部屋を一度に契約すると、一人でも辞退や不許可が出たときに空室が残ります。入国の見通しが固い人の分から順に契約する、ルームシェアの人数が減っても住める広さにしておくなど、変更に強い進め方を考えましょう。
入国前の変更に備えるチェックリスト
- ☐ 在留資格認定証明書の交付と入国日の見通しを確認してから契約している
- ☐ 物件の解約の予告期間と、短期解約の違約金を確認した
- ☐ 入居日をずらせるかを、申込みの段階で確認した
- ☐ 予定が変わったときの空家賃・解約費用の負担を、関係者で決めた
- ☐ 辞退した本人に費用を負担させる約束をしていない
- ☐ 家具・家電、ライフラインの手配の取消し方法を把握している
- ☐ 複数名の受入れでは、見通しの固い人から順に契約している
まとめ
- 入国前の内定辞退や不許可、入国の延期で、用意した社宅が空くことがある
- まずは別の人が入れないかを考え、解約は予告期間や違約金を確認してから決める
- 辞退した本人に住まいの費用を負担させる約束はできない
- 空家賃や解約費用の負担は、受入れ企業・登録支援機関・派遣会社の間で事前に決めておく
- 契約の時期の見極め、解約条件の確認、短い期間の住まいの活用で、変更に強い準備をする
解約の条件や費用は、物件や契約の内容によって異なります。個別のケースは、契約書の内容と管理会社への確認をもとに判断してください。