外国籍スタッフが急に出勤しなくなり、電話やメッセージにも返事がない。受入れ企業や支援担当者にとって、最も対応に困る場面の一つです。病気や事故で動けなくなっている可能性もあれば、本人の意思で職場を離れた可能性もあります。どちらであっても、早く、正しい順番で動くことが大切です。
この記事では、外国籍スタッフと連絡が取れなくなったときの対応の流れと、特定技能の届出、部屋に残された荷物や賃貸契約の扱い、再発を防ぐために見直したいことを解説します。
結論:まず安否を確認し、記録を残しながら、届出と住まいの整理を進める
連絡が取れなくなったとき、最初に考えるべきなのは本人の安全です。住まいで倒れている可能性もあるため、早めに住まいを訪ねて安否を確認します。
本人の行方が分からない状態が続く場合は、特定技能であれば受入れ困難の届出を14日以内に出し、部屋の荷物や賃貸契約は、本人の権利に配慮しながら管理会社と相談して整理します。それぞれの対応は、日時と内容を記録に残しておきましょう。
連絡が取れなくなったときの流れ
| 順番 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | あらゆる手段で連絡を試みる | 電話、メッセージアプリ、同僚や同居人、友人、母国の家族の連絡先 |
| 2 | 住まいを訪ねる | 同居人に話を聞く。一人暮らしの場合は、管理会社に立ち会いを頼む |
| 3 | 安否が心配なときは警察や救急に相談する | 部屋の中で倒れている可能性がある場合は、ためらわずに相談する |
| 4 | 関係先に連絡する | 登録支援機関、受入れ企業、派遣先など |
| 5 | 必要な届出をする | 特定技能の受入れ困難の届出など |
| 6 | 住まいの整理を相談する | 管理会社と、契約・荷物の扱いを決める |
部屋に入るときは、一人で入らない
本人の安否を確かめるために部屋に入る必要がある場合でも、支援担当者が一人で予備の鍵を使って入るのは避けましょう。管理会社の立ち会いを頼み、必要に応じて警察にも相談します。入った日時、立ち会った人、部屋の様子を記録に残しておくことが、後のトラブルを防ぎます。予備の鍵の扱いは社宅の鍵の管理|合鍵・紛失・入居者が替わるときの交換で解説しています。
特定技能の受入れ困難の届出
特定技能外国人の行方が分からなくなった場合や、本人の都合で帰国した場合など、受入れを続けることが難しくなったときは、受入れ企業が「受入れ困難」の届出を、その事由が生じた日から14日以内に出入国在留管理庁へ出します。随時届出の考え方は随時届出が必要になるのはどんなとき?ケース別の期限と届出先で解説しています。
派遣会社の場合は、ハローワークへの外国人雇用状況の届出など、雇用に関する手続きもあわせて確認しましょう。
部屋に残された荷物と賃貸契約
| 項目 | 考え方 |
|---|---|
| 荷物 | 本人の持ち物を、会社や管理会社の判断だけで勝手に処分しない。一定の期間保管し、本人や家族と連絡を取る努力をする |
| 借上げ社宅の契約 | 契約者は会社。解約するか、次の入居者を入れるかを判断する。荷物の扱いは管理会社と相談する |
| 本人契約の部屋 | 契約者は本人。会社が勝手に解約することはできない。管理会社や保証会社と連絡を取り合う |
| 家賃 | 本人契約で家賃が止まると、保証会社が対応することになる。緊急連絡先になっている場合は連絡が来る |
本人の荷物を勝手に処分したり、本人契約の部屋の鍵を替えたりすると、後で本人から損害を求められるおそれがあります。判断に迷うときは、管理会社や弁護士などの専門家に相談しましょう。家賃が止まったときの考え方は外国籍スタッフの家賃滞納が起きたとき|原因の聞き取りと支払いの立て直しも参照してください。
記録を残す
連絡を試みた日時と方法、住まいを訪ねた日時と立ち会った人、部屋の様子、関係先への連絡、届出の日などを、時系列で記録しておきます。届出や、後で本人や家族と連絡が取れたときの説明に役立ちます。記録の残し方は相談・苦情対応の記録の残し方|支援実施状況の確認に備えるで解説しています。
ほかの職場で働いている可能性も
本人の意思で職場を離れた場合、別の場所で働いていることもあります。在留資格の範囲を超えて働くと不法就労になり、雇った事業者も処罰の対象になります。自社が新しく外国籍のスタッフを雇うときは、在留カードの確認を必ず行いましょう。派遣で外国籍スタッフを受け入れるときの在留資格の確認|働ける範囲と注意点も参照してください。
再発を防ぐために
本人の意思で職場を離れる背景には、給料や仕事の内容への不満、人間関係、住まいへの不満、借金などがあることが少なくありません。同じことを繰り返さないために、次の点を見直しましょう。
- 定期面談で、仕事や住まい、お金の悩みを聞けているか。定期面談の進め方とチェック項目|住まい・生活の困りごとの聞き方も参照
- 住まいの不満を放置していないか。住まいの満足度を上げて定着につなげる|外国籍スタッフが不満を持ちやすい点と改善策も参照
- 本人の緊急連絡先や、母国の家族の連絡先を把握しているか
- 相談しやすい窓口があることを、本人が知っているか
母国の家族の連絡先は、災害のときの安否の確認にも必要です。災害への備え|住まいの防災と安否確認の準備もあわせて確認しておきましょう。
連絡が取れなくなったときのチェックリスト
- ☐ 電話、アプリ、同僚、同居人、家族など、あらゆる手段で連絡を試みた
- ☐ 管理会社の立ち会いのもとで住まいを訪ね、安否を確認した
- ☐ 安否が心配な場合は、警察や救急に相談した
- ☐ 登録支援機関、受入れ企業、派遣先などに連絡した
- ☐ 特定技能の場合、受入れ困難の届出を14日以内に出した
- ☐ 荷物を勝手に処分せず、管理会社と扱いを相談した
- ☐ 対応の経過を時系列で記録した
- ☐ 再発を防ぐために、面談や住まいの不満への対応を見直した
まとめ
- 連絡が取れなくなったら、まず本人の安全を考え、早めに住まいを訪ねて安否を確認する
- 部屋に入るときは一人で入らず、管理会社の立ち会いを頼み、必要なら警察に相談する
- 特定技能の場合は、受入れ困難の届出を14日以内に出す
- 本人の荷物は勝手に処分しない。契約や荷物の扱いは管理会社や専門家と相談する
- 対応の経過を記録し、面談や住まいの不満への対応を見直して再発を防ぐ
状況によって必要な対応は異なります。判断に迷うときは、出入国在留管理庁、管理会社、弁護士などの専門家にご相談ください。