特定技能外国人の受入れを検討している企業から、「全部でいくらかかるのか」と聞かれることがよくあります。給与以外にも、採用、在留資格の手続き、支援、住まいと、費用はいくつもの場面で発生します。さらに、支援にかかる費用を本人に負担させてはいけないなど、費用の負担のルールも決まっています。
この記事では、特定技能の受入れにかかる費用を4つの場面に分けて整理し、会社が負担する費用と、本人に負担してもらえる費用の考え方を解説します。
結論:費用は「採用・手続き・支援・住まい」の4つで見積もる
受入れの費用は、採用、在留資格の手続き、支援、住まいの4つの場面に分けて見積もると、漏れなく把握できます。最初の受入れにかかる初期の費用と、受入れ後に毎月・毎年かかる費用を分けて考えることも大切です。
そのうえで、義務的支援にかかる費用は、直接にも間接にも本人に負担させてはいけないというルールがあります。給与からの差し引きなどで、結果的に本人に負担させることにならないよう注意しましょう。
場面ごとの主な費用
| 場面 | 主な費用 | 時期 |
|---|---|---|
| 採用 | 人材紹介の手数料、送出機関への費用(国による)、面接の通訳、来日の渡航費 | 初期 |
| 在留資格の手続き | 申請書類の作成を依頼する場合の報酬、健康診断、在留期間の更新や変更の手数料 | 初期・更新のたび |
| 支援 | 登録支援機関への委託費、事前ガイダンスや面談の通訳、日本語学習の機会の提供 | 毎月 |
| 住まい | 借上げ社宅の初期費用と家賃、家具・家電、ライフラインの手配 | 初期・毎月 |
在留期間の更新や変更の手数料は、2026年10月の改定で大きく上がりました。許可される期間によって金額が変わるため、更新のたびの費用として見込んでおきましょう。詳しくは特定技能1号の在留期間更新|必要書類と早めに準備したいことで解説しています。
本人に負担させてはいけない費用
特定技能では、1号特定技能外国人支援計画に沿った支援にかかる費用を、本人に直接または間接に負担させてはいけないとされています。登録支援機関に支援を委託している場合の委託費も、受入れ企業が負担します。
また、借上げ社宅で本人に家賃を負担してもらう場合も、敷金・礼金・仲介手数料などは受入れ企業の負担です。本人に負担してもらえるのは、借上げにかかる費用(管理費・共益費を含む)を入居人数で割った額までで、住まいの提供で利益を得ることは認められません。
「間接的な負担」に注意
支援の費用を給与から差し引く、支援の費用の分だけ給与を下げる、といった形も、間接的に本人に負担させることにあたります。また、本人が母国の送出機関などに保証金を払っていないか、違約金の契約を結ばされていないかも、受入れの前に確認しておきましょう。
本人に負担してもらえる費用
| 費用 | 考え方 |
|---|---|
| 家賃(借上げ社宅) | 借上げ費用を入居人数で割った額まで。利益を得てはいけない |
| 光熱費・通信費 | 本人が使った分の実費。名義と支払い方法を決めておく |
| 税金・社会保険料 | 日本人の従業員と同じく、給与から差し引く |
| 食費・日用品など生活費 | 本人の負担 |
家賃や光熱費を給与から差し引く場合は、労使協定が必要です。本人負担の額とその根拠は、事前ガイダンスの段階で本人が理解できる言語で説明しておきましょう。
住まいの費用を詳しく見る
受入れの費用のうち、初期にまとまって発生しやすいのが住まいの費用です。借上げ社宅の場合、敷金・礼金、仲介手数料、前家賃、保証料、火災保険料などで、家賃の数か月分の初期費用がかかります。これに、家具・家電や生活用品の費用が加わります。
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見落としやすい費用
- 入国が遅れたときの空家賃。入国日が後ろにずれると、住む人のいない部屋の家賃がかかります。
- 一時的な宿泊費。住まいが入国日に間に合わないと、ホテルなどの費用がかかります。
- 退去時の費用。短期解約の違約金や、原状回復の費用です。
- 帰国の旅費。雇用契約が終わったあと、本人が帰国の旅費を負担できない場合は、受入れ企業が負担することが求められています。
- 更新のたびの手数料と書類作成の費用。在留期間の更新は、受入れ期間中に何度も発生します。
費用を抑えるための考え方
費用を抑えるために、支援や住まいの質を下げるのは逆効果です。住まいや生活に不満があると、早期の離職につながり、採用からやり直す費用のほうが大きくなります。
費用を抑えるなら、入国日に合わせて住まいを手配して空家賃を減らす、入居者の入れ替えができる借上げ契約にして再契約の初期費用を減らす、といった無駄を省く工夫が効果的です。受入れ全体のスケジュールは特定技能外国人の受入れスケジュール|内定から入社まで何か月かかる?で確認できます。
まとめ
- 受入れの費用は、採用・在留資格の手続き・支援・住まいの4つの場面で見積もる
- 義務的支援にかかる費用は、直接にも間接にも本人に負担させてはいけない
- 借上げ社宅の敷金・礼金などは会社の負担。本人負担の家賃は費用を入居人数で割った額まで
- 空家賃、一時的な宿泊費、退去時の費用、帰国の旅費、更新の手数料を見落とさない
- 費用は質を下げるのではなく、空家賃や再契約の無駄を省くことで抑える
費用の負担のルールは、運用要領の改訂で変わることがあります。最終的な確認は、出入国在留管理庁の最新情報をご確認ください。